離職率の高い中小企業に将来性はない。
なぜなら、社員の離職率が高まることでマンパワーが低下すると、業績悪化と共に会社が衰退するからだ。
この記事では、離職率の高い企業の衰退リスク、並びに、業種別の離職率について、詳しく解説する。
経営者の役割は経営資源を最大限に活用して利益を最大化するところにあるが、経営資源のなかで最も重要な資源はヒト、つまり社員だ。
社員の能力は、性格、感情、性別、欲望、利害など等、様々な要因が絡み合っているので、経営者の使い方次第で、最大限に活用できることもあれば、全く活用できないこともある。
そして、社員の能力を最大限に活用することができれば会社の業績は間違いなく良くなる。
下の図は、社員の成長と会社の成長の相関を図解したものだ。
このように、社員の離職率を抑え、社員の能力を十分に引き出すことが出来れば、業績は自然と上がる。逆に、社員の離職率が高く、社員の能力が底上げされないと、業績は下がる。
社員ほど経営者の使い方ひとつで、会社への貢献度が変わる経営資源はない。
つまり、社員を有効に活用できるか否かで、経営者の能力、強いては、会社の盛衰が決まるのだ。
離職率とは、ある時点で仕事に就いていた労働者のうち、一定の期間(例えば1年なり3年)の内に、どれくらいがその仕事を離れたかを比率として表わす指標のことだ。
離職率は、社員の能力が十分に活用されているか否かを測定する目安として使える。
例えば、離職率が高ければ、社員の能力がピークに達する前に離職する確率が高いということなので、社員の能力が十分に活かされていない、ということが分かる。
一般的に離職率の高い企業は、持続的成長が難しく、将来性が低い傾向にある。
下表は厚生労働省が集計している2010年の新卒者の3年以内の離職率である。
業種 |
高校卒 |
短大等卒 |
大学卒 |
---|---|---|---|
電気・ガス・熱供給・水道業 |
6.5% |
5.8% |
8.8% |
鉱業、採石業、砂利採取業 |
27.6% |
- |
13.6% |
金融・保険業 |
20.9% |
25.6% |
19.6% |
運輸業、郵便業 |
31.9% |
30.8% |
23.1% |
複合サービス事業 |
21.5% |
24.6% |
18.5% |
製造業 |
27.1% |
31.5% |
17.6% |
生活関連サービス業、娯楽業 |
62.1% |
53.7% |
45.4% |
教育、学習支援業 |
60.1% |
39.3% |
48.9% |
情報通信業 |
39.7% |
34.7% |
22.6% |
建設業 |
46.8% |
42.5% |
27.6% |
小売業 |
50.0% |
43.6% |
37.7% |
宿泊業、飲食サービス業 |
66.6% |
56.4% |
51.0% |
学術研究、専門・技術サービス業 |
40.2% |
44.4% |
32.5% |
卸売業 |
41.2% |
38.9% |
27.9% |
医療、福祉 |
45.3% |
35.2% |
37.7% |
不動産業、物品賃貸業 |
47.1% |
46.4% |
39.6% |
サービス業(他に分類されないもの) |
42.9% |
44.4% |
36.5% |
その他 |
71.0% |
64.6% |
68.4% |
各業種に含まれる事業所は、ハローワークに対して雇用保険適用事業所設置届を提出している事業所が対象なので、大企業から中小企業まで、社員を雇用している殆どの企業が含まれる。
離職率は業種によって、下は10%弱から上は70%強まで開きがあり、エネルギー等のインフラ産業は離職率が低く、サービス業は総じて離職率が高い傾向にある。
離職の理由がネガティブであろうと、ポジティブであろうと、会社が育てた社員が離職するのは会社にとってマイナス要素であることに違いはない。
中小企業において、毎年正社員を採用できる会社は殆どない。
従って、如何に社員を会社に定着させて低い離職率をキープしつつ、社員の能力を開発していくかが、会社を発展させる重要なポイントになる。
なお、経営者の能力=会社の業績、という法則は離職面でも当てはまる。
なぜなら、中小企業の場合、社員が離職する最たる理由が、経営者もしくは経営幹部との関係悪化だからだ。
事実、社員と経営者の信頼関係が良好な企業は、離職率が低い傾向にある。
中小企業の場合は、業種平均よりも離職率が悪化しているようであれば問題だ。少なくとも、離職率が業種平均を下回るような経営努力が必要だろう。
離職率を引き下げる秘訣は、社員満足度を追及することです。社員満足度を上げるためのコストはさほどかかりません。社長の何気ない労い(御礼や感謝)や気遣い(差し入れ等)で十分です。報酬が相場並みであっても、社長がしっかりコミュニケーションを取っていれば、離職率が悪化することは殆どありません。
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