経営者の成功を支える六方心|成功する経営者の心がけとは

経営者の成功を支える六方心

 

経営者が成功したければ、優れた決断力と人徳を身につける必要があり、そのためには「六方心」の姿勢が欠かせない。

 

六方心とは「前後左右」に加えて「上下」に対しても心して対峙する姿勢を表した言葉だが、経営者が六方心を実践すると、優れた決断力と人徳が醸成される環境が自然と整う。

 

この記事では、優れた決断力と人徳形成に役立つ六方心の実践法を、詳しく解説する。

 

 

決断力を高める六方心の注意

 

六方心の注意は、社長の決断力をグッと高める

 

例えば、副社長以下の人間は、自分の決断をチェックしてくれる人間が常に後ろにいるので、誤った決断をしたとしても、正常な組織体制にあれば軌道修正が働き、会社全体が失敗に傾くことはない。

 

一方、会社のトップに君臨する経営者の決断をチェックする人間はいないので、経営者が誤った決断を下してしまうと、会社全体が失敗に傾く。

 

事実、わたしが事業再生に関わった中小企業の殆どは、経営者ひとりの決断力不足で倒産の危機に陥っていた。

 

会社の未来を100%当てることは誰にもできないので、全ての決断には失敗リスクがあり、少しでも油断すると、どんなに有能な経営者であっても決断を誤りかねない。

 

従って、経営者は前後に注意を払うだけでは物足りない。さらに、前後に左右を加えて注意を払うだけでも物足りない。

 

やはり、六方心の姿勢のごとく、前後左右に上下を加えて、常に六方に注意を払う姿勢が必要だ。

 

六方心の注意を怠ることなく経営を采配していれば、自ずと優れた決断力が身につき、経営者としての成功がグッと近づく。

 

 

人徳形成に役立つ六方心の思いやり

 

六方心の思いやりは、経営者の優れた人徳形成に役立つ

 

例えば、「自分だけ良ければすべて良い」という前提で物事を考える経営者には、優れた人徳は身につかない

 

このような、

 

☑自己中心(自分中心の考え方)

 

☑自己独善(自分ひとりが正しい)

 

☑自善他悪(自分が正しく相手が間違っている)

 

というような近視眼的な思考法は、優れた人徳形成を阻害する最たる要因になる。

 

会社経営に関わる人間は数多にいる。

 

作る者、売る者、使う者、株主、社員、お客様、取引先、下請け、孫請け、家族、両親、子供...など等、挙げたらキリがない。

 

経営者であれば、少なくとも正面の相手だけでなく、周囲を見渡して最低限六方の相手に心を配る思いやりが必要だ。

 

例えば、会社の取引相手にとって都合の悪い事実が少しでも含まれていれば、その取引は何れ破綻を迎える可能性が高い。

 

長期的、且つ、安定的な取引を求めるのであれば、六方心の思いやりで関係者全員の立場になって相手を気遣う姿勢が欠かせない。

 

下の図は、坂の下と上に立つ、立場の違いを表したものである。

 

 

同じ坂でも、下に立てば「上り坂」、上に立てば「下り坂」、立場の違いで見解が変わる良い例である。

 

先に述べた通り、中小企業の経営者は会社のトップとして様々な人と対峙している。

 

社員や取引先、お客様...など等、

 

相手の立場になって考えられる六方心の思いやりが身についている経営者に対しては、社員や取引先はストレスなく会社に協力してくれるだろうし、お客様も快く商品やサービスを購入してくれるだろう。

 

一方、自分の立場でしか考えられない自己中心的な経営者に対しては、社員や取引先はストレスを抱え、お客様も商品やサービスを通じて嫌な気持ちになることがあるかも知れない。

 

 

成功する経営者の心掛けとは

 

相手の立場に立つことは簡単そうで簡単ではなく、実に難しい

 

例えば、人間の長所と短所は、相手の受け取り方ひとつで、その性質が逆転することがある。

 

気の利く性格の人に対して「あの人は気が利く」とプラスに思う人と、「あの人はお節介だ」とマイナスに思う人がいる。

 

相手の立場に立つというのは、相手の気持ちをどこまで理解できるかということだ。

 

経営者であれば、過去に自分の言動で相手を傷つけたり、取引先と揉めたりしたことが少なからずあると思うが、考えていてもなかなかうまくいかないのが「相手の立場に立つ」ということだ。

 

こればかりは、経験と体験で体得するしかないので、六方心の姿勢を持って、相手の立場や目線に合わせる謙虚さと、意見の相違や性格の相違を受け入れる度量を持つことが大切になる。