税金の節税は会社経営の基本である。
なぜなら、会社経営と税金は、切っても切れない関係にあるからだ。
会社経営に関わる税金は、法人税、消費税、固定資産税、印紙税、地方税、など等、挙げたらキリがないほどあるが、とにかく、会社経営には税金がついて回る。
当然ながら、経営者が節税に無頓着でいると、ムダな税金を支払うリスクが高まる。
事実、節税の知識がないために資金繰りが悪化する会社、或いは、節税の方法を誤って衰退する会社など、節税(税金)に無頓着な中小企業経営者ほど、経営に失敗する確率が高い。
税金の計算方法は税の種類によって異なるが、殆どの税金は、会社の所得(利益)かそのモノの評価額に対して課せられる。
従って、税法のルールのなかで、会社の所得(利益)をいかに最小化するか、或いは、そのモノの評価額をいかに最小化するかが、節税の基本になる。
例えば、会社の所得(利益)を最小化するために、然るべき経費をすべて計上することは、節税の基本中の基本である。
節税に繋がる経費化の例は、減価償却費、旅費交通費の日当、経営者個人の保険料、役員の退職金、貸倒引当金、などがある。
なかでも、減価償却費は節税効果のほかに、現金貯蓄(再投資の原資)の性格もあるので、積極的に経費化してほしい。
減価償却費は、保有固定資産の減価償却費の適正計上の他にも、社用車を中古にする、会社に供する建物を会社所有にする、といった工夫ひとつで節税効果を上げることができる。
節税に繋がる経費化が十分にされているか否か、一度、点検してみてほしい。
中小企業の節税方法は、積極的な経費化以外にもある。
例えば、「損失の利用」と「税金の繰り延べ」は、節税効果が大きい。
損失の利用とは、繰越損失を活用した節税方法のことである。会社の損失は、繰越損失として翌期に繰り越され、翌期以降の利益を相殺してくれるので、節税効果がある。
損失になり得る負の遺産は意外と多い。
先行投資優先の計画的赤字経営、使い物にならない遊休資産、回収不能な売掛金、売れ残った商品在庫、経営破たん先の出資金、帳簿価値を大きく下回っている株式、不動産、会員権、など等、損失になり得る負の遺産は、処分と同時に損失が計上されるので、節税効果を生み出す。
税金の繰り延べとは、利益を圧縮し、税金の支払いを先送りする節税方法のことである。
例えば、中小企業の法人税は、800万円以下の利益に対する法人税率が優遇されているが、一時的に800万円以下の利益に圧縮したい場合などは、税金の繰り延べによる節税が効果的だ。
但し、使って無駄になる経費で利益を圧縮しても、それは節税ではなく、ただのお金の無駄使いである。節税しながら利益圧縮に使った経費が全額戻ってくる方法こそが、賢い節税方法である。
おススメの方法は、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の利用である。
この共済は、少額の掛け金から加入でき、一定の契約期間を経て解約した時に、掛け金が全額返金されるので、税金の繰り延べ、つまり、節税効果がある。