リピート顧客とは、繰り返し商品を継続購入する顧客のことである。
企業にとって、将来の売上を永続的に保障してくれるリピート顧客ほど、ありがたい存在はない。
この記事では、リピート顧客を増やす確かな方法について、詳しく解説する。
リピート顧客を増やす最大メリットは、売上の安定化と共に、利益拡大が加速する点にある。
リピート顧客の1回あたりの購入単価は新規顧客の数倍であり、リピート顧客の獲得コストは、新規顧客の数分の一で済む。
つまり、リピート顧客は、少ないコストで最大の利益を生み出す存在であり、企業の生命線を握る重要顧客といえるのだ。
しかも、会社経営の本質は「売上最大化×経費最小化」にあるので、リピート顧客を増やすことは、経営の本質にも合致している。
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リピート顧客を増やすことは、企業成長の必須条件といっても過言ではない。
しかし、リピート顧客を増やすために、商品をリピート購入してもらう販売環境を整えるハードルは極めて高い。
なぜなら、企業は顧客を選べないが、顧客は企業を自由に選ぶことが出来るからだ。
企業が提供する商品は、常に顧客からの選択の脅威のなかにあることを忘れてはならない。
つまり、一度買ってくれたら自動的にリピート顧客になるという保障はどこにもないということだ。
また、顧客は物言わぬ存在であるということも忘れてはならない。
商品に少しでも落ち度があれば、丁寧に忠告することなく、二度とリピート購入しないというのが一般的な顧客の行動原理だ。
例えば、飲食店などに行き、トイレが汚い、ゴミが放置されている、或いは、接客が悪い、客層が悪い、など等、不快に思う印象を一つでも感じた顧客がリピート顧客になるだろうか?
取引先に訪問し、会社の雰囲気が悪い、営業マンの態度が悪い、或いは、商品の不良率が高い、トラブルが多い、など等、不快に思う印象を一つでも感じた顧客がリピート顧客になるだろか?
恐らく、リピート顧客になることはないだろう。
つまり、企業と顧客との接点で、たった一回(一瞬)でも落ち度があると、信頼関係にヒビが入り、リピート顧客が離脱するのだ。
リピート顧客は、企業に安定と平穏をもたらす貴重な存在になるが、リピート顧客を増やすには、企業が顧客に提供するあらゆる品質レベルを、常日頃から徹底して磨く必要があるのだ。
リピート顧客を増やすためには、定期的な現場のチェックが欠かせない。
しかし、中小企業においては、商品やサービスの品質に関わる作業チェックや現場チェックを経営者自身が行っていないケースが往々にしてある。
このような会社で経営者がふいに現場に行くと、
☑こんなことをやっていたのか?
☑こんな態度をとっていたのか?
☑ここのチェックを見逃していたのか?
など等、商品やサービスの品質を損なう落ち度を事後に発見することが度々起きる。
品質低下に直面した顧客は、リピート顧客として戻ってくることはないのだから、社員を怒鳴りつけても、後の祭りである。
リピート顧客は、会社の成長と衰退を分かつ重要な存在なので、リピート顧客を増やすには経営者自身がチェックすることが大切になる。効果的なチェック方法を以下に解説する。
先日、知人の飲食店に伺った際に、店内の一部に清掃が行き届いていない場所があった。
飲食店における衛生面の落ち度は、即刻、リピート顧客の離脱に繋がる由々しき事態である。
後日、その会社の社長さんに状況をお伝えしたところ「自分がお店に行くときはいつも清掃が行き届いているにおかしいなぁ」と言うので、お店に行くときに事前に通告していないか確認すると、案の定、事前通告のうえでお店に訪問しているとのことだった。
社長の前で良い仕事をしようとするのは社員の性(さが)である。
社長の目の前で怠けていたら、昇給どころか、たちまちクビ候補になるのだから当然といえば当然で、ピカピカに清掃するのも、普段以上に声を出すのも、キビキビ行動するのも、社長が目の前にいるからだ。
☑社長がいない時にどのような接客をしているのか?
☑社長がいない時にどのようなオペレーションをしているのか?
など等、企業と顧客の接点の真実が知りたければ、抜き打ちでチェックするしかない。
抜き打ちチェックの際に、万が一、落ち度があったとしても、企業の品質向上に繋がる改善点が発見できたと思えば、むしろ喜ばしいことだ。
よほどの落ち度でない限りは、その場で社員を叱ることなく、店長にそっと耳打ちして、後の改善は店長に任せ、後日、改めてチェックすれば社員にストレスを与えることもない。
リピート顧客を増やすには、企業と顧客との接点に細心の注意を払う必要がある。
そして、その注意を意識で終わらせることなく仕組み化して、行動が伴うチェック体制を作り上げることが大切だ。
例えば、トイレ清掃であれば点検表を作り記録を残し、更には清掃の合格見本(基準)を示し、合格レベル以下ならやり直し等のルールを仕組み化すれば、社員は一定の注意を払って行動せざる得なくなる。
なお、行動の仕組み化、又は、合格見本のどちらか一方が欠けると、このチェックは機能しなくなる。行動の仕組み化と合格見本を社員に示すことが、一定の注意レベルをキープする秘訣になる。
経営者と社員の注意レベルが上がるほど、商品やサービスの品質が上がる。そして、品質が上がれば、自ずとリピート顧客も増える。
顧客がいなければ商売は成立しません。つまり、リピート顧客は企業の生命線になります。二割の顧客は常に離脱していると云われているので、なおさらです。リピート顧客を増やすには、会社と顧客の接点を一期一会の気持ちで対応し、常に好印象を与える努力を続けることです。好業績な時ほど、この努力を意識して下さい。