企業ミッションを貫徹にすれば売上はどこまでも伸びる

 

企業ミッションとは、商品やサービスを通してターゲット顧客へ与えるべき「価値創造」のことだ。

 

具体的には、顧客に対して提供すべき価値、そのために社員と共有すべき使命等を明文化したもので、企業ミッションを貫徹するほど売上が伸びる。

 

この記事では、企業ミッションの作り方、企業ミッションを貫徹することで売上が伸びる仕組みについて、詳しく解説する。

 

 

企業ミッションとは

 

企業ミッションとは、商品やサービスを通してターゲット顧客へ与えるべき「価値創造」のことだ。

 

具体的には、顧客へ対して提供すべき価値、そのために社員と共有すべき使命等を明文化したもので、企業ミッションを貫徹するほど売上はどこまでも伸びる。

 

顧客へ対して提供すべき価値を表す企業ミッションは、提供価値を創造するために取るべき具体的言動をソフト面(ビジョン、経営方針、企業風土等の無形資産)とハード面(人財、店舗、工場等の有形資産)に分けて考えると明快になり易い。

 

顧客に対する企業ミッションの実現度を高めるために、全社員と共有すべき使命は、最も構成の大きな上位コストの費用対効果を高めることを絶対使命に掲げると、ミッションの貫徹度合いが高まり、売上拡大が加速し易くなる。

 

何れにせよ、地域ナンバーワン、あるいは、業績が右肩上がりの好調会社ほど、企業ミッションが明快で、ミッション実現のために組織の力を一点集中させて、見事に企業ミッションを貫徹している。

 

顧客に対する企業ミッション

 

顧客に対する企業ミッションの作り方について、解説する。

 

顧客へ対して提供すべき価値を表す企業ミッションは、提供価値を創造するために取るべき具体的言動をソフト面とハード面に分けて考えると分かりやすい。

 

例えば、スターバックスジャパンは「一杯から広がる無限の可能性を、地域社会と共に育み、サードプレイスを提供する」という企業ミッションを掲げている。

 

この企業ミッションを3つに分解すると、冒頭の「一杯から広がる無限の可能性を」はソフト面、「地域社会と共に育み」はハード面、最後の「サードプレイスを提供する」は顧客への価値創造を具体的に表している。

 

一つ目のミッション「一杯から広がる無限の可能性を」実現するために、彼らはワンtoワンマーケティングを実践している。具体的には、オーダーメイドの接客、あらゆる品質の追求、居心地の良い空間デザイン、アプリ経由でのポイントやレコメンドの提供等、一人ひとりのお客様に対して特別な体験・印象・情報を提供している。

 

二つ目のミッション「地域社会と共に育み」を実現するために、彼らは三年で閉店するような店舗出店はしない、というポリシーを掲げて、店舗を起点とした持続可能なコミュニティの確立に全力を尽くしている。地域性を尊重した店舗デザインを見れば分かるように、多様性の尊重と地域貢献がベースにあることも理解できる。

 

三つ目のミッション「サードプレイスを提供する」は、自宅でも職場でもない第三のリラックスできる場所。おかえりとただいまが聞こえてくる居心地の良い場所を提供することを目指して、「一杯から広がる無限の可能性を、地域社会と共に育み、サードプレイスを提供する」という企業ミッションを貫徹している。

 

このように、企業ミッションが明快なほど、やるべき事が明快になり、売上拡大に弾みがつく。加えて、ソフト面(ビジョン、経営方針、企業風土等の無形資産)とハード面(人財、店舗、工場等の有形資産)の付加価値強化の方向性が定まり、顧客への価値創造の実現度が増し、売上拡大が加速し易くなる。スターバックスの企業ミッションは秀逸なので、ぜひ参考にしてほしい。

 

社員と共有すべき企業ミッション

 

顧客に対する企業ミッションと同じくらい重要なのが、社員と共有すべき企業ミッションだ。

 

社員と共有すべき企業ミッションは、上位コストとリンクさせると効果的だ。コストは売上を作るためのエネルギー源なので、大きなコストほど、事業活動の生命線になるからだ。

 

例えば、上位コストトップ1位が人件費であれば、「ヒトを集め、ヒトを育てることが会社の生命線になる」という企業ミッションを掲げて社員と共有すれば、採用、育成、労働に至るすべてのヒトに関わるコストの使い方がシビアになり、ヒトに対して1円も無駄にしない企業風土が定着し易くなる。

 

自分たちの働きだけでなく、採用し易い環境を整えることや社員が育ちやすい環境を整えることも重要なミッションとして意識せざる得なくなるので、技能スキルだけでなく、社会人としての常識や人間として成長に至るまで、個々の人財レベルの合格水準も上がる。結果、ライバル企業よりも優れた人財が定着し、売上の拡大スピードが一段と加速する。

 

上位コストは業種業態によって変わるが、少なくともトップ3位のコストは企業ミッションとリンクさせて、組織全体に意識させることをお薦めする。コストの売上を作る力が高まり、コストを使うほど売上が増えるスパイラルが回るはずだ。

 

(この記事は2025年3月に執筆掲載しました)

 

筆者プロフィール

ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」