中小企業が会社の強みを見誤ると、必ず衰退の一途を辿る。
なぜなら、会社の強みが中小企業の存続を決定づけるからだ。
この記事では、会社の強みを見誤り衰退する中小企業の事例について、詳しく解説する。
中小企業の存続を保障する会社の強みは、徹底した差別化分析から生まれる。
例えば、大企業や競合他社の商品を比較対象にして、徹底的に差別化分析を行うと、自ずと自社の会社の強みが明らかになる。
但し、会社がおかれている事業環境の理解が浅いと、会社の強みを見誤るので注意が必要だ。
例えば、中小企業が大企業と同じような安価で画一的に大量生産される商品と同じ土俵で勝負しても、勝てる見込みはない。
すでに競合他社が先行してる商品と同じレベルのもので勝負しようとしても、同様の結果になる。
このように、事業環境上、勝ち目のない領域に会社の強みを見出そうとしても、せいぜい衰退するだけだ。
中小企業が市場に生き残るには、大企業や競合他社に負けない会社の強み、つまり、明確な差別化ポイントが欠かせない。
会社の強みがない状態で生き残れるほど、市場競争は甘くないのだ。
中小企業が市場で生き抜くために磨くべき会社の強みは様々ある。
商品、価格、サービス、人材、品質、技術、特許、少量多品種、小ロット体制、独自商圏、ネットワーク...、など等、会社の強みになり得る要素を挙げたらキリがない。
このなかに、中小企業にマッチしない会社の強みが一つある。
それは「価格」である。
例えば「あなたの会社の強みはなんですか?」
という問いかけに対して「安さだけならどこにも負けません。低価格が会社の強みです」と、返答する中小企業経営者が稀にいるが、価格しか競合他社に勝てる要素がないのであれば、長期的な会社経営は難しい。
低価格を会社の強みにした場合の企業寿命は、せいぜい1代限り、もって2代である。
なぜなら、中小企業は価格面では大企業に勝てないからだ。
また、競合他社に安値攻勢を仕掛けられると、不毛な消耗戦(体力勝負・資金勝負)に陥り、様々な弊害が噴出する。
例えば、中小企業が消耗戦に突入すると、如何に安い商品を顧客に提供するか、という一点に経営方針が集中するので、材料コストや人件費が安価な方向に誘導される。
当然ながら、時間が経過するほど、提供する商品の付加価値やサービスレベルが低下する。
安価品に飛びつく需要があるうちはいいが、品質事故や風評被害等で客離れを起こすリスクも抱える。
一度客離れを起こすと収益が極端に減少し、会社存続が危ぶまれる事態にも繋がりかねない。
仮に会社が存続したとしても、薄利多売で十分な利益が確保できないので、会社の発展を支える成長投資や設備投資、修繕投資を満足に行うことができず、至るところが老朽化する。
何かの拍子に設備が故障して経営効率が落ちると、すぐに会社経営が行き詰る。
最終的には経営者家族の生活費を切り詰める状況にまで行きつき、誰のために会社を経営しているのか分からなくなる。
このように、低価格を会社の強みに掲げた中小企業の経営は早晩行き詰る。
中小企業にとって価格の強み(安値や低価格路線)は、会社の強みになるどころか、会社の弱味にしかならないのだ。
資金力に乏しい中小企業が会社の強みを見誤り、ひとたび業績悪化の悪循環に陥ると、そこから抜け出すことは容易なことではない。
下の図は、中小企業が目指してはならない会社の強みの見つけ方を図解したものである。
ご覧の通り、これでは会社の強みが磨かれることはなく、早晩、会社経営が行き詰まる。
下の図は、中小企業にマッチする会社の強みの見つけ方の一例である。
大企業や競合他社に負けない「高品質・高付加価値」を作り上げる過程を図解したものだが、このサイクルを回すと、自然と会社の強みが増強される。
より良い工夫で付加価値が高まれば会社の強みが増強され、結果、収益が増加する。
収益が増加すると更に品質を上げるための投資が加速する、まさに経営の好循環、プラスのスパイラルである。
ちなみに、より良い工夫とは、コストをかけることばかりではなく、製法等を工夫して品質を維持しながらコストを下げられるのであれば、それも立派な工夫である。
この好循環を回し続けると会社の強みが益々盤石になり、一段と会社経営が安定する。中小企業が目指すべき会社の強みは、価格以外の分野で見つけることが大切なのだ。
企業は強み(差別化ポイント)でしか勝負することができません。ですから、強みが何もなければ経営を続ける事が困難になります。だからといって低価格に逃げないで下さい。丹念に強みを補強すること、或いは、もし強みがなければ着実に弱みを克服することが、会社の強みを盤石にする秘訣です。