社長の数字力は、業績を大きく左右する。
事実、業績を伸ばしている経営者は数字に強く、業績悪化に苦しんでいる経営者は総じて数字に弱い。
この記事では、数字に弱い社長が数字に強くなる方法について、詳しく解説する。
数字に弱い社長が数字に強くなる方法は無限にある。
一般的には簿記や会計を習う、ビジネススクールに通う、経営塾に入塾する等の方法があるが、時間が限られている経営者にはハードルが高い。
しかも、財務諸表をスラスラと読み解くには、最低限、日商簿記2級程度の知識が必要だが、知識ゼロから日商簿記2級の知識を習得(合格)するには、最低半年間はかかる。
知識ゼロでも財務諸表が読み解ける的な参考書もあるが、効果は甚だ怪しい。
恐らく、売上、売上総利益、販売管理費、営業利益、或いは、流動資産、固定資産、純資産等の財務諸表の項目と意味ぐらいは理解できると思うが、財務諸表をスラスラ読み解くレベルに達することはないだろう。
更に言ってしまえば、たとえ財務諸表がある程度読み解けるようになったとしても、会社の経営状態が適正か否かを判断するには、さらに高度な上級テクニックが必要になる。
日商簿記2級どころの話ではない...。
それでは一体、時間の限られている経営者が数字に強くなるためには、どのような方法が良いのだろうか?
数字に弱い社長が、比較的短期間で数字に強くなる方法としてお薦めなのは「管理会計の導入」である。
管理会計とは財務諸表の数値を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことで、「売上原価率(売上原価÷売上)」のモニタリングも立派な管理会計である。
管理会計は四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロであっても誰でも習得することができるし、会社の活きた数字を使うので、日常的に運用することで会社の数字の理解が一段と進む。
運用開始から三ヵ月もすれば、数字に強い社長に変貌することも可能だ。
管理会計は会社の数字を良質な情報に変換させるフィルターのようなものだ。
例えば、財務諸表に記載されている数字は事実なので、資産や負債、売上や利益の実績金額は分かるが、資産と負債のバランス具合、売上成長率や利益水準の適正具合、等々の会社経営の適正度合いを実績金額だけで判断するのは困難だ。
こうした数字を経営に活かす情報に変換するのが管理会計であり、管理会計というフィルターを通した良質な情報が蓄積されるほど社長の数字力が向上する。
管理会計の導入効果は極めて高い。
下表は、中小企業の管理会計導入率と赤字経営率を表したグラフになる。
ご覧の通り、中小企業の管理会計未導入率は80%と云われていて、赤字経営率70%と概ね相関が取れている。
このことからも、社長の数字力が会社の業績に大きな影響を与えることがお分かり頂けると思う。
管理会計未導入の会社の経営者は、数字を軽視した行き当たりバッタリの経営に陥っているものと思われるが、経験や勘だけに頼り切った会社経営はじつに危うい。
やはり、数字等の客観的情報を活用した会社経営を実践しないと、失敗リスクは拭えない。
繰り返すが、簿記や会計の知識ゼロであっても、管理会計を導入することで社長の数字力が高まる。数字に強くなりたい中小企業経営者は、是非とも、管理会計にトライしてほしい。
数字は事業活動の真実を照らし、客観性にも優れています。昨今は経験や勘だけでは乗り切れない決断が増えていますので、数字等の根拠情報が決断の精度を大きく左右します。数字一辺倒の経営は危ういですが、数字を無視した経営はもっと危ういです。数字に弱い社長ほど管理会計の導入を進め、数字に強くなって下さい。