倒産防止は会社の数字にあり!!

倒産防止共済に頼らずに倒産を防止する秘訣

倒産防止共済に頼らずに倒産を防止する秘訣

 

中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)とは、取引先事業者の倒産の影響を受けて、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度です。

 

中小企業倒産防止共済法に基づき、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

 

倒産防止共済は少額の掛け金から加入でき、一定の契約期間を経て解約した場合は、掛け金が全額返金されることから、主に経営に不安を感じている中小企業で利用されている保険の一種です。

 

もしもの対策として保険は有効な一面もありますが、保険に頼って日々の経営を疎かにしてしまっては、企業の発展成長は見えてきません。

 

やはり、保険に頼ることなく安定経営の基盤を作ることが最も安全な保険といえます。

 

それでは、会社の倒産を防止する具体的な経営の秘訣とは一体何でしょうか?

 

主な倒産防止対策を紹介していきます。

 

 

倒産防止対策「正しい月次決算書を作成する」

 

月次決算書とは、会計期間を一ヶ月に区切って作成される財務諸表のことです。中小企業においては、貸借対照表と損益計算書で構成されており、試算表とも呼ばれます。

 

会社の事業活動の結果は全て会社の数字に表れます。そして、会社の数字は全て月次決算書に集約されます。

 

月次決算書が正しく作成されていれば、事業活動の良し悪しを的確に判定することができます。

 

そして、毎月、月次決算書の結果をもとに事業活動を検証し、誤りを正す業績改善を続けていくと、自ずと倒産防止の経営基盤が整ってきます。

 

当然ながら、月次決算書の作成がいい加減だと、事業活動の良し悪しも、経営判断の良し悪しも的確に判定することが出来ず、倒産のリスクは高まるばかりとなります。

 

月次決算書を正しく作成する秘訣は、「売上に対応している費用を正しく計上する」ところにあります。

 

例えば、旅行代理店や塾など、1年分の売上を事前に1回で受け取るような事業会社は、12分割で売上を計上する必要があります。

 

また、建設業など、工事の進ちょくに合わせて売上や費用を見積もり計上する場合も、意図的に加減することなく、事実に基づいた見積金額を計上しなければなりません。

 

 

いい加減な月次決算書は倒産を助長する!?

 

いい加減に作成された月次決算書は、倒産を防止するどころか、倒産を助長してしまうことがあります。

 

例えば、英会話学校「NOVA」の倒産(2007年)は、前受けの売上を分割計上しなかったために誤った損益認識に陥り、会社が倒産に至りました。

 

大手電機メーカー「東芝」の不正会計問題(2015年~2017年)は、粉飾決算ありきのいい加減な費用見積が原因で、会社が倒産の危機(債務超過)に瀕しました。

 

旅行会社の「てるみくらぶ」の倒産(2017年)は、NOVAと東芝の混合タイプで、前受け売上を分割計上していなかったこと、更には倒産の2年前から粉飾決算に手を出していたことが原因で、会社が倒産に至りました。

 

このように、日頃から正しい月次決算を作成せずに会社経営を続けていると、会社はいとも簡単に倒産の危機に瀕してしまいます。

 

倒産を未然に防止するためには、経営判断の主たる根拠となり得る月次決算書を正しく作成しなければなりません。

 

正しい会社経営は、正しい月次決算書を作成するところから始まるのです。

 

倒産防止対策「管理会計を導入する」

 

管理会計とは会社の数字を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことです。

 

管理会計は決して難しいものではありません。例えば、会社の利益水準を示す売上総利益高営業利益率のモニタリングも立派な管理会計です。

 

管理会計のインプットは会社の数字です。会社の数字の中で、最も活用しやすい資料は月次決算書です。

 

管理会計のアウトプットは経営判断の根拠、或いは、経営目標になり得る有益な情報です。

 

当然ながら、インプットである会社の数字がいい加減だと、アウトプットもいい加減なものになってしまいます。

 

有益な管理会計の一例を示します。

 

業種業態関係なく適正な利益目標を示す「売上総利益高営業利益率」」です。

 

計算方法と優良水準は下記の通りです。

売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100

 

優良水準:20%

 

会社の現状と目標が明確になると、やるべきことが見えてきます。

 

そして、「会社を良くする」、「会社を発展させる」など等の経営改善の出発は、現状と目標を明らかにするところから始まります。

 

100m走と10,000m走のどちらに出走しているのか分からずにスタートを切った陸上選手が一等賞を取ることはないでしょう。

 

会社経営も一緒です。

 

会社の倒産を防止するためには、現状と目標を見通す管理会計の導入が欠かせないのです。

 

⇒⇒管理会計の基本「中小企業に適した経営指標と経営分析手法」ページはこちら

 

 

倒産防止対策「販売リスクをモニタリングする」

 

中小企業は販売先のリスク管理を行わないと思わぬところで倒産の危機を迎えることがあります。

 

なかでも販売依存度が高い取引先のリスク管理は、疎かにできない重要な管理ポイントです。

 

