後継者の7つの成功条件|中小企業の後継者が経営者になるには

中小企業の後継者が経営者になるには|後継者の7つの成功条件

 

後継者としての自覚を認識するきっかけは人それぞれだ。

 

☑小さい頃から、後継者になるのが自然な選択だった

 

☑ある日突然、経営者である父親から後継者の指名を受けた

 

☑会社経営の危機を救うために、後継者になることを決めた

 

会社経営の経験がない後継者の中には、重責と期待が込められた経営者のポストを目の前にして戸惑いや不安を抱く者もいるが、会社経営の永続性は後継者で決まる。

 

この記事では、後継者が経営者になるために不可欠な7つの成功条件を、詳しく解説する。

 

 

企業の永続性は後継者で決まる

 

後継者の中には、重責と期待が込められた経営者のポストを目の前にして戸惑いや不安を抱く者もいる。

 

何といっても会社経営の経験がない後継者にとって、経営者のポストは未知の世界になる。

 

また、後継者に会社を引き継ぐことを事業承継というが、中小企業の事業承継成功率は極めて低く、大概の中小企業は、三代も続くと衰退の兆候が表れる。

 

事業承継の最たる失敗原因は、後継者育成の失敗になるが、言い換えれば、企業の永続性は後継者で決まるということだ。

 

後継者育成の責務は現役経営者にあるが、後継者育成のすべての責任を現役経営者に委ねていては、後継者が経営者に脱皮することは難しい。

 

やはり、会社を引き継ぐ後継者にも、経営者になるための覚悟と努力が必要だ。例えば、後継者の努力次第で、経営者に必要な資質を事前に身につけることは如何様にもできる。

 

当然ながら、後継者が経営者に必要な資質を事前に身につけていれば、会社衰退のリスクはグッと下がる。早速、後継者が経営者になるために不可欠な7つの成功条件について、順を追って詳しく解説する。

 

 

後継者の条件1「謙虚であること」

 

謙虚であることは、後継者の絶対条件になる。

 

創業者は別にして、既に整いつつある会社組織を預かる立場にいる後継者は、誰に対しても謙虚でなければならない。

 

横柄な態度や見下した態度は、即、経営者失格の烙印を押される欠点に繋がる。また虎の威を借りる狐のごとく、親の威光を振りかざして偉ぶる態度もNGだ。

 

人間が謙虚であれば、少しくらい経営者としての能力が劣っていたとしても、至らぬ点を補佐してくれる協力者が次々と現れる。

 

人間が謙虚ということは、人間が素直ということだが、謙虚さなくして後継者の成功はあり得ない。

 

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後継者の条件2「現場を理解すること」

 

現場の理解は、後継者の成功条件になる。

 

なぜなら、現場を知らずして、まともな会社経営はできないからだ。

 

現場を理解するということは、現場の仕事を覚えるということではない。現場の仕事がどのようなものなのか、どこに苦労があって、どこに工夫のヒントがあるのかをつぶさに理解するということだ。

 

顧客の要望、競合の動き、社員や取引先の不満、など等、経営改善のヒントはすべて現場にある。

 

日頃から現場をよく観察し、積極的に現場を理解することは、後継者が会社経営に成功する必須条件といっても過言ではない。

 

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後継者の条件3「社員と取引先に感謝すること」

 

社員と取引先に感謝することは、後継者の成功条件になる。

 

なぜなら、社員と取引先がいなければ会社経営は成り立たないからだ。

 

後継者はそのことを肝に銘じて、常日頃から社員と取引先に感謝することが大切で、感謝の気持ちは必ず伝わるものだ。また、経営トップからの感謝や労いほど、社員や取引先の励みになるものはない。

 

後継者の経営能力を評価するのは社員と取引先である、ということも忘れてはならない。そして、会社成長のヒントを持っているのも、社員と取引先だ。

 

社員と取引先に対する労いの気持ちなくして、会社の安定経営は実現困難だ。万が一、社員と取引先の心が後継者から離れると、高い確率で会社経営に失敗する。

 

 

後継者の条件4「お客様に感謝すること」

 

お客様に感謝することは、後継者の成功条件になる。

 

なぜなら、お客様がいなければ会社経営は成り立たないからだ。

 

後継者はそのことを肝に銘じて、常日頃からお客様に感謝することが大切で、目の前のお客様の満足度を高める努力を継続すれば、自然と事業価値が高まり、新しいお客様が間違いなく増える。

 

後継者の努力で新しい顧客が増えると、経営の自信がどんどん高まり、社員の信頼も厚くなる。何よりも、顧客目線で事業運営することは、経営の原点でもある。

 

 

後継者の条件5「会社の数字を理解すること」

 

会社の数字を理解することは、後継者の成功条件になる。

 

会社の経営成績はすべて会社の数字に表れる。つまり、経営者が指揮する事業活動の全ての結果は、会社の数字に集約される。

 

会社の数字を無視した経営に成功はなく、会社の数字を知らずして会社経営は成り立たない。また、PDCAサイクルの判定基準の最たるものも会社の数字になる。

 

常日頃から、重要な数字である売上・利益・現金等の増減を理解していれば、経営判断を大きく誤ることはない。

 

会社の数字を理解することは後継者の立場であっても、割かし早い時期から取り組むことができる。当然ながら、会社の数字の理解が深いほど、後継者の失敗リスクは低下する。

 

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後継者の条件6「経営の勘を磨くこと」

 

経営の勘を磨くことは、後継者の成功条件になる。

 

経営の勘は、経営者に学ぶしかなく、原則的には実際に社長の座についてから、社長の立場で経営采配を繰り返すことでしか身につかない。

 

但し、即効性はないが、経営者の背中を見て学ぶ方法はある。例えば、経営会議や、経営者同士の交流の場等々、社長と行動を共にすることで経営者の勘を多少磨くことができる。

 

後継者の指名を受けたのであれば、発言権がなくても、なるべく早い時期から社長と行動を共にし、経営者としての判断基準、立ち振る舞いや経営の勘どころを学ぶ必要がある。

 

なぜなら、経営の勘は、経営者のみが教えることができる領域であり、一朝一夕で身につけることが出来ない領域だからだ。

 

経営者と後継者の関係が親子であれば、この時ばかりは親子の関係を断って、お互いプロ意識を持つことをお薦めする。

 

 

後継者の条件7「独り立ちすること」

 

後継者が晴れて社長の座について経営者になったならば、心身共に先代経営者から自立(独立)しなければならない。

 

経営者に甘えは禁物で、会社の最高責任者としての自覚を持つことが、後継者の成功条件になる。

 

失敗しても先代が何とかしてくれるだろうという甘い考えでは経営者は務まらないし、社員や取引先もついてこない。

 

会社の内外で起こる全ての事象や責任を自分に帰結することが経営者の自覚を育み、先代からの自立を促す。

 

但し、先代との関係を全て遮断する必要はなく、経営者としての勘が身についていない初期段階、少なくとも2年程度は、先代に対して折に触れて経営状況を報告し、意見交換をした方が良い。