会社の損益分析は最低でも毎月1回は必要だ。
なぜなら、損益分析で会社の問題点を捉えることが出来れば、会社の衰退リスクが小さくなるからだ。
この記事では、損益分析で分かる会社の問題点と、その問題点の深刻度を測定する損益分析手法について、詳しく解説する。
会社の損益分析の根拠資料は損益計算書を用いるが、損益分析を通じて分かる会社の問題点は「成長性・収益性・経費水準」の3項目になる。
この3項目の損益分析結果が良ければ衰退リスクは低く、逆に、この3項目の損益分析結果が悪ければ衰退リスクが高いといえる。
つまり、「成長性・収益性・経費水準」の適正度合いが分かれば、衰退リスクを上手にコントロールすることが出来るのだ。
損益分析をするうえで重要なポイントは「損益の分析方法」と「分析の結果判定」である。
当然ながら、損益の分析方法を誤れば、正しい分析結果は出ない。更に、損益の分析方法が正しくても、分析の結果判定を誤れば、同様に正しい分析結果は出ない。
誤った分析結果をもとに経営改善を行っても、成果が出ないであろうことは容易に想像できるだろう。
正しい損益の分析方法と結果判定基準を習得することが、正しい損益分析結果を導く条件であり、正しい損益分析結果は経営改善の目標を明確にし、安定経営の実現に貢献する。
安定経営の実現に欠かせない「成長性・収益性・経費水準」、この3項目の問題点を明らかにする損益分析の具体的方法は下記の通りになる。
成長性の適正診断(問題点)は「売上高成長率〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100」で分かる。概ね、0%~5%が標準水準で、6%~20%の範囲であれば超優良水準になる。
標準水準を下回っている場合は、次のような問題点が考えられる。
・市場規模、顧客数が縮小している
・新商品、新市場の開拓が停滞している
・営業力が低下し、競合他社が台頭している
収益性の適性診断(問題点)は、「売上総利益高営業利益率〔(営業利益÷売上総利益)×100〕で分かる。概ね、10%が標準水準で、11%~20%の範囲内であれば超優良水準になる。
標準水準を下回っている場合は、次のような問題点が考えられる。
・高付加価値商品の割合が低下している
・価格競争に陥り、利益率が低下している
・営業効率が低下し投下した経費の割に売上と利益が確保されていない
経費水準の適性診断(問題点)は、「売上総利益高経費率〔(経費÷売上総利益)×100〕」で分かる。概ね、90%が標準水準で、80%~89%の範囲内であれば超優良水準になる。
標準水準を下回っている場合は、次のような問題点が考えられる。
・ムダムラを見逃している
・売上総利益の割に経費が過分にかかっている
・経費効率(組織体制、コスト意識等)が低下している
損益の適正分析をする方法は様々あるが、この記事で解説した「成長性・収益性・経費水準」、この3項目の適正具合いを常に把握していれば、会社経営に失敗するリスクが小さくなる。
損益計算書を読める経営者は多いが、損益分析まで正しくできる中小企業経営者は多くない。損益計算書は、経営分析に活用するほど、有益な情報を得ることができる。
損益分析の精密さと定着率が向上するほど会社の衰退リスクが小さくなるので、損益の分析スキルは経営者の必須スキルといっても過言ではない。