経営を誤らない意思決定の方法|失敗しない意思決定プロセスとは

経営を誤らない意思決定の方法

 

経営と意思決定には大きな関連性がある。

 

なぜなら、経営活動の成果は、経営者の意思決定の連続で形作られるからだ。

 

この記事では、経営を誤らない意思決定の方法について、詳しく解説する。

 

 

失敗しない意思決定プロセスとは

 

中小企業など、小さな会社ほど意思決定が経営者に集中する。

 

当然ながら、最後の砦である経営者の意思決定が会社の盛衰を分かつことになる。

 

会社の規模は経営者の意思決定で決まり、売上の急成長、或いは、売上の鈍化、はたまた、会社の衰退等の経営成績の良し悪しは、意思決定次第で決まるということだ。

 

経営者の意思決定が会社の経営に及ぼす影響は計り知れないが、正しい意思決定を下すには「経験・論理性・相対比較」の3つのポイントを外さないことが重要になる。それぞれの意思決定のポイントについて、順を追って詳しく解説する。

 

 

経験をもとにした意思決定とは?

 

経営者が、正しい意思決定を下すうえで「経験」は欠かせない要素になる。

 

なぜなら、経験には、経営者の過去の失敗や成功体験が蓄積された経営の勘ともいうべき重要な要素が含まれているからだ。

 

熟練のプロ経営者は、何らかの意思決定に直面した場合、感覚的に良し悪しを判断する確かな嗅覚(基準)を持っている。

 

良い予感、或いは、悪い予感...それはOK、或いは、それはNG...など等。熟練のプロ経営者ほど、論理を超えた意思決定であっても、結果としてうまくいくことがある。

 

経験一辺倒の意思決定は危険な面もあるが、論理性を補完する役割として、経験は重要な役割りを持っているのだ。

 

 

論理性をもとにした意思決定とは?

 

正しい意思決定を支える論理性の代表格は「会社の数字」になる。

 

なぜなら、全ての意思決定(事業活動)の結果は、会社の数字に表れるからだ。

 

会社の数字を無視した意思決定ほど危険なものはなく、例えると、目隠しで自動車を運転するようなものであり、失敗しか道がないといっても過言ではない。

 

会社の数字は正しい意思決定を下すうえで欠かせない要素といえるのだ。

 

そして、会社の数字と同様に、論理的な意思決定を支える要素が「相対比較」になる。

 

相対比較とは、相対する二つの側面から物事を比較検討する方法で、メリット・デメリットは相対比較の典型になる。

 

複雑化した物事を解きほぐすには、徹底した相対比較が最も効果的で、複雑な課題や事象であっても相対比較で分解すると、物事がシンプル化されて、意思決定の精度がグッと上がる。

 

 

意思決定の精度を高める相対比較の実践法

 

なぜ相対比較がなぜ重要かというと、同じ物事を違う立場に立って眺めてみると違った景色が見えるからだ。

 

下の図は、立場の違いで景色が変わる例えを表したものだ。

 

 

下に立てば上り坂、上に立てば下り坂、同じ坂でも立場が変わると景色が変わる良い例である。

 

会社経営は、様々な利害関係者、或いは、利害関係が複雑に絡み合って成立しているが、複雑な状況を鑑みずに、単一的な視点や近視眼的な視点で物事を判断すると、往々にして誤った意思決定を下してしまう。

 

相対比較なくして、意思決定の成功はないといっても過言ではないが、正しい意思決定を支える相対比較の主な実践法は以下の通りである。

 

正しい意思決定を支える相対比較の一例

メリット・デメリット、ポジティブ・ネガティブ、売り手・買い手、量・質、増加・減少、目標・結果、賛成・反対、プラス・マイナス、ミクロ・マクロ、長期・短期、変動・固定、絶対・相対、直接・間接、公・私、現実・理想、可能・不可能、需要・供給、入・出、ハード・ソフト、内部・外部、全体・部分、本音・建て前、主・従、営業・製造、一般職・管理職、など等

 

同じ物事をあらゆる相対比較で分析・検証すると正しい意思決定を支える論理的根拠が充実する。

 

但し、注意すべきポイントもあり、それは、相対比較で挙がった二つの側面に優劣をつける際は、数の多寡や多数決で優劣を判断しないことだ。

 

たとえ少数であっても意思決定に重要な影響を及ぼす意見であれば、そうした意見を採用する度量、客観性、公平性、選別眼、モラル等が、相対比較の精度を左右し、強いては、意思決定の精度を決定する。

 

 

経営者の意思決定の誤りを挽回する方法

 

中小企業は、経営者に意思決定が集中する。

 

経営者も人間なので全てにおいて万能なわけではなく、如何に経営者の経験と論理性が優れていたとしても、意思決定を誤ることはよくあることだ。

 

たとえ意思決定を誤ったとしても、即座に誤りを修正している限りは、経営の失敗リスクが高まることはない。

 

誤った意思決定を見逃すと会社の衰退リスクが高まるので、誤った意思決定を見逃さないことが何よりも大切で、そのために、会社の数字・社員の声・顧客の声」の3つのポイントを注視する事が不可欠になる。

 

経営者が誤った意思決定を下すと、大体は「会社の数字・社員の声・顧客の声」の何れかに影響が表れ、例えば、会社の数字であれば売上低迷や利益減少等々、社員の声であれば不平不満、顧客の声であればクレームや要望等だ。

 

常日頃から、会社の数字・社員の声・顧客の声を注視していれば、たとえ意思決定を誤ったとしても、その誤りを早期発見し、挽回することが出来る。

 

経営者は、常日頃から自分の意思決定の結果を検証する必要があり、投げやりな意思決定は、間違いなく会社の寿命を縮める。