経営者が社員に対して会社の数字を開示しないと、社員の利益意識が高まることはない。
なぜなら、会社の数字を知らない社員は、会社の利益が分からない状態で仕事をすることになるからだ。
この記事では、会社の数字を開示しないダメな経営者について、詳しく解説する。
経営者が社員に対して会社の数字を開示しないと、社員は会社の売上や利益が分からない状態で仕事をすることになるので、利益意識が高まることはなく、場合によっては、損益すらも把握できなくなる。
例えば、会社の数字を開示していない中小企業では、会社が儲かっているのか否かを社員が理解できていないことが殆どだ。
わたし:「この会社儲かってますか?黒字経営ですか?」
社 員:「儲かってるんじゃないですか?たぶん...」
この会話は、わたしが赤字経営に陥っている中小企業の再建調査で行った社員面談の一幕である。
自分が働く会社が儲かっていると思っている社員が、日ごろから必死でロスや無駄をなくそうと努力するだろうか?
恐らく、しないだろう...。
会社の数字を利益に至るまで社員に開示している中小企業は多くない。
このような会社では、
☑もっと利益を意識して働いてほしい
☑もっとロスや無駄を省いて働いてほしい
☑もっと効率の良い人員体制で働いてほしい
といった経営者の要望を社員に投げかけても、「十分にやっています」という抽象的な答えが返ってくるのが関の山だ。
ロス、無駄、効率は、全て会社の利益に直結する重要な要素である。
従って、「十分に考えてやってます」という抽象的な返答ではなく、「今月は先月よりも〇〇万円のムダとロスが省けました」といった、具体的利益を意識した返答がほしいものだ。
当然ながら、利益意識のない仕事は、ただの行き当たりバッタリの仕事に終始してしまうため、会社の利益に貢献しないムダとロスを沢山生み出してしまう。
利益意識を高めるためは、社員に対して会社の数字を開示することが欠かせない。
会社の数字を開示すれば、社員は損益状況が把握できるので自ずと利益意識が育つ。更に、具体的数値目標も提示・運用すれば、社員の利益意識は一段と高まる。
社員に対して会社の数字を開示しないと、まともな経営改善などできるものではない。
また、会社の数字が開示されていなければ、たとえ会社のロスやムダを省いたとしても、社員自身がその改善効果を実感することができない。
改善効果が分からないということは、経営改善の具体的効果が把握できないということだ。
このように、会社の数字を開示しない会社では、
日々、
経営者:「ちゃんとやっているか?」
社 員:「はい、ちゃんとやってます。」
という抽象的なやり取りで、行き当たりバッタリの会社経営がまかり通ることになる。
会社の数字を開示することなく、このような抽象的なやり取りを続けていると、ほんの些細な判断ミスで会社の業績が悪化することがある。
事実、わたしが関わった倒産の危機に瀕した中小企業は、たとえ年商規模が50億以上であっても、社員に対して会社の数字を開示している会社は殆どなかった。
最終利益を正確に把握している社員は限りなくゼロに近く、幹部社員であっても、辛うじて把握しているのは、会社の売上だけであった。
この程度の数字しか把握できていない会社の業績が悪化するのは当たり前であり、むしろ、失敗しか道がないといっても過言ではない。
会社の数字は、会社経営の道しるべとなる重要な指標だ。
経営者は、会社の数字を頼りに経営改善を推進し、利益を拡大していくのだ。
また、経営者が会社の数字の重要性を意識し始めると、様々なメリットが業績に表れる。
例えば、社員に対して会社の数字を開示すると、具体的な数値目標を掲げて効率的かつ効果的に経営改善を進めることができる。
また、数値目標という共通言語が導入されると、組織全体が同じ目標に向かって経営改善に取り組むことができる。
お互い数字という共通言語を持つことで正しい経営判断が可能となり、会社の経営はますます安定する。
もしも、数字という共通言語がなければ、勘と経験に頼った会社経営に偏り、ひとつの誤った経営判断が致命傷になるかも知れない。
赤字経営の経営者ほど、社員に対して会社の数字を隠したがるが、数字の開示なくして、正しい会社経営などできるものではない。
経営者と社員が会社の数字を共有することは、安定経営に欠かせない絶対条件でもあるのだ。
数字一辺倒の経営は失敗しますが、やはり、数字の活用なくして、まともな会社経営はできません。例えば、計画と検証の精度低下は典型的な弊害です。利益に至るまで数字を管理し、その数字を開示・活用することで、初めて計画と検証の精度が上がります。これだけで経営の成功率は格段に上がります。