中小企業の寿命は永遠か否か?
中小企業の寿命は間違いなくあり、毎年、新しい中小企業が誕生している一方で、ひっそり寿命を終えている中小企業が数多にある。
この記事では、中小企業の寿命、並びに、会社の寿命を延ばす秘訣について、詳しく解説する。
日本国内における株式会社は、毎年8万社強が誕生している。
その一方で、実に、2万5千社もの株式会社がその寿命を終えている。
株式会社の99%以上が中小企業なので、この数字は中小企業の実態を表している。
下表は、法務省統計の登記数の推移である。
株式会社設立 |
会社清算 |
会社破産 |
|
---|---|---|---|
平成27年 |
88,803 |
14,558 |
9,898 |
平成26年 |
86,639 |
14,121 |
10,805 |
平成25年 |
81,889 |
13,500 |
11,736 |
平成24年 |
80,862 |
13,794 |
12,968 |
平成23年 |
80,244 |
13,670 |
12,843 |
平成22年 |
80,535 |
14,683 |
13,931 |
平成21年 |
79,902 |
14,409 |
14,871 |
平成20年 |
86,222 |
18,234 |
13,247 |
平成19年 |
95,363 |
17141 |
11,301 |
平成18年 |
76,570 |
16,549 |
11,068 |
上表には経営実態のない会社や休眠会社は含まれていないので、寿命を終える中小企業の実態数はもっと多いと思われるが、この数字からも分かる通り、中小企業の寿命は決して長くない。
下表は10年間の会社の生存率を表したものだ。
一説では、起業から10年後の生存率は5%といわれている。
そもそも、会社は人間の寿命と違って、現金が底をつかない限り寿命が尽きることはない。
では、どうして毎年2万5千社超の企業の寿命が尽き、10年後の生存率が5%といわれているのだろうか?
これほど多くの中小企業の寿命が早々に尽きる理由は、「赤字経営を容認している経営者が多いから」のひとことに尽きる。
赤字経営とは、収入よりも支出が上回り、お金の収支がマイナスの経営状態のことだ。
例えば、100円の売上を得て、110円の経費を支払い、収支が▲10円となっている状態である。
会社にとってのお金は、人間の血液のようなものだ。
赤字経営はお金が垂れ流しになっている状態なので、人間に例えると怪我をして血液が垂れ流しになっている状態と同じである。
人間の場合は、出血が止まらないと出血多量で死を迎えるが、会社も一緒で、お金の垂れ流しが止まらないと運転資金が底をつき、何れ倒産(死)を迎える。
赤字経営を容認するとは、そういうことなのだ。
中小企業の赤字経営は全体の70%程度といわれている。
なかには節税のために意図的に赤字経営にしている会社もあるだろうが、赤字経営を容認している会社が多くあるのは紛れもない事実である。
では何故、赤字経営でも会社が維持できるのだろうか?
大きな理由を挙げると、次のような要因が考えられる。
☑運転資金を銀行借入で充当している
☑減価償却費分の現金が残っている
☑経営者が身銭を切って赤字補てんしている
しかし、銀行借入が停止し、赤字額が減価償却費以上に拡大し、経営者の身銭も底をつくと、とどのつまり、会社は倒産する。
会社の寿命が尽き経営が破たん(倒産)すると、関係者全員が一瞬で不幸になる。
会社の倒産は、社員や取引先へ不幸を運ぶ由々しき事態であり、経営者自身にとっても、倒産の淵から這い上がるための努力たるや生半可なものではない。
中小企業の経営者は、その責任を胸に刻み、決して赤字経営を容認してはならない。
たとえ今現在が赤字経営であっても悲観することはなく、これから黒字化すれば良いのだ。
例えば、「会社の数字を深く理解する」ことは黒字経営に欠かせないポイントだが、会社の数字を理解していれば黒字化の見通しが見えるだけでなく、赤字転落のリスクもグッと低くなる。
経営改善や黒字化のヒントは、全て会社の数字の中にある。
たとえ1円の利益でも構わない。黒字経営の実現は、会社の寿命を伸ばす最低条件なのだ。
会社は現金がなくなった瞬間に寿命を迎えます。ですから、売上拡大だけを意識するのではなく、利益と現金を拡大することを決して忘れないでください。黒字経営は、利益と現金を拡大するための最低ラインです。この最低ラインをクリアすることが企業の寿命を延ばす、はじめの一歩になるのです。