経営者に必要な能力が不足した場合の弊害 その1|経営に失敗する社長の特徴

経営者に必要な能力が不足した場合の弊害 その1

 

倒産の危機に瀕する中小企業の経営者は、総じて経営能力が低い。

 

経営者に必要な能力が不足した場合の弊害は、会社の業績悪化だけに止まらず、社員のストレスの元凶になり、社員を不幸に導く先導者になるケースもある。

 

経営能力の低い経営者の弊害は、反面教師として、或いは、経営改善のヒントとして有効に活用することができる。

 

以下に紹介するケースは、わたしが過去に再建に関わった調査先企業に提示した調査レポートの一部抜粋になる。

 

経営者の能力不足が招く会社経営の弊害は衰退リスクを飛躍的に高める。経営者自身の日頃の言動と照合し、定期的にセルフチェックすることをお薦めする。

 

 

経営者起因の弊害「A社のケース」

 

社長の所在が分からない、赤字事業を放置している、社長が業績を把握していない、等々、社員の声を総括すると、社長が会社経営を行っておらず、全部門の経営を放置していると言わざる得ない状況です。

 

社長が会社の経営を放置している以上、会社が良くなるはずがありません。

 

会社の経営方針、理念が不明です。社長が社員に対して経営方針や理念を伝えないため、社員が何を基準に判断し、何を拠り所に仕事をして良いのか理解できずにいます。

 

また、自社の弱みと強みが把握されておらず、開発すべき新商品や販路開拓の方向性も不明瞭です。会社がより良い方向に向かって行くよう、明確な方針や理念、損益目標をしっかりと掲げる必要があります。

 

経営の要である損益管理が杜撰です。社長が損益管理を重要視せず会社の利益を意識しないため、社長をはじめ社員の多くが業績を把握していません。

 

利益意識が希薄なため、商品の赤字販売、赤字取引が多々存在しています。商品が販売されるまでの正確な経費と商品原価を把握し、適正な売価設定を行い、将来の販売計画や経費管理を行う必要があります。

 

経営上、多くのの問題が放置されています。会社の赤字、問題ある社員、問題ある取引先に対し、社長が何ら対策を講じていないため、社員の間で不安・不満が溜まりつつあります。

 

問題の解決は社員の協力の下、社長が先頭に立って行う必要があります。

 

 

経営者起因の弊害「B社のケース」

 

会社の損益管理、製造製品の原価計算、在庫管理、予算管理、業績目標など会社経営の要といえる業務がなされていません。会社の経営がなされていない、いわゆる経営者不在の状況にあります。

 

経営者不在ゆえに会社の組織が脆弱で、上司部下の権限が不明瞭、指示系統が不明瞭、情報の共有・伝達がなされない、社員や部門間同士の協力が希薄等、多くの問題を引き起こしています。

 

経営者が不在で、組織力が脆弱ゆえに、お客様へのサービスの質も自ずと低下するという悪循環に陥っています。

 

会社が赤字であるにも関わらず多くの社員に切迫感がなく、どこか他人事のような気持ちで仕事に当たっている風潮も見受けられました。このこともサービスの質を低下させている要因と考えます。

 

社員の中には一所懸命日々の仕事に取り組んでいる方もいます。しかしながら、社長や経営幹部が社員に対して経営方針や業績目標を伝えない上に、部下の相談にも応じていない状況のため、社員が何を基準に判断し、何を拠り所に仕事をして良いのか理解できずにいます。

 

また、自社の弱みと強みが把握されておらず、お客様の新規開拓や新商品の開発の方向性も不明瞭です。会社がより良い方向に向かって行くよう、明確な方針や理念、業績目標をしっかりと掲げる必要があります。

 

社員が会社に対して経営改善案を提案しても、説明のないまま放置されたり、聞き入れてもらえなかったりして、社員の意見が経営に反映されていません。

 

このような会社の対応(反応)に対して、社員は新たな提案を断念している様子さえ見受けられます。(優秀な人材やベテラン社員の退職にも繋がっています)

 

経営に関する意見は、社員からも広く受け入れ、出来るだけ早く話し合いの場を設けて、回答してあげることなどの心がけが必要です。

 

 

経営者の能力不足を解消するには?

 

中小企業は、経営者一人の能力次第で会社の業績の良し悪しが決まる。

 

上記実例に、少しでも心当たりがあるようであれば、早急に是正することをおススメする。

 

伊藤のワンポイント
 

社員は常に経営者の背中を見ているので経営者の本性(真実)を良く理解しています。中小企業は経営者の能力で業績が決まります。常に客観性と謙虚さを持って社員の声に耳を傾け、業績不振に陥った時は自身の至らなさを補う努力を懸命にしなければなりません。そうした姿勢が、社員との信頼関係を強固にするのです。