経営課題は業績が好調な時に作られる|経営課題を見逃すな!!

経営課題は業績が好調な時に作られる

 

経営課題は業績が好調な時に作られる。

 

なぜなら、業績が好調な時ほど、目の前の経営課題が見えなくなるからだ。

 

この記事では、経営課題の衰退リスクから経営課題を見逃すロジックに至るまで、詳しく解説する。

 

 

経営課題は最大の衰退リスク

 

経営課題とは、将来の衰退リスクのことだが、経営課題が何一つない中小企業などあり得ない。

 

会社を取り巻く経営環境の変化と共に、刻一刻と新たな経営課題が生ずるのが自然の理だ。

 

従って、いかに業績が好調な会社であっても何らかの経営課題を抱えており、そうした経営課題を見逃すと、その課題が大きな衰退リスクに成長し、少しのきっかけで会社が衰退することがある。

 

しかも、一度会社が衰退すると、それまで見逃していた経営課題が一気に噴出し、経営を立て直すのが難しくなる。

 

場合によっては、衰退あるのみ、といった状況に陥ることも珍しくない。

 

日本の中小企業の数は約400万社強で推移しているが、このなかで、次世代にバトンタッチできる健全経営を実現している中小企業の数は、わたしの感覚では10%以下、わずか40万社程度である。

 

健全経営とは、次世代の衰退リスクを見越したうえで、日頃から経営課題の解消に努めている経営姿勢の事だが、残りの360万社の中小企業は、経営課題を見逃している、或いは、経営課題の解消方法を誤っている可能性が高い。

 

業績が伸び悩んでいる会社、赤字経営に陥っている会社であっても、大概の会社は業績好調な時期が必ずある。

 

経営課題を見逃さないためには、日頃から将来の衰退リスクをシビアに管理し、先手先手で経営課題を解消しなければならないのだ。

 

 

なぜ経営課題を見逃してしまうのか?

 

なぜ、経営課題を見逃してしまうのか?

 

経営課題を見逃す原因は、経営者の油断、驕り、組織の選民意識だ。

 

好調な業績につられて経営者の驕りや油断、或いは、選民意識が組織に根付くと、重大な経営課題を見逃しやすくなる。

 

例えば、業績が好調な時は、自分がすべて正しいと勘違いしてしまい驕りや油断が蔓延する。さらには、自分達の正しさを過信し、組織に選民意識が根付き、他人の意見に耳を傾けなくなる。

 

こうなると、商品やサービスの不満足やクレームといった顧客の声に対して、その原因を自社に帰結して考える意識が薄らいでいく。

 

当然ながら、顧客不満足の原因を放置すると、成長のきっかけになり得る課題と向き合う機会が減少するばかりか、重大な経営課題も見落としかねない。

 

経営課題を見逃さないためには、業績の高低に惑わされず、いつなんどきも平常心で会社経営と向き合うことが大切だ。

 

また、事業の付加価値を研鑽する努力、取引先や顧客の声と向き合う真摯な姿勢、経営環境や会社の数字から将来の衰退リスクを抽出する緻密な分析など、絶えず経営課題を発掘し、解消する経営努力も欠かせない。

 

 

経営課題にはどんなものがあるのか?

 

中小企業の経営者が悩んでいる経営課題には、どんなものがあるのだろうか?

 

例えば、中小企業向けに無料経営相談を開設している中小機構(独立行政法人)に寄せられる年間12,000件もの相談内容を分類すると、経営全般(35%)、営業販売(20%)、資金調達(20%)、法律関係(10%)、事業計画(5%)、その他(10%)となっている。

 

ちなみに、経営全般のなかでも、中小企業経営者のお悩みトップ3は「売上拡大・コスト削減・資金調達」である。

 

また、日本能率協会が実施した経営者調査(2016年)の結果も興味深く、この調査では全体の半数の経営者が「収益性向上」を経営課題として挙げている。

 

続いて多いのが、人材の強化(採用・育成・多様化への対応)、売上・シェア拡大(販売力の強化を含む)、新製品・新サービス・新事業の開発、事業基盤の強化・再編(M&A・アライアンス・既存事業の選択と集中)、技術力・研究開発力の強化、顧客満足度の向上、などの経営課題がある。

 

この他にも、グローバル化(グローバル経営)、品質向上(商品・サービス・技術)、財務体質強化、現場力の強化、適切なコーポレート・ガバナンスの推進、ブランド力の向上、高コスト体質の改善、企業ミッション・ビジョン・バリューの浸透や見直し、などの経営課題が挙げられている。

 

伊藤のワンポイント
 

経営課題を見逃した瞬間から企業の衰退が始まります。そして、経営課題を見逃すほど、打つ手が限られ、衰退リスクも大きくなります。ですから、経営課題は小さい内に対処することが絶対条件です。どんなに業績が好調でも油断と慢心を排除し、衰退を予見し先手を打つ会社経営を実践することが大切です。