大手出身者は中小企業コンサルに不向き|コンサルのミスマッチが会社を衰退させる

大手出身者は中小企業コンサルに不向き

 

中小企業が経営コンサルタントを依頼すると、経営コンサル会社に登録されている大手出身者が派遣されることがある。

 

元経理部長、元営業部長、元人事部長、元開発部長、など等、そのタイプはさまざまだが、大手出身者は、中小企業の経営コンサルには不向きである。

 

この記事では、大手出身者が中小企業のコンサルティングに向いていない理由について、詳しく解説する。

 

 

大手出身者は中小企業コンサルに不向き

 

中小企業の経営分野に関して、大手出身者の経営コンサルが役に立たない例が少なくないが、なぜ、大手出身者の経営コンサルタントが中小企業に向いていないかというと、、、

 

それは、中小企業と大企業とでは、ヒト、モノ、カネ、情報等の経営資源、並びに、会社を取り巻く経営環境に大きな差があるからだ。

 

経営資源と経営環境に大きな違いがあるほど、大企業の経営手法は中小企業に通用せず、逆に、業績が悪化するケースの方が多い。

 

また、大企業を題材としたビジネス書の内容を鵜呑みにして、中小企業の会社経営に導入しても同様にうまくいかない。

 

中小企業の経営コンサルタントとして活躍している大手出身の経営コンサルもいるが、そうした経営コンサルタントは、大企業から中小企業へ転身し、経営の中枢、もしくは、経営者としての経験と実績を積んでいる方ばかりだ。

 

こういう経歴のコンサルタントは、大企業で培ったマクロ視点と中小企業で培ったミクロ視点が重なって、非常にバランス感覚の優れたコンサル能力を身につけている。

 

 

大手出身者のコンサルミスマッチの原因

 

大企業オンリーの経歴を持つ経営コンサルほど、中小企業のコンサルに不向きになる訳だが、大手出身の経営コンサルタントはじつに多い。

 

なにゆえ、これほど多くの大手出身者の経営コンサルタントが存在するのかというと、それは受け手側(中小企業経営者)の思考に問題があるからだ。

 

大企業は、会社の規模もあって優良な情報が沢山集まるので、大企業に10年超も勤めれば、その業界のノウハウやプロレベルの業務スキルが自然と身につく。

 

一方の中小企業は、情報水準が低いため、大手出身者の情報量に圧倒され易く、何の抵抗もなく大企業出身者からの経営アドバイスを受け入れがちになる。

 

中小企業経営者にとって、大手出身者の発言は新鮮かつ有益に聞こえるものだが、そのアドバイスを実行できるだけの経営資源が整っていないのが多くの中小企業の現状である。

 

また、コンサル側も、経営資源に乏しい中小企業に対して、業績を上げる具体的実践プランを提示できない、という欠点がある。

 

ここに、ミスマッチの根本原因があり、結局、大企業の肩書やブランドの大きさに惑わされて、アドバイスを経営に活かすことができずに終わるケースが多いのだ。

 

当然ながら、コンサルのミスマッチが生じると、業績は一向に上がらず、むしろ、コンサル費用がかさみ業績が悪化する。

 

 

大手出身の経営コンサルは利益貢献度が低い

 

わたしが過去に再建に関わった殆どの中小企業で、大手出身者のコンサルタントが出入りしていたが、業績を上げているコンサルタントは一人も存在しなかった。

 

中には経営コンサルタントに食い物にされている中小企業もあったが、なぜ、このようなミスマッチが成立するのか?

 

根本原因は先に述べた通りだが、この手のミスマッチが無くならない背景には、双方の自己満足がある。

 

経営者:「有名な大手企業出身者に指導して貰っている」

 

コンサル:「業界に精通したノウハウを特別に教えている」

 

双方の意識が業績を上げるための経営改善に向いていなければ、会社の業績が上がるはずがない。

 

そもそも、様々な分野のコンサルタントがいるが、会社の業績を意識している経営コンサルタントはじつに少ない。

 

会社の数字や財務諸表を読み解けない経営コンサルタントも星の数程いて、当然ながら、会社の数字を読めないコンサルタントにまともな経営指導はできない。

 

経営コンサル選びで失敗しないためには、経歴や有名企業名に惑わされずに、実力を見極める思考を持つことが大切だ。

 

※大手出身の経営コンサルタントの活用例外もある。例えば、大企業向けの商品開発やサービス提供を主体とした中小企業やベンチャー企業であれば、業界を知り尽くした大手出身の経営コンサルタントの協力を大いに仰ぐべきである。一から販売ルートや開発ノウハウを構築するよりも効率よく事業を展開することが可能になる