流行に乗った商売は危険が多い|流行ほど当てにならないものはない

流行に乗った商売は危険が多い


流行の商売ほど当てにならないものはない。


何とっても、流行に乗った商売は、上がるのも早いが、下るのも早い。従って、流行は、中小企業経営者が最も注意すべき現象である。


この記事では、流行に乗った商売の危険性と流行時に経営者が注意すべき点について、詳しく解説する。



流行に乗った商売の危険性


流行に直面した場合、最も避けるべき行動は流行に乗った商売を安易に始めないことだ。


商売を始めたころには流行が終わり、オープンしてみたら閑古鳥というパターンは珍しくなく、とにかく流行に乗った商売は博打的要素が強く、マイナスの副作用が大きいので、避けて通った方が経営が安定する。


安定経営を実現したいのであれば、流行に乗らない・乗せない経営を堅持し、穏やかな成長率を目指した方が余計な衰退リスクを抱えずに済む。


上がっては少し下がり、また上がっては少し下がりという緩やかな上昇曲線で、年率5~20%の範囲内に収まる成長率で売上を伸ばすのが中小企業の経営が最も安定する理想ラインだ。


もしも、会社の商売が流行に乗ってしまった場合は、経営者は気を引き締めて経営の采配をしなければならない。


特に、売上成長率が20%を超えた場合は細心の注意が必要で、これは年率20%を超えるペースで急成長してしまった創業間もない会社も同様だ。


会社の商売が流行に乗った場合に中小企業経営者が気を付けるべき3つのポイントについて、順を追って詳しく解説する。



流行時の注意点「正社員を雇い過ぎない」


商売が流行に乗った結果、人手不足を解消するために正社員を急に増やすことは避けた方がよい。


少なくとも、半年から1年間は正社員の残業に加えて、契約社員やアルバイト等の補充で人手不足を解消する工夫が望ましい。


なぜなら、正社員を雇った後で、商売の流行が短期間で終息してしまうと、社員が余る事態に陥り、会社の生産性と収益性が著しく低下するからだ。


また、正社員の人員整理には最低半年くらいの期間と退職手当などの諸費用がかさむので、会社の生産性に貢献しない人件費の出費が大きく膨れ上がるリスクも抱えてしまう。


商売の流行に惑わされることなく、身の丈に合った採用計画を堅持することが大切だ。



流行時の注意点「設備投資をしない」


投資のタイミングや規模を誤った結果、過剰投資に陥り会社の業績が悪化する中小企業は数多にある。


投資の中でも、商売の流行に対応するための設備投資は、もっとも慎重に検討すべき事柄である。


例えば、商売が流行に乗って、慌てて設備投資を行って生産能力を上げた途端に流行が終わったらどうなるだろうか?


作るものが無いにも関わらず設備だけ残ってしまったら元も子もない。


商売が流行した初期段階は外注で対応する、或いは、数量限定で生産を受ける等の工夫が必要で、流行に浮かれて安易な設備投資を推し進めるのは危険な判断だ。



流行時の注意点「サービス水準を下げない」


商売が流行に乗った場合、最も綻びが出やすいのはサービスや品質面だ。


例えば、注文の受付が間に合わない、注文がさばけない、欠品など商品管理が杜撰になる、誤配送や凡ミスが多発する、商品の欠陥が増える、など等、商売の流行がきっかけでサービスや品質が低下した場合の弊害は、挙げたらキリがない。


一定のサービスと品質水準をキープするための人員体制、並びに、一定のサービスと品質水準をキープするための管理体制を疎かにすると、成長が一転して衰退に転じることが往々にしてある。


また、サービスと品質水準が低下すると、ミスや欠陥のクレーム対応など、内に向いた仕事量が増えてしまい、成長するほど生産性が低下するという悪循環が常態化する。


これでは、せっかくの流行に水を差すことになるであろうことは、容易に想像できるだろう。


程度の問題はあるが、このケースは商売の流行に限らず、普通の経営状態であっても比較的起こりやすい経営悪化の要因でもある。


企業が提供する商品は、常に顧客から選択される脅威にさらされているので、ひとたび、サービスと品質水準が低下すると、あっという間に市場競争からはじき出される。


サービスと品質水準は商売が流行した時はもちろんのこと、日頃から注意しておきたい経営の重要ポイントだ。