
経営目標なくして、会社の成長なし。会社の経営目標はそれほどに重要だ。
経営目標を掲げると、目標達成までの道筋が明快になり、会社の成長が一段と加速する。逆に、経営目標がないと、行き当たりバッタリの会社経営に陥り、成長が鈍化、或いは、会社が衰退する。
経営目標は多種多様で、言葉などの概念的なものから数字などの論理的なものまで、じつに幅広い。そして、経営目標は正しく運用しないと、業績を上げるための経営努力が全て無駄になる。
この記事では、中小企業の成長を加速させる基本の経営目標について、詳しく解説する。

経営目標その1は「数値目標」について解説する。
数値目標は、会社の成長を加速する経営目標の代表であり、数値目標が明快になるほど経営改善の効果が上がり、比較的短期間で業績が改善される。
数値目標は、経営改善の基本になる「収入を増やして支出を減らす」活動の基準になり得る、次の5つの数字を経営目標として掲げるとよい。
| 数値目標 | 目標 | 目標達成のポイント | 
|---|---|---|
| 売上 | 上げる | 新規顧客開拓、新商品投入、リピート促進、販売効率改善、売価検証、等々 | 
| 売上原価 | 下げる | 製造効率改善、仕入先開拓、等々 | 
| 売上総利益 | 上げる | 売上の拡大、売上原価の低減 | 
| 販売管理費 | 下げる | 労働効率改善、固定費削減、経費の効率化、等々 | 
| 営業利益 | 上げる | 売上総利益の拡大、販売管理費の削減 | 

経営目標その2は「経営指標」について解説する。
前章の数値目標に経営指標を加えると、経営改善の効果がより効率化されて、目標達成のスピードが加速する。特に、次の2つの指標は、経営目標として効果的なので、常時運用してほしい。
| 経営指標 | 目標 | 計算式 | 適正指標 | 
|---|---|---|---|
| 売上総利益率 | 上げる | (売上総利益÷売上)×100 | 1%単位で常に改善する | 
| 粗利高営業利益率 | 上げる | (営業利益÷売上総利益)×100 | 標準10%以上、優良20% | 
経営目標を掲げ、目標達成を目指す上で最も大切なことは「現状把握」にある。現状と目標の差が明らかになれば、やるべきことが明確になるからだ。
従って、数値目標と経営指標の両面から現状を分析し、然るべき経営目標を掲げると、経営改善の効果は間違いなく上がる。
なお、経営改善に焦りと無理は禁物で、例えば、各経営指標の改善は半年~一年単位で1%ずつ改善を進めるのが無理のない姿だ。半歩~一歩ずつの経営改善は、社員や取引先への負担が少なく済み、改善効果が長期的に持続しやすい。

経営目標その3は「経営理念」について解説する。
会社の成長は経営者個人の力量だけでは何れ限界を迎えるので、限界を突き破るために、社員の力を集結させて、組織の力を最大化しなければならない。
組織の力を一点に集中させる役割を担う経営目標は、経営理念をおいて他にない。なぜなら、経営理念ほど組織の行動原理を明快にするものはないからだ。
経営理念を定めるうえで必要な項目は下表の通りである。
| 会社の使命は? | より具体的に | 
|---|---|
| 会社の存在意義は? | より具体的に | 
| 会社の経営姿勢は? | より具体的に | 
| 会社の将来像は? | より具体的に | 
| 会社のお客様像は? | より具体的に | 
| 会社の提供価値は? | より具体的に | 
経営理念は会社の将来像を照らすので、様々な戦略展開の基準になり得る経営目標にもなる。
数値目標、経営指標、経営理念が明確になると、効率的、且つ、効果的な経営改善を遂行できる経営基盤が整う。つまり、この3つの経営目標を運用することが、会社成長の基本になるのだ。