社会人たる者、指示がなければ動けない「指示待ち人間」では、社会で通用しない。
ましてや会社の経営者が指示待ち人間であれば、社長失格といっても過言ではない。
この記事では、指示待ち人間のダメな経営者の事例について、詳しく解説する。
中小企業の経営成績は、経営者の能力で決まる。
社長が指示待ち人間という事は、経営者の決断力と実行力が脆弱ということだが、決断力と実行力がない指示待ち社長のもとで、会社が成長することはない。
また、経営者が指示待ち人間だと、社員はどこに向かって働いていいのか分らず、問題や課題に直面した途端に、会社全体がオロオロしてしまう。
過去に再建調査に入った中小企業での話である。
地方の同族企業で年商が40億円弱の規模の会社だったが、この会社の経営者が指示待ち人間だった。
誰の指示を仰いでいたかというと、両親ではなく、専務として会社経営に参画していた義理の兄である。
義理の兄であっても専務として会社の経営をしっかり支えているのであれば問題ないが、この会社の年間の赤字額は1億円、借金は10億円にも達していた。
資産状況も損益状況もすでに危機的状況にあったにも関わらず、経営陣含め、会社の数字を理解している者は皆無だった。
数字を把握していないので、経営改善の対策は合理性のない精神論からくる対策ばかりである。
対策を講じても効果を検証することができないので、会社経営は、まるで暗闇の海の中をもがいているような状況であった。
☑社長としては専務の指示通りに動いているが結果が伴なわない...
☑専務としては社長のやり方が悪いと思いこみ自身の失敗を反省しない...
お互いさまといえばそれまでだが、会社の経営は社長である経営者が陣頭指揮をとり、会社の成長を牽引しなければならない。指示待ち人間のもとで、会社の業績を上げることは不可能なのだ。
経営者が指示待ち人間ということは、他人の指示(意思)に従って働いている、ということである。
これでは経営者としての自覚が芽生えることはなく、更には、他人の指示に従っているだけなので、経営者としての成長も期待できない。
繰り返すが、中小企業の経営成績は経営者の能力に比例する。
会社を良くするも悪くするも経営者の能力次第なので、経営者自身が成長しなければ、会社が成長することはない。
また、指示待ち人間は、常に不安げな要素を持っており、実際、この会社の社員の目は、的確に指示待ち人間である社長の特徴を捉えていた。
兄の言うことに逆らえない |
リーダーシップが全くない |
社員になめられている |
おぼっちゃん社長 |
社員を大切にしない |
経営を放棄している |
迷走している |
私利私欲が甚だしい |
無能な幹部社員を放置している |
経営理念や意思が不明 |
社長を辞めたほうが良い |
組織管理能力が著しく低い |
上記は全て社員面談を通じて判明した、指示待ち人間の社長に対する社員評価の一部である。
指示待ち人間からの脱却は並大抵の努力ではなし得ない。年齢が50歳を超えている場合は、治らないと思っても良い。
指示待ち人間から抜け出すには、経営判断に自信をつけることが一番の近道だ。
経営判断に自信をつけるには、基本に忠実に、会社の数字を診る練習を繰り返すことが大切だ。
会社経営の結果は全て会社の数字に表れる。
つまり、経営者が指揮する事業活動、経営者の経営判断等々、全ての経営結果は会社の数字に集約される。
日頃から、売上が上がった、若しくは、売上が下がった等々の業績結果を追いかけていれば、徐々に正しい経営判断を下すためのピントが合ってくる。
そして、経営判断の経験と体験が数多く蓄積されるほど、経営判断の自信が高まり、指示待ち人間からの脱却は自ずと見えてくる。
社長が指示待ち人間では会社は成長しません。迷走するのが関の山です。指示待ち人間から脱却するには、経営判断の精度を上げる努力を続けることです。また、全ての経営責任を背負う覚悟を持つことも大切です。経営者の責任ある言動は決断力を高めます。決断力が身に付くと、自然と指示待ち人間から脱却することができます。