社長が最低限すべき5つの仕事|会社の成長は社長の仕事で決まる

中小企業の社長の仕事とは?|社長が最低限すべき5つの仕事

 

中小企業の会社経営において、社長の仕事ほど重要なものはない。

 

なぜなら、社長が本来すべき仕事を遂行している限り、そう簡単に、会社が衰退することはないからだ。

 

この記事では、中小企業の社長が最低限すべき5つの仕事について、詳しく解説する。

 

 

中小企業の成長は社長の仕事で決まる

 

中小企業の成長は社長の仕事で決まる。

 

なぜなら、社長の最たる仕事は決断する事であり、その決断の結果が会社の成長を形成するからだ。

 

決断の質は社長の能力で決まり、社長の能力は日々の仕事の質で決まるため、社長の仕事の質は業績を大きく左右する重要な要因になる。

 

わたしは職業上、業績の良い会社の社長と業績の悪い会社の社長の両方のタイプの社長の仕事を数多く見てきたが、会社の業績の優劣を決めるのは、間違いなく社長の仕事の質である。

 

社長本来の仕事をしていない会社は例外なく衰退しており、会社によっては、社長ひとりの能力不足で会社を潰したケースもあった。

 

一度は成長軌道に乗った会社であっても、後継者として会社を引き継いだ社長が、本来すべき社長の仕事をしていないために倒産の危機に瀕した会社も数多にあった。

 

つまり、社長の仕事の質が、そのまま会社の盛衰を決定づけるのだ。

 

 

社長の仕事の基本は何か?

 

中小企業の社長の仕事は多岐にわたるが、社長の仕事で最も重要な領域は経営(マネジメント)になる。

 

経営とは、営みを経ける(いとなみをつづける)ということだが、言い換えれば、企業の永続性を確立する仕事こそが、経営者たる「社長の仕事」である。

 

例えば、

 

「あなたの事業は将来どうあるべきか?」

 

という、たった一つの問いかけの答えを真剣に考えるだけで企業の永続性を確立するためのアイデアや経営課題が無尽蔵に出てくると思うが、それらすべてのアイデアを具現化する、或いは、経営課題を解決に導くのが経営者の役割であり、社長の重要な仕事になる。

 

然るべきゴールを示して、会社の業績を上げ続けるためには、社長としてどのような仕事に重点を置き、それらの仕事を高い精度でこなすには何をすれば良いのか?

 

企業の永続性を確立する上で欠かせない、中小企業の社長が最低限すべき5つの仕事について、順を追って詳しく解説する。

 

 

社長の仕事1「数字を理解する」

 

社長の仕事1は「数字を理解する」だ。

 

会社の数字の理解は最も重要な社長の仕事になる。なぜなら、会社の業績の良し悪しを判断するには、会社の数字の理解が不可欠だからだ。

 

会社の数字には事業活動の全ての結果が集約されている。会社の規模関係なく、会社の数字は正しい会社経営に欠かせない情報であり、会社の数字なしに満足な会社経営など出来るものではない。

 

例えば、会社の数字が良好であれば会社経営がうまくいっているということが分かるし、会社の数字が悪ければ会社経営の戦術なり戦略の修正点が明らかになる。

 

また、会社の数字は、現在の状況だけを把握していればよいというものではなく、常に、決算時点や1年先を見通すことも大切になる。先行きが分かれば、正しく先手を打つことができるからだ。

 

経営者は、社長の仕事として誰よりも会社の数字を理解する努力をしなければならない。

 

社長が数字に弱いと衰退リスクが高まる。例えば、社長が会社の数字に疎くなると、社員も数字に疎くなる。数字に疎い集団に、まともな会社経営など出来るものではなく、失敗しか道がないという状態に陥ることもあり得る。

 

会社の数字の理解なしに、正しい経営力は身につかない。また、社長の仕事の代表格である資金繰りも、数字の理解なしにはうまくいかない。

 

会社の数字を理解することは、社長の仕事の第一歩なのだ。

 

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社長の仕事2「数字の精度を上げる」

 

社長の仕事2は「数字の精度を上げる」だ。

 

会社の数字の精度を上げることも社長の欠かせない仕事になる。なぜなら、数字の精度が低いと、社長の最たる仕事である決断の精度が低下するからだ。

 

会社の数字は、会計処理を通して財務諸表(貸借対照表・損益計算書)と呼ばれる会計資料に集約される。

 

あらゆる事業活動(取引)は、どんなに小さな活動(取引)であっても、会計資料に記録される。例えば、1円の売上や1円の経費といった小さな活動(取引)であっても会計処理の対象になる。

 

そして、会計資料は、一定の会計期間に区切られて作成される。

 

1年間という会計期間で作成される決算書(確定申告書)や1カ月という会計期間で作成される月次決算書(月次試算表)など、会計期間によって会計資料の内容は変わるが、会計期間内の事業活動と会計資料の整合性が高いほど、優れた会計資料になる。

 

例えば、1ヵ月分の売上に対して、経費が半月分しか集計されていない杜撰な会計処理を経て作られた会計資料の出来はどうなるだろうか?

