行政書士は、官公署に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理、主に、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成、行政不服申立て手続代理等の行政手続の代理を行う。
行政書士になるには、総務省が実施する行政書士試験に合格するなど、一定の資格を得た上で、各都道府県の行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会の登録を受ける必要がある。
中小企業の場合、司法書士同様、弁護士よりも行政書士の方が身近な存在だと思う。中小企業における、行政書士の主な業務内容は下記の通りになる。
通常、遺言には、本人を筆者とする「自筆証書遺言」、公証人を筆者とする「公正証書遺言」、筆者の不特定の「秘密証書遺言」の3種類がある。行政書士は、これら全ての遺言書作成の支援を行う。
遺産相続においては、法的紛争段階にある事案(弁護士事案)や、税務・登記申請業務(税理士・司法書士事案)に関するものを除き、遺産分割協議書や相続人関係説明図等の書類作成を中心に、その前提となる諸々の調査も含め、引き受けている。中小企業の多くはオーナー兼経営者である場合が多い。相続問題で会社経営に支障がでないように、相続対策はしっかりと事前に講じておきたい仕事だ。
土地、建物等の賃貸借や金銭の消費貸借等を行う場合は、その内容を書面に残しておくことにより後々の紛争予防になる。行政書士は、これら契約書類の作成や、発生したトラブルについて協議が整っている場合には、「合意書」「示談書」等の作成も行う。
また、行政書士は交通事故にかかわる調査や保険金請求の手続も行う。また、被害者に代わり、損害賠償額算出に供する基礎資料の作成、損害賠償金の請求までの手続等も行う。加害者、被害者双方間で示談が成立している場合は「示談書」を代理作成する。
マイカーや社有車の購入・保有にあたっては、ナンバー変更・名義変更等の自動車登録申請が必要だ。地域によって車庫証明が必要で、平日に警察署へ2度以上行く必要がある。行政書士は、依頼者に代わって各種登録申請を行う。
農地転用の許可申請をする必要がある。農地転用とは、農地を農地以外のものにすることで、具体的には、住宅地・工場用地・道路・駐車場・資材置場等にする場合がある。
また、農地の売買をする場合にも許可が必要で、行政書士はこれらの手続を一貫して行う。その他、開発行為許可申請手続、里道・水路の用途廃止及び売払い手続、官民境界確定申請手続など、行政書士は、多くの土地等に関連する各種申請手続を行う。
内容証明とは、何年何月何日に誰から誰あてに、どのような文書が差し出されたかを謄