
利益は企業の永続性に不可欠な要素だ。
商品やサービスが生み出す利益は強みの陳腐化に伴い必ず悪化するので、利益改善は企業が生存するための絶対条件になる。
この記事では、利益改善の簡単具体策15選と題して、小さな会社でもすぐできる収益強化術を詳しく解説する。

利益率を改善する2つのアプローチについて解説する。
利益率は、売上を増やすか、コストを減らすかの2つのアプローチで改善することができる。
売上をキープしコストを下げる、コスト据え置きで売上を増やす、双方のレバレッジが効くほど、手元に残る利益は大きくなり、利益率が改善する。以下、簡単にできる利益率改善の具体策をそれぞれ紹介する。
一番は強みを磨くことだ。強みは売上の源泉になるので、強みの研鑽は最も優先すべき取り組みになる。小さな会社の最たる強みは機動性とスピードだ。ライバルよりも一歩先を行き、ひと手間多いサービスを常に心掛ければどんな会社であっても強みが大きくなる。そして、その強みを伝える努力が大きいほど、強みが売上に転換し易くなる。
一つ目は上位コストの費用対効果を高めることだ。上位コストはトップ3を抽出し、集中的に改善すると効果的だ。二つ目は惰性コストとムダムラを削減すること。惰性コストとムダムラは毎年発生するので、定期的にリストアップし改善すると良い。三つ目は生産性の改善に取り組むこと。小さな会社ほど金額ベースのコスト削減に限界があるが、最新技術・ノウハウ・テクノロジーを取り入れて生産性を改善すると、コスト削減の限界が訪れない。ちなみに、商品の品質や顧客サービス低下を招くコスト削減と社員の安心安全を損なうコスト削減は絶対にNGだ。
なお、利益改善の結果は、売上総利益率(粗利率)と売上高経常利益率の二つの指標を用いてモニタリングすることが大切だ。
売上総利益率=(売上総利益÷売上)×100
売上高経常利益率=(経常利益÷売上高)×100
売上総利益率と売上高経常利益率は上昇が改善目標になる。この二つの指標の結果を見て、より良い言動に修正し、新しい戦術・戦略を展開する、この繰り返しが利益改善の精度を高め、より収益性の高い経営基盤を作る。

続いて、人件費と経常経費(事業活動の維持コスト)の見直しについて解説する。
人件費と経常経費は全ての会社にとって大きな負担コストなので、利益率を改善するうえで見直しは避けて通れない。
以下、簡単にできる利益改善に繋がる具体策をそれぞれ紹介する。
大前提として、報酬削減、昇給停止、賞与カット等、モチベーション低下の起因を作る人件費の削減はやってはならない。そのうえで、一つ目は社員教育を充実させること。社員のスキルが上がれば事業活動のパフォーマンスが上がり、利益が拡大するからだ。二つ目は、組織のフラット化だ。社員の多能化、縦割りの弊害解消等が推進され、労働生産性が高まり、利益が拡大する。三つ目は、自動化・デジタル化の推進。個々の作業負担が軽減されて、残業が減り、全体の人件費が低下する効果が期待できる。四つ目は行動目標と行動原理の提示だ。社員が自主的かつ主体的に行動できるようになり、組織のパフォーマンスが上がり、結果、利益が拡大する。
一つ目はオフィスの小規模化・シンプル化だ。例えば、都心や一等地の回避、フリーデスクの活用、クラウドサーバーの利用等は、地代家賃だけでなく、業務効率の向上にも繋がり、大きな利益改善効果をもたらす。二つ目は、自動化・省エネ化・デジタル化の推進。照明の自動点灯やLED化、教育ツールのデジタル化(タブレット・動画活用等)、ペーパーレス化、問合せ自動応対化、Web会議・テレワーク、SNS活用等、利益拡大に繋がる施策がたくさんある。三つ目は共同購入・小ロット購入の徹底だ。例えば、個人単位の備品購入を止めて共同購入する、消耗品の大量購入を止めて小ロット購入する等の買い方は、購入の手間と保管のスペースを小さくするので、利益拡大に繋がる。

