ブラック社長は社員を使い捨てにする|ブラック経営が会社を潰す

ブラック社長は社員を使い捨てにする


社員を消耗品のように使い捨てるブラック社長は意外と多い。


ブラック社長はサービス業に多い傾向にあるが、昨今は様々な業界で見受けられる。


この記事では、ブラック社長の典型例からブラック社長の脱却方法に至るまで、詳しく解説する。



ブラック社長の末路


会社の経営資源である、ヒト、モノ、カネ、情報の中で最も大切なものは「ヒト(社員)」である。


なぜなら、社員の能力を最大限に活用することができれば会社の業績は伸びるが、社員の能力を活かせなければ会社の業績は下降線を辿るからだ。


また、社員と経営者のコミュニケーションが充実している限りは、社員のモチベーションが低下することはない。


つまり、中小企業において、社員を活かすも殺すも社長次第なのだ。


社員を大切にしない会社(ブラック社長)に明るい未来はなく、待っているのは会社の衰退という残酷な末路である。


会社が衰退するということは、経営者自身の人生が行き詰るということだが、社員を大切にしないブラック社長は少なくない。



ブラック社長の典型例


ブラック社長はサービス業に多い傾向にあるが、昨今は様々な業界で見受けられる。


社員を消耗品のように使い捨てるブラック社長の言い分は色々とあるだろうが、中小企業にありがちな代表的な例を挙げると次の二つがある。


ブラック社長 パターン1

「この会社で働けることに満足して欲しい」という社長の自己満足のもと、社員を消耗品のように使い捨てるブラック社長は少なくない。


ブラック社長 パターン2

「人員に余裕がなく長時間労働をお願いせざる得ない」という社長の経営能力不足のもと、社員を消耗品のように使い捨てるブラック社長は少なくない。


 


何れのケースも、社長自身の幸せを優先し、社員の幸せを二の次に考えるブラック社長の典型例になる。ブラック社長の典型的な二つの特徴について、順を追って詳しく解説する。



ブラック社長 パターン1


「この会社で働けることに満足して欲しい」と思っているブラック社長の特徴を解説する。


「この会社で働けることに満足して欲しい」の裏を返せば、「この会社、或いは自分の下で働けるだけでも感謝しろ」という意味合いがある。


このようなブラック社長の特徴は、


☑基本的に上から目線、高圧的、暴力的


☑会社の広告塔、業界のパイオニア・カリスマ


といった特徴を持っている方が多い。


このタイプのブラック社長の下で働く社員の報酬は一般的な水準よりも低く、一方で、経営者自身は高額の報酬を得ていることが多い。


また、理不尽な労働環境を社員に押し付けても何とも思わない、という特徴も持っている。


長時間労働、休日出勤、精神的に苦痛を伴う業務、社長のご機嫌取り、など等、社員の心身が疲弊することを一切考えず、社員を消耗品のように扱う。


社員が転職したり、退職したり、同じ業界で独立したり、ということに対して嫌悪感を示す社長もいる。


会社の内情は酷い有様だが、業界のパイオニアやカリスマといった要素があるので、会社の内情を知らない外部の人間からみると、ブラック社長の実態とは裏腹に、会社のイメージが良く、高い評価で見られていること多い。


社員の心を支えているのは、「外部の人間からの会社の評価が高い」という1点だけである。


こうしたブラック社長の下で働く社員は大変である。


才能がありすぎてもはじかれるし、なさ過ぎてもはじかれる。平々凡々に働いても、下働きから抜け出すのは容易なことではない。


そもそもブラック社長自身も社員を育てる気がない。


このような会社に社員は自分の人生を託すだろうか?


社員を大切にしないブラック社長に明るい未来はない。少なくとも次の世代に会社を引き継ぐことは難しいだろう。



ブラック社長 パターン2


続いて、「人員に余裕がなく長時間労働をお願いせざる得ない」と思っているブラック社長の特徴を解説する。


この手のブラック社長の特徴は簡単である、「経営能力が低い」、ただそれだけである。


人員の補充ができないということは、十分な利益がなく、ギリギリの黒字経営、もしくは赤字経営に陥っているということだ。


このタイプのブラック社長は数字に弱く、勘と経験に頼った行き当たりバッタリの経営に陥っているケースが多い。


例えば、過去に黒字経営の時期があっても、経営判断の誤りから赤字経営に転落したり、非常に波のある経営を行っているケースが多い。


社員たちは良い時代も悪い時代も両方知っているので、自分たちが頑張れば何れ良い時代に戻れると信じて長時間労働やサービス残業を抵抗なく受け入れているが、これは社長の甘えであり、経営放棄という怠慢でもある。


会社の社長であれば、業績悪化=経営者の責任という事実を受け止めて、然るべき経営改善のプランを考え、実行し、社員により良い労働環境を提供する努力が必要だ。


社員に甘えて、怠慢経営を続ければ、何れ社員の気持ちは会社から離れる。


当然ながら、社員の気持ちが一度離れてしまうと、会社の経営を立て直すのが至難の業となってしまう。



ブラック社長を脱却するには


ちなみに、ブラック社長として深刻度が高い、いわゆる修正し難いのは前者のブラック社長である。


なぜなら、前者のブラック社長は性格に起因しており、後者のブラック社長は能力に起因しているからだ。


性格は直らないが、能力はいかようにも高めることができる。


例えば、後者のブラック社長のケースは、会社経営さえ健全化されれば、経営者も社員も、関係者全員が救われる。


会社経営を健全化するには、会社経営にゆとりを持つことが欠かせない。


会社経営のゆとりとは、端的に「会社の利益」のことだが、利益が拡大されると資金にも余裕が出てきて、無理な人員体制を是正することも、無理のある販売先を整理することもできる。


なお、ゼロから利益を生み出すプロセスは、会社の数字を緻密に分析し、目の前の経営課題をつぶさに見直すところから始めるのがお薦めだ。


伊藤のワンポイント
 

社長のブラック化を防ぐ方法は二つしかありません。自分で気がつくか、他人に気づかせてもらうかです。社長に意見する人間は殆どいませんので、大概は、気がつくことなくブラック化に拍車がかかり、大失敗をして初めて気がつくものです。経営の客観性を高めることと謙虚になることがブラック化を予防する確かな方法です。