中小企業の事業再生ノウハウ9

中小企業の事業再生事例9(年商4.5億円)

 

 

中小企業の事業再生事例 ケース9

 

 

資金の調達力に乏しい中小企業の事業再建は、大きな痛みを伴うケースが多い。

 

できることなら、危機的状況に陥る前に、日頃から然るべき手を打って安定経営を実現するに越したことはない。

 

事業再生事例から何かを学び取り、反面教師として経営に活かしてほしい。

 

本事業再生事例は、「年商4.5億円、営業利益0円、借金5千万円」の中小企業のケースである。

 

事業再生調査時の業績状況と調査内容は下記の通りである。

 

事業再生調査時の業績状況

売上高

450,000

 横ばい

 売上原価

200,000

 売上原価率45%

売上総利益

250,000

 売上総利益率55%

 販売管理費

250,000

 売上高経費率55%

営業利益

0

 売上高営業利益率0%

借入金残高

50,000

(金額単位:千円)

 

事業再生調査内容

経営診断

【経営資料から分析】

 

資産状況の適正診断、損益状況の適正診断、経営上の問題点、資産状況の問題点、損益状況の問題点、会計上の問題点、税金対策について、業績改善のための具体的改善策の提示、改善スケジュール案と改善効果提示、等々

 

事業再生計画作成

【経営診断と内部調査結果を元に再生計画作成】

 

事業再生3ヵ年計画書、キャッシュフロー表(資金繰り表)、予算管理表、等々

 

 

 

事業再生過程における経営指導

 

事業再生過程における主な経営指導内容、並びに、事業再生1年後の損益状況と主な事業再生手法は下記と通りである。

 

徹底的に利益改善を推進

不採算部分を排除し、採算のいい高収益部分を積極的に伸ばし、徹底的に利益改善を推進した。

 

利益目標の設定

適正な利益(現金)がなければ会社の成長を後押しする投資原資が賄えないため、適正な目標利益を設定し、利益目標達成に向かって懇切丁寧に経営改善をサポートした。

 

経費水準の適正化

経費水準を適正化した。例えば、人件費と人件費以外の経費バランスを適正化して、利益の安定確保を図った。また、役員と社員の報酬配分基準をルール化し、収益に連動した合理的且つ公正な報酬分配の仕組みを実現した。

 

会計処理の適正化

月次試算表(決算書)の作成基準を明確にルール化し、正しい損益管理を実現した。また、部門別の損益管理も導入し、個別損益の把握も可能にした。経営改善の根拠資料の精度が高まったので、経営改善の効率も自ずと高まった。

 

不採算要素の排除

商品の個別損益の分析、並びにABC分析を行い不採算要素を排除した。日常業務内に個別損益管理を導入し、不採算要素の未然防止も図った。

 

管理会計の導入

管理会計を導入し、適正な経営指標に基づいた経営改善を実現した。また、予算表、資金繰り表、キャッシュフロー表を導入し、将来の業績予測、経費コントロールを可能にした。

 

※上記は事業再生過程における経営指導の一部内容

 

 

事業再生1年後の損益状況

売上高

500,000

 売上原価

200,000

 売上原価率40%

売上総利益

300,000

 売上総利益率60%

 販売管理費

270,000

 売上高経費率54%

営業利益

30,000

 売上高営業利益率6%

(金額単位:千円)

 

 

主な事業再生手法

経営者教育、組織改編、管理会計の導入、経営情報の開示、キャッシュフロー表の作成、資金繰り表の作成、予算管理の導入、3ヵ年の事業計画作成、不採算商品・サービスの収益改善、経営改善の推進、等々

 

 

事業再生のポイント

 

本案件は、深刻な経営状態には陥っていないものの、経営者の切実な悩みがもとで依頼があった。

 

切実な悩みとは、「売上が増えても、利益と現金が増えない」というものである。

 

経営者の口癖は「お金がない」、或いは、「お金が貯まらない」だ。

 

この会社の経営状態は、多くの中小企業の実態を表していると思った。

 

なぜなら、わたし自身の経営指導先の経営者が抱えていた最も多い悩みと合致しているからである。

 

売上は上がっているが利益と現金が増えない会社の経営状況を好転させるには、あるひとつのポイントに意識を向けさせることが重要だ。

 

それは、「利益(現金)を意識させる」ことである。

 

この活動は利益に貢献しているのか?

 

この売上は利益に貢献しているのか?

 

この経費は利益に貢献しているのか?

 

利益を意識して会社の活動や売上、或いは経費を点検してみると、利益に貢献していない活動や売上、或いは経費が沢山でてくるものだ。

 

その一つひとつを丁寧に解決していくと、売上の増加と共に、利益と現金がみるみる貯まるようになる。

 

事実、この会社は、事業再生わずか1年で、年間3千万円の利益改善を達成することができた。

 

本案件のような事業再生手法を身につけたいという経営者は、管理会計を導入することをおススメする。

 

管理会計とは、会社の数字を有益な情報に変換する会計手法のことである。

 

管理会計は難しいものではない。

 

例えば、会社の成長性を示す売上成長率のモニタリングも立派な管理会計である。四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロであっても誰でも習得することができる。

 

管理会計はすべての経営者にお薦めの経営技術である。

 

➡NEXT「中小企業の事業再生事例1(年商25億円)」へ

 




 


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