続いて、価格改定・仕入交渉・商品構成見直しについて解説する。
価格改定は売上拡大に繋がり、仕入交渉と商品構成見直しは売上拡大とコスト削減の両方に繋がる。何れも利益率を改善する大きな効果がある。
以下、簡単にできる利益改善に繋がる具体策をそれぞれ紹介する。
商品やサービスの価格は、利益の大きさを決めるだけでなく、購買動機の大きな一因にもなるので、適時検討しなければならない。しかも、ビジネスは経済物価の影響を必ず受けるので、価格改定はすべての企業に必要な取り組みになる。例えば、コストが上昇し、利益が低下傾向に転じたら値上げを検討しなければならない。逆に、コストが低下し、利益が増加傾向に転じたら、値下げと共に顧客をさらに増やす決断を検討しなければならない。価格改定の成否は、自社の強みとライバルの動向が肝になるので、客観的に自他を分析し、情勢を判断する目を持つことが重要になる。
仕入交渉は、競争ではなく、共生をベースに行うことが大切だ。複数社を競争させて一番安い仕入会社を選択し続けると、知らぬ間に安かろう悪かろうの水準に陥り、会社経営が行き詰まるからだ。仕入値を下げるために購入個数を増やす、納品場所を変える、仕入低減策を一緒に考える等、仕入先と共存共栄の関係性を築くところに、長期的な利益が見えてくる。また、仕入先との特別な関係性は、特別なモノを特別な条件で仕入れられるチャンスに繋がり、仕入が強みになって売上が一層拡大することもある。仕入先に犠牲を強いて獲得した利益は長続きしないどころか、衰退リスクを著しく引き上げるので、くれぐれも注意してほしい。
商品構成の見直しは様々な切り口がある。自社にしか提供できないオリジナル商品は高粗利・高利益率の看板商品として売上と利益の拡大に役立つ。商品やサービス、あるいは、ターゲット顧客を一つに絞る専門店戦略は、強みが際立つので売上が増え、さらに運営コストが下がるメリットがある。割安な初回限定品やお試し品は新規顧客の獲得に役立ち、売上拡大を後押しする。不採算商品の改善や撤退は、場合によって売上は減るが、利益は確実に増える。商品ごとの利益率を分析・把握したうえで、これらの施策を参考に商品構成を最適化すれば、利益を効果的に改善することができる。

続いて、不採算商品の改善と見抜き方について解説する。
不採算商品を見抜き、利益を改善するために真っ先にやるべきことは採算分析だ。
会社全体、事業別、部門別、顧客別、商品別と領域を細分化し、採算割れの根本原因を特定することが第一になる。
原因が特定出来たら、改善方法を検討する。具体的には、値上げか、企業努力か、はたまた、その両方のハイブリットか、不採算を改善する方策を考え、実行する。何をやっても採算割れの改善が出来ない場合は、終売、もしくは、撤退を考える。
なお、不採算商品は、採算割れの期間が長くなるほど、利益改善の難易度が上がる。だから、常日頃から商品の採算をしっかり管理し、採算割になった瞬間に対応することが大切だ。
結局、会社の大小問わず、高利益・高収益がキープできている会社は、採算管理が末端まで徹底されている。言い換えれば、採算管理は利益改善の基本であり、大原則と言っても過言ではないのだ。

最後に利益改善の成功事例について解説する。
何れも私が実際に経営サポートに入った先の企業の利益改善事例だ。
この会社は、良い商品を作っていながら、その強みを十分に顧客に伝達していなかった。強みを明確にして、ターゲット顧客に対してその強みを発信し、短期間で相応の値上げに成功した。結果、利益水準が大幅に改善した。この会社の利益改善の成功ポイントは、強みを徹底して磨くことを最優先したことだ。その結果、強みが磨かれるほどに、弱みが無くなり、企業の収益力が一段と高まった。
この会社は、低価格戦略で売上を拡大していたので利益水準が低かった。真っ先に、ターゲット顧客を綿密に分析したところ、低価格戦略から高価格戦略に切り替えても、影響が小さいことが分かった。矢継ぎ早に、不採算商品や事業の縮小・改善、ニーズ対応型からニーズ提案型商品の拡充、高付加価値商品の拡充等を実践した結果、売上拡大のペースを維持しながら、利益率を大幅に改善することができた。この会社の利益改善の成功ポイントは、レッドオーシャン(熾烈な市場競争)から脱却するために、オリジナリティー溢れる商品を拡充し、独自のブルーオーシャン市場(ニッチ独占市場)を開拓したことだ。
(この記事は2026年1月に執筆掲載しました)
ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」