経営とは、営みを経(続)けるということだ。
つまり、未来永劫、企業の永続性を保ちながら、会社経営を続けることが経営の本質(意義)になる。
この記事では、持続的成長企業の定義、並びに、持続的成長企業を作る経営手法について、詳しく解説する。
企業の存続を支える要素は「持続的成長」である。
従って、持続的成長企業への変貌が、企業の永続性を確立する正しい方法になる。
持続的成長企業に変貌することさえできれば、経営に行き詰ることなく、100年、200年と会社経営を続ける事が可能になるが、ひとことに持続的成長企業といっても、その定義は様々ある。
例えば、右肩上がりの売上を実現し続けている持続的成長企業は果たしてどのくらいあるだろうか?
グラフにするとよく分かるが、右肩上がりの売上を実現し続けている持続的成長企業は現実的には殆どなく、中小零細企業であればなおさらである。
たとえ創業100年、200年と続く老舗企業であっても、右肩上がりの売上を実現し続けている持続的成長企業は決して多くなく、殆どの老舗企業は一定の売上成長の後に売上が横ばい(微増)傾向に移行する。
右肩上がりの売上を実現しなければ持続的な成長が破綻しているのかというと、そうではない。
売上成長が鈍化していても「売上の中身」を変えながら持続的成長を遂げている成長企業もあり、実態は、こちらの成長パターンの方が圧倒的に多いのだ。
人間の細胞は数年で全てが入れ替わるというが、企業も一緒だ。
企業の事業活動を支える全ての要因、例えば、顧客、商品、施設、社員、経営者、ビジネスモデル等々は、時間の経過と共にすべてが入れ替わる。
企業を取り巻く経営環境が不変ということはあり得ず、社員や経営者だけでなく、商品を愛用する顧客も一定のサイクルで入れ替わる。
中でも、顧客の寿命サイクル(入替り)は非常に早い特徴を持っている。
一般的には、
▶安定20%
▶不安定60%
▶常に入替り20%
の割合で、約20%は僅か1年で入れ替わるといわれている。
顧客が入れ替わる原因は、
▶競合の台頭
▶品質やサービスの低下
▶品質やサービスの陳腐化
など等、挙げたらキリがないが、何れにしろ、顧客の離脱は企業の持続的成長を阻害する由々しき事態だ。
当然ながら、顧客の離脱を傍観しているだけでは、持続的成長が破たんし、売上は減少の一途を辿る。
少なくとも毎年発生する自然離脱(約20%)の売上減少をカバーするだけの企業努力を継続しなければ、持続的成長企業に変貌することはできない。
つまり、右肩上がりの売上を実現するだけが持続的な成長ではなく、現状維持の売上も立派な持続的成長といえるのだ。
持続的な成長企業に変貌するには「弛まぬ企業努力(経営改善)」が不可欠だ。
例えば、
▶生産性と利益改善
▶商品やサービスの品質追求
▶テクノロジーの活用や技術革新
など等、持続的な成長を支える企業努力(経営改善)は沢山ある。
弛まぬ企業努力を継続すると、たとえ売上が一定でも、次第に商品の付加価値が上がり、最終利益が増加傾向に転じる。
この状態のキープ時間が長いほど、高付加価値&高収益体質が盤石なものになる。
創業100年、200年と続く持続的成長を実現する企業経営の秘訣はココにあり、企業の持続的成長の原点は「弛まぬ企業努力(経営改善)」にあるのだ。
継続的企業努力(経営改善)のメリットはこればかりではない。
創業年数が経過すればするほど「信頼」という無形資産の価値が大きくなる。
例えば、創業100年という文言がある企業とない企業では、信頼感に大きな差が生じる。
信頼感は購入心理を突き動かす大きな要因になるだけでなく、企業努力の効果も飛躍的に押し上げる。
例えば、新参企業が10の努力をしなければ購入に結び付かないものが、老舗企業では3の努力で済むことがある。
このように「企業の信頼」は優れた経営資源として活用できるのだ。
但し、注意も必要だ。
企業の信頼が資産価値を帯びるまでには50年~100年という途方もない時間を要すが、信頼を失墜するのは一瞬であるということだ。
企業の信頼を失墜させないためには、常に油断することなく誠実な姿勢で企業努力を継続することが大切になる。
企業の器の大きさは、経営者の器の大きさに比例する。
従って、経営者が自分の器の大きさを無視して際限なく売上拡大を追求していくと、いつしか経営のバランスが崩れ、持続的成長が破綻することがある。
「足るを知る」という言葉通り、経営者の器に合った売上規模に達した時点で、足元を固める企業経営に舵を切るのも賢い選択だ。
経営者の器を磨きつつ、弛まぬ企業努力(経営改善)を継続することが、持続的成長企業を作る方法になる。
経営とは、企業の持続的成長を確立する事であり、その実現こそが経営者の本来の仕事です。持続的成長を確立するには、経営環境の変化と共に生まれ続ける経営課題を絶えず解消しなければなりません。その為に必要なことは、経営に客観性を持たせることと、経営者が謙虚であり続けることです。