食欲、睡眠欲、性欲、、、人間の欲には様々なものがある。
経営者の行き過ぎた我欲は時に会社を滅ぼす危険性があるが、唯一、有益な欲がある。
それは、自利と利他の精神を持った「向上欲」だ。
自利とは自らの悟りのために精進すること、利他とは他人の救済に尽力することだが、自利と利他の精神を持った向上欲は、経営者の経営能力をグッと高め、優れた人格形成と共に会社経営を成功に導く。
中小企業の業績は経営者の能力に比例するので、経営者の向上欲ほど重要な欲はない。
例えば、中小企業は、様々な経営判断が経営者に集中するが、すべての経営判断を高い精度で采配できる経営者など滅多にいない。
いかに優れた経営能力を持っている経営者であっても、必ず、小さな判断ミスを犯すものだが、会社経営で大切な事はミスを次に活かすことだ。
向上欲の強い経営者は、小さな判断ミスを犯すたびに猛省し、小さな失敗を繰り返さない努力を継続している。
経営能力の不足を自覚して不足を補う、従前の考え方に誤りがあれば考えを改める、社員の意見が正しければその意見を受け入れる、といった自利と利他の精神をベースとした向上欲で、どんどん経営能力を磨いている。
このような経営者の向上欲は、経営者の謙虚で素直な姿勢を育み、社員に慕われる人格形成にも役立つ。
当然ながら、経営者の人格が高まれば、経営者と社員の関係性がより良好に改善されて組織力が一段と向上し、結果として業績が改善する好循環も回り始める。
経営者の向上欲は、百利あって一害なしといっても過言ではないのだ。
向上心の強い経営者は現状に満足することがない。
常に高い目標を掲げ、目標達成のための努力を惜しまない。
そして、目標を達成したからといって努力の手を緩めることはなく、すぐに新しい目標を設定して成功に向かっていく。
例えば、成功する経営者は、「私も条件さえ整えば、成功すると思う」といった受け身の言動は絶対にしない。
強い向上心を持って成功に立ち向かう経営者は「私は成功するために、何が何でも条件を整える」という攻めの言動で成功に立ち向かう。
企業のトップである経営者がこうした強い向上心を持たなければ、会社経営を成功に導くことはできない。
また、向上心の強い経営者は、成功の条件を整えるためであれば、躊躇なくお金を投資し、投資以上の利益を稼ぎ出す。
逆に、向上心のない経営者は、お金の投資を渋ったり、誤ったりして、会社の利益をどんどん減らす。
お金を使って成功する経営者と、お金を使わず失敗する経営者の差は、向上心ひとつで決まるといっても過言ではない。
経営者の向上心は企業の成長を決定づけます。中小企業は経営者の能力で業績が決まり、経営者の能力以上に会社は大きくならないからです。能力向上のコツは、絶えず変化を受け入れることです。一年前と比べて時間の使い方や付き合う人間が変わっていない場合は、向上心が下火になっている危険信号です。