社長がやるべき数字会議の進め方|月次会議が利益につながる運営術


数字は、事実、根拠、客観性等を示す重要な情報だ。


会議議題の協議成果を高める側面もあり、数字の活用次第で会議の成果は天と地ほどの差が生じる。


この記事では、社長がやるべき数字会議の進め方、並びに、月次会議が利益につながる運営術について詳しく解説する。



月次会議で見るべき数字


月次会議で見るべき数字について解説する。


月次会議で最低限見るべき数字は、BSの現預金と純資産の推移、PLの売上と経常利益の年計、売上や利益との相関が強い独自指標の3つだ。


BS(貸借対照表)の現預金と純資産は、増加は良好を示し、減少は悪化を示す。


良好な場合は、今の戦略が正しい証拠なので、アクセルを踏み込んでも問題ない。悪化の場合は、今の戦略が間違っている可能性が高いので、アクセルを緩め、原因を特定し、戦略を修正しなければならない。


また、大型の成長投資等で一時的に現預金と純資産が減少(悪化)する場合は、目標の期間内に増加傾向に転ずるよう、戦略や業務の進捗をしっかりモニタリングすることが大切だ。


PL(損益計算書)の売上と経常利益の年計は、増加は良好を示し、減少は悪化を示す。


良し悪しの対応は、前記した通りだが、他部門にわたる場合は、部門別の損益をしっかりチェックすること、また前年比と決算比を常にモニターすることが欠かせない。


売上や利益との相関が強い独自指標は、顧客数、来店数、顧客単価、購入頻度、リピート率、新規率、稼働率、不良率、歩留まり等、一般的な経営指標以外の業界独自の成果や生産性を表す指標のことだ。


PLの指標同様、良し悪しの対応は前記した通りだが、事業領域毎(営業、製造、管理等)に見るべき独自指標があるので、しっかり抑えたいところだ。


なお、月次会議で見るべき数字(幹部や社員と共有すべき数字)はシンプルなほど良いので、見ても意味がない数字やあまり効果がない数字は除外して構わない。


会議が形骸化する理由


会議が形骸化する理由について解説する。


会議が形骸化する最大の理由は、形式化(マンネリ化)だ。


例えば、会議の議題、報告の内容、会議メンバー等の固定化、あるいは、形式化が進むほど、会議がマンネリ化し、会議を起点に経営の成果を上げる本来の効果が無くなり、会議が形骸化する。


社長が参加する経営会議だけでなく、その経営会議のための部門会議も形骸化すると、事業活動の生産性は著しく悪化し、会議が売上や利益の足を引っ張るという、本末転倒な状況を招くこともある。


また、参加メンバーの発言・意見をシャットダウンし、社長等の議長だけが一方的に発言・意見する会議も形骸化し易い。


このケースで会議が形骸化すると、主体的・能動的に動ける社員が少なくなるので、会社の成果が社長の能力以下にしかならない弊害を招く。加えて、社員の働く意欲が低下し、社長の心身的ストレスが大きくなるので、非常に危険な状態を招く。


社員を巻き込む会議運営のコツ


社員を巻き込む会議運営のコツについて解説する。


社員を巻き込む会議運営のコツは「決めること」、「時間の効率化」、「発言・意見の機会提供」の3つが重要になる。


会議の目的は、決めることだ。


会社経営は決断の連続で事業活動の成果が大きくなるので、決めることほど重要なものはない。逆に決めることがないのであれば、無理に会議を開催する必要はない。


会議の時間を効率的に使うことも大切だ。


会議で効率的に何かを決めるためには、会議前に議題と補足情報、並びに、その議題等に対する会議メンバーの発言・意見を共有し、会議を迎えることが欠かせない。情報を共有しないまま会議を開催すると、何も決められないまま終わるリスクが高まるので注意してほしい。


会議メンバーに、発言・意見の機会を提供することも大切だ。


会議の議題毎にメンバーの発言や意見を反映させて、なお且つ、決める場に社員を巻き込むことで、責任とモチベーションの起因を与えることができる。たったこれだけで、会議が終わってからの組織のパフォーマンスと事業活動の成果が大きく変わる。


経営改善の成果を高める数字の活用法


最後に、経営改善の成果を高める数字の活用法について解説する。


経営改善の成果を高めるために抑えるべきポイントは「数字は結果でしかない」という風土を定着させることだ。


数字を達成するために動くのではなく、


こう動けば数字がついてくる、だから「今月はこう動こう」と具体的な行動目標を立て、結果(数字)をモニタリングし、結果に応じて行動を修正する、この繰り返しが経営改善の成果を高める正攻法になる。


数字を絶対目標に掲げすぎると、数字必達のために組織のモラルが低下する、あるいは、顧客や取引先に迷惑をかけてでも数字を達成する社員が現れかねない。


また、数字の責任の所在を明確にすることも重要だ。


数字は結果でしかないので、社員の責任ではなく、社長の責任だ。だからこそ社長には、数字が良くなるように、社員に具体的行動目標を与え、組織のパフォーマンスを高める義務がある。


以上の前提を元に、数字の意味や仕組みを社員に教育し、その重要な数字にいつでもアクセスできるようにして、達成期日や進捗の確認日をしっかり設定し、社員のフォローアップを充実させて目標達成のプロセスを最適化すると、数字の成果が出やすい環境が整う。


数字を振り回したり、数字に振り回されたりする経営に良いことはない。繰り返すが、そもそも数字は結果でしかない。良い数字をキープするために一番大切なことは何かを常に追求し、そこに組織の行動を集中させることが何よりも大切だ。


(この記事は2026年1月に執筆掲載しました)


執筆者・監修者プロフィール

ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」