中小企業において、会社の経営成績は「社長の能力」で決まる。
わたしはこれまで繁栄する中小企業と衰退する中小企業の両方を数多く見てきたが、会社経営の成功と失敗を左右するのは、間違いなく社長の能力である。
つまり、中小企業は、社長がズッコケたら、会社もズッコケるということだ。
経営に失敗しないことは、経営に成功する事よりも重要である。なぜなら、会社経営において失敗のない連続性こそが、成功を意味するからだ。
社長といえども人間なので、小さな失敗は当たり前のことであり、失敗しながら前進していくのが無理のない姿ではあるが、失敗の中には企業の寿命を縮める危険な失敗があるのも事実だ。
ここで紹介する「経営に失敗する社長の特徴10選(前編・後編)」は、中小企業経営者が、できれば避けて通りたい失敗例ばかりである。
ひとつでも当てはまる項目があれば、会社経営に失敗する可能性が高いといえる。是非とも、ご自身の日頃の言動と照らし合わせてセルフ診断してほしい。
横柄な社長は、経営に失敗する社長の典型例だ。
横柄な社長には、社員も顧客も、周囲からの信頼も感謝も、成功に必要な要素の殆どがついてこない。なぜなら、根が横柄だと、自己中心、自善他悪といった自分中心の近視眼的な言動に陥り、周囲との信頼関係が全く築けないからだ。
横柄な社長は、まさに、総スカン(好かん)状態を呼ぶ、経営に失敗する社長の典型なのだ。
横柄であっても、一時は成功するケースもあるが、成功が長く続くケースは殆どない。
必ず、どこかで躓く。
躓いた後に振り返ったら誰もいなかったでは、あまりにも寂しいだろう。人間も会社も、生きているのではなく「生かされている」ものだ。ちなみに、社長の横柄さが社員に伝染すると、会社経営は加速度的に失敗に傾く。
昔から情報を制する者が経済を制すると云われているが、それほどに情報の価値は会社経営の成功を左右する。
実際、会社経営に成功している社長は積極的に情報を収集している。
例えば、自らの手足を動かして現場や社員から情報を入手する、自分の能力不足を自覚して必要な情報を探して補う、価値ある情報であれば躊躇うことなくお金を払って情報を入手する、など等である。
このようなスタンスで情報を集めていると、価値ある情報がどんどん手元に集まるようになり、正しい経営判断を支える根拠情報の厚みがどんどん増していく。
一方、会社経営に失敗する社長は、すべてが逆だ。
例えば、現場や社員から情報が上がってくるのを待つ、自分の能力不足を自覚していない、価値ある情報であってもお金がかかると分かるとそっぽを向く、など等である。
当然ながら、このようなスタンスでは、価値ある情報が手元に集まらないので、正しい経営判断を支える根拠情報が乏しいままとなり、経営に失敗するのは時間の問題となる。
情報に疎い社長も、会社経営に失敗する典型になる。
成功するには、成功するまでやり続けるということが大切で、何事も、途中で投げ出してしまっては、決して成功にたどり着くことはない。
例えば、社長の意志が弱く、成功がイメージできない、成功する前に諦めてしまう、といった意志の弱さでは、一生、成功することはできない。
また、社長の意志が弱いと、諦める、投げ出す、丸投げする、他人事、無責任、といった負の要因が社員に伝播しやすくなる。
このような負の要因が蔓延すると、会社の経営が加速度的に失敗に傾く。
成功への信念、志、執着などが希薄な「意志が弱い社長」のもとでは、会社はなかなか成長するものではない。
社長の能力で会社の成長が決まる中小企業において、成功も失敗も、社長の意志ひとつで決まるといっても過言ではないのだ。
わたしが過去に接してきた中小企業の経営に失敗した社長は、全員、数字に弱かった。
経験上、数字に弱い社長は、高確率で経営に失敗している。つまり、数字の弱さを放置するという事は、言ってみれば、倒産に向かって進んでいるようなものなのだ。
数字の弱さを克服する手段は如何様にもある。
例えば、経営に成功している社長は、たとえ数字に弱かったとしても、数字に強い参謀役を側につけて会社の数字を上手に活用している。(このような社長に遭遇するといつも感心する)
スーパーマンなど存在しない。誰しも得手不得手がある。大切なのは経営の要所をしっかり押さえることだ。
会社経営に失敗したくなければ、数字の弱さは決して放置してはならない。
感謝しない社長に、明るい未来はやってこない。
過去があって今がある。すべての出会いやご縁があって今があるのだ。
創業者や先代の社長、社員や、その家族、顧客や取引先など等、感謝の対象は無限に広がる。また、中小企業の場合、ご縁ひとつで会社経営が軌道に乗るケースは少なくない。
社長が感謝の念を忘れた瞬間から、会社経営は失敗に傾く。社員に伝播したら、失敗(倒産)はあっという間である。