 

1ヵ月分の事業活動の実態も、儲けの実態も、全く分からない会計資料になることは容易に想像できるだろう。

 

事業活動や儲けの実態が正確に反映されていない会計資料は、経営に役立つことはなく、ゴミ同然といっても過言ではない。

 

いい加減な会計資料であれば無い方がマシで、正しい数字が認識できないばかりか、経営判断を誤る元凶にもなりかねない。

 

事業活動の実態が正しく反映された会計資料なくして、まともな会社経営などできるものではなく、会社の数字の精度を上げることは、数字の理解と同様、重要な社長の仕事になる。

 

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社長の仕事3「会社の目標を設定する」

 

社長の仕事3は「会社の目標を設定する」だ。

 

会社の目標設定は成功するうえで欠かせない社長の仕事といえる。なぜなら、会社の成長は「目標に対して動く」ことから始まるからだ。

 

当然ながら、目標がなければ行き当たりバッタリの会社経営に陥ってしまい、成長しないならまだしも、会社の衰退リスクが高まるばかりとなる。

 

また、仮に目標があったとしても、そもそも目標設定が誤っていれば、いとも簡単に会社は衰退する。

 

中小企業の成長を実現するためには正しい目標設定が欠かせないが、正しい目標設定をするにも、何を基準にすれば良いのか、或いは、何を頼りにしたらよいのか分からないといった経営者もいるかも知れないので、必須目標をひとつ紹介する。

 

会社の成長に欠かせない目標は「利益」になる。

 

利益は会社の成長に不可欠で、利益がなければ成長投資が鈍化し、働く社員の生活水準も上げることができなくなる。

 

また、売れば売るほど儲かる、働けば働くほど豊かになる、時間が経てば経つほど企業規模が大きくなるといった成功の法則を手にするには一定の利益がなければならない。

 

利益目標は様々あるが、本業の利益目標になる「売上総利益高営業利益率(計算式は下記参照)」は必須になる。

 

売上総利益高営業利益率=(営業利益高÷売上総利益高)×100

 

目標水準=売上総利益高営業利益率20%

 

売上拡大と共に利益の絶対目標がセットされると、組織全体の利益意識が高まるので、会社が加速度的に成長する。

 

会社の成長を後押しする目標は利益以外にもビジョンや行動指針など様々あるが、何れにしても、会社の目標設定は、決して他人任せにはできない重要な社長の仕事になる。

 

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社長の仕事4「目標達成の計画を作り実行する」

 

社長の仕事4は「目標達成の計画を作り実行する」だ。

 

目標が定まったら計画と実行である。計画作りと実行推進は、最も重要な経営者の仕事といって過言ではない。

 

なぜなら、確かな計画と実行なくして、中小企業の成長発展はあり得ないからだ。

 

実効性のある計画を作るうえで欠かせないのは、現状と目標の間にある経営課題を正確に捉えることで、経営課題を正確に捉えるには、正しい目標設定をした上で、現状と目標の間にある経営課題を徹底的に発掘する必要がある。

 

例えば、現状の利益が目標利益(売上総利益高営業利益率20%)に達していないのであれば、利益体質を改善するために解消すべき経営課題が何なのかを徹底して洗い出す必要がある。

 

利益体質を改善するために解消すべき経営課題の一例

低価格、価格設定のミス、赤字取引、過剰サービス、過剰値引き、付加価値の低下、売上減少、高コスト体質、生産性の低下、仕入力・調達力の低下、ムダムラの放置、など等

 

経営課題を洗い出したら、経営課題を解消する具体的経営改善手法と経営課題を解消した後の効果測定、マイナスリスクの検証、優先順位の検討など等を綿密に行い、具体的実行案を計画に落とし込む作業に移行する。

 

そして、計画が完成したら、後は淡々と実行に移し、効果検証と計画修正を繰り返しながら、利益体質を改善する。

 

売上拡大と共に目標利益に向かって経営改善を継続すると、売れば売るほど儲かる、働けば働くほど豊かになる、時間が経てば経つほど企業規模が大きくなるといった法則が正常に機能するようになる。

 

会社の最良の未来予想図を示す経営改善計画書の作成と計画実行の推進は、社長の胆力がモノをいう、終わりなき社長の仕事になる。

 

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社長の仕事5「企業の永続性を確立する」

 

社長の仕事5は「企業の永続性を確立する」だ。

 

企業の永続性を確立するための、衰退を予見し先手を打つ経営システムの構築は、最も重要な社長の仕事になる。

 

中小企業においては、社長以下の社員は目の前の仕事に精一杯で、未来の会社の姿を冷静に予見する機会に殆ど恵まれない。

 

従って、社長は自分の重要な仕事として、1年先、3年先という未来を見つめて、事業の持続的成長の限界点、はたまた、企業の永続性を阻害する課題を予見し、先手を打たなければならない。

 

また、経済環境や社会情勢、或いは、テクノロジーの変化がもたらす事業価値の変化を先取りすることも忘れてはならない。

 

万が一、経営課題を見逃す、或いは、事業価値が陳腐化すると会社はあっさり衰退する。

 

社長の年齢によっては、経営を後継者にバトンタッチした後の会社経営のことも視野に入れる必要がある。(ちなみに事業承継の後に衰退する中小企業は沢山あるので事業承継を甘く見てはいけない)

 

未来を見通し、今を考える。

 

今、行動して、未来を変える。

 

企業の永続性を確立するには、社長が未来を予見し先手を打つ仕事を常に創造し、その仕事を社長の責任として遂行することが不可欠になる。

 

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中小企業の社長が最低限すべき5つの仕事のまとめ

 

中小企業の社長が最低限すべき仕事として「数字を理解する・数字の精度を上げる・目標を設定する・計画を作り実行する・企業の永続性を確立する」の5つの仕事を詳しく解説した。

 

この5つの社長の仕事のどれが欠けても会社経営はうまく続かないし、会社衰退のリスクを払しょくすることも出来ない。

 

大きな成功を勝ち取るために、最低限の社長の仕事として、真剣に取り組んでほしい。

 

なお、本記事では、中小企業の社長が最低限すべき仕事について詳しく解説したが、この他にも中小企業の社長がすべき仕事は沢山ある。

 

例えば、顧客創造、経営力研鑽、付加価値研鑽、幹部・後継者・社員教育、会社方針決定、投資戦略決定など等、社長がすべき仕事は挙げたらキリがない。

 

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