中小企業の事業再生ノウハウ1

中小企業の経営者を支える経営ノウハウ情報局

中小企業の事業再生事例1(年商25億円)

 

資金の調達力に乏しい中小企業の事業再建は、大きな痛みを伴うケースが多い。

 

できることなら、危機的状況に陥る前に、日頃から然るべき手を打って安定経営を実現するに越したことはない。

 

事業再生事例から何かを学び取り、反面教師として経営に活かしてほしい。

 

本事業再生事例は、「年商25億円、営業利益▲7.5千万円、借金12億円」の中小企業のケースである。

 

事業再生調査時の業績状況と調査内容は下記の通りである。

 

事業再生調査時の業績状況

売上高

2,500,000

 下降傾向

 売上原価

2,000,000

 売上原価率80%

売上総利益

500,000

 売上総利益率20%

 販売管理費

575,000

 売上高経費率23%

営業利益

▲75,000

 売上高営業利益率▲3%

借入金残高

1,200,000

 借入限度超過

(金額単位:千円)

 

事業再生調査内容

経営診断

【経営資料から分析】

 

資産状況の適正診断、損益状況の適正診断、経営上の問題点、資産状況の問題点、損益状況の問題点、会計上の問題点、税金対策について、業績改善のための具体的改善策の提示、改善スケジュール案と改善効果提示、等々

 

内部調査

【現地調査と社員面談実施】

 

会社経営に関わるあらゆる面の調査・判定・リスク評価等々(経営、販売、営業、組織、開発、設備、人事、物流、生産、社員、等々)

 

事業再生計画作成

【経営診断と内部調査結果を元に再生計画作成】

 

事業再生3ヵ年計画書、キャッシュフロー表(資金繰り表)、予算管理表、等々

 

 

 

事業再生調査で判明した主な問題点

 

事業再生調査で判明した主な会社の問題点、並びに、事業再生2年後の損益状況と主な事業再生手法は下記と通りである。

 

経営面の問題点

経営者の経営能力が著しく低い。経営方針や戦略に一貫性がない。役員含め、その役職に相応しい働きをしていない。重要ポストが身内とYESマンで占められている。経営者から末端社員まで会社の業績を全く理解してない。場当たり的な経営をしている。等々

 

組織面の問題点

上司部下の指示系統が不明確になっている。命令系統が崩壊している。部門間の情報交換がなく、問題の解決協議ができていない。管理部門が非協力的な姿勢でいる。社内ルールを決めても実行されない、長続きしない。等々

 

販売営業面の問題点

お客様に対する態度が悪い。社内が暗い。商品やサービスを粗末に扱う。ゴミを拾わない。商品やサービス管理が杜撰。人員体制に余裕がなく作業に追われている。長時間労働が常態化している。コスト意識が低い。作業効率が悪くコストロスを垂れ流している。知っていながら不良品を提供している。お客様の声を無視している。等々

 

人事面の問題点

職場の雰囲気が悪く、人間関係も悪い。会社が楽しくない。上司が高圧的態度で社員に接している。社員が委縮して自由に意見が言えない。残業代が支払われていない。社内恋愛が放置されている。監督者の組織調整能力がない。社員教育がされていない。問題社員が放置されている。等々

 

※上記の主な問題点は全て内部調査時の社員面談結果による

 

 

事業再生2年後の損益状況

売上高

2,000,000

 売上原価

1,570,000

 売上原価率78.5%

売上総利益

430,000

 売上総利益率21.5%

 販売管理費

400,000

 売上高経費率20%

営業利益

30,000

 売上高営業利益率1.5%

(金額単位:千円)

 

 

主な事業再生手法

経営者教育、不採算事業からの撤退、不採算子会社の清算、不良債権の整理、組織改編、管理会計の導入、経営情報の開示、キャッシュフロー表作成、資金繰り表の作成、予算管理の導入、3ヵ年の事業計画作成、不採算商品・サービスの収益改善、経営改善の推進、等々

 

 

事業再生のポイント

 

本件はわたしが関わった第一号の事業再生案件である。時期は2008年10月である。

 

事業再生対象企業の経営者は倒産の危機に瀕する割合の最も多い三代目だった。年齢は30歳代で、経営者としての能力は発展途上段階にあった。

 

事業再生調査で判明した問題点の通り、経営力がぜい弱で、業績はすでに債務超過の末期状態、銀行支援がなければ事業継続が厳しい状況にあった。

 

このような経営状態から事業を再生するには、銀行の協力を取り付けたうえで、ドラスティック(抜本的)な経営改革を断行するしかない。

 

主な経営改革の内容は、「徹底した赤字取引・赤字商品の排除」、「不採算事業の撤退・外注化」、「問題社員のリストラ」などである。

 

事業再生の結果、わずか2年で、年間1億円強の利益改善を達成することができた。

 

赤字取引や赤字商品の存在は、赤字企業に必ずとっていいほどある。

 

売れば売るほど赤字が膨らむ取引や商品は、決して容認してはならない。

 

なお、赤字取引や不採算事業の問題は、経営者が数字に強くさえなれば解消できる問題である。

 

➡NEXT「中小企業の事業再生事例2(年商40億円)」へ

 

 

 

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