販売依存度が高い取引先のリスク管理は、売上構成比率(占有率)で判定できます。

 

売上構成比率(占有率)とは、会社全体の売上を占める販売先毎の売上構成比率のことです。

 

売上構成比率(占有率)の計算方法と判定基準は下記の通りです。

売上構成比率(占有率)=(販売先の売上÷会社全体の売上)×100

 

判定基準:5%以下

 

例えば、会社全体の売上が1,000万円で、会社全体の内、ある販売先が100万円の売上だった場合、売上構成比率は、100万円÷1,000万円×100=10%、となります。この場合、5%以下にコントロールする経営改善が求められます。

 

下請け構造の中小企業の場合は、少数の大口販売先によって経営が成り立っている会社も多いと思いますが、会社全体の売上の大部分を少数の大口販売先に依存してしまうと、会社の倒産リスクが高まります。

 

なぜなら、大口販売先の取引が消滅すると、正常な会社経営が出来なくなるほど、収益に打撃を受けるからです。いわゆる、大口販売先の倒産がきっかけで当事者の会社が倒産する「連鎖倒産」の危機です。

 

連鎖倒産の危機を含んでいる中小企業は少なくありません。

 

従って、なるべく大口販売先の依存度を下げて、販売先のリスク分散を行う必要があります。

 

中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)の概要

 

中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)の主な概要です。

 

 

倒産防止共済の加入資格

 

加入資格は、1年以上継続して事業を行っている中小企業者で下表の条件に該当する会社です。

業種

資本金の額又は出資の総額

常時使用する従業員数

製造業、建設業、運輸業その他の業種

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

小売業

5,000万円以下

50人以下

ゴム製品製造業

3億円以下

900人以下

ソフトウェア業または情報処理サービス業

3億円以下

300人以下

旅館業

5,000万円以下

200人以下

 

 

倒産防止共済の掛け金

 

掛金月額は、5,000円から20万円までの範囲(5,000円刻み)で自由に選べ、掛金総額が800万円になるまで積み立てられます。掛金は税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入できます。

 

 

貸付条件1

 

運転資金が枯渇して一時資金を擁する場合の貸付条件は下表の通り、機構解約の場合に支払われる解約手当金の95%の範囲内です。すでに貸付けを受けている共済金や一時貸付金がある場合は控除されます。

掛金納付月数

一時貸付金の貸付限度額

1ヶ月~11ヶ月

0円

12ヶ月~23ヶ月

掛金総額 × 75% × 95%

24ヶ月~29ヶ月

掛金総額 × 80% × 95%

30ヶ月~35ヶ月

掛金総額 × 85% × 95%

36ヶ月~39ヶ月

掛金総額 × 90% × 95%

40ヶ月以上

掛金総額 × 95% × 95%

掛金総額が800万円の場合

800万円 × 100% × 95% (760万円)

 

 

貸付条件2

 

取引先の倒産で売掛債権の回収が困難になった場合の貸付条件は下表の通りです。原則無利子で、返済期間は貸付額に応じて変わります。

貸付額

返済期間

5,000万円未満

5年

5,000万円以上6,500万円未満

6年

6,500万円以上8,000万円以下

7年

 

 

倒産防止共済の解約

 

共済契約の解約は、以下の3種類があります。

 

(1)任意解約・・・共済契約者がいつでも行うことができる解約です。

 

(2)みなし解約・・・個人事業主が亡くなった、法人(会社など)を解散した、法人を分割(その事業のすべてを承継)した場合など、その時点で解約されたものとみなされます。ただし、共済契約の承継が行われたときは解約にはなりません。

 

(3)機構解約・・・12ヶ月分以上掛金の払込みが滞った場合に、中小機構が行う解約です。また、不正行為により共済金の貸付けなどを受けようとしたときも、機構解約となります。

 

 

倒産防止共済の解約手当金

 

共済契約が解約されたとき、掛金納付月数が12ヶ月以上の場合、解約手当金が支払われます。ただし、掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は支払われません。また、不正行為により共済金や一時貸付金などの貸付けを受け、または受けようとした場合も支払われません。

 

解約手当金の額は、下表の通り、掛金の納付月数に応じて、掛金総額に次の表の率を乗じた額となります。

掛金納付月数

任意解約

みなし解約

機構解約

1ヶ月~11ヶ月

0%

0%

0%

12ヶ月~23ヶ月

80%

85%

75%

24ヶ月~29ヶ月

85%

90%

80%

30ヶ月~35ヶ月

90%

95%

85%

36ヶ月~39ヶ月

95%

100%

90%

40ヶ月以上

100%

100%

95%

※共済金や一時貸付金の貸付けを受けていて、返済していないものがある場合は返済期日前でも、解約手当金の額から控除されます。

 

※解約手当金は税法上、法人の場合は益金の額、個人の場合は事業所得の収入金額に算入することになります。

 

倒産防止共済の詳細は、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)のホームページに記載してある「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」をご覧ください。

 

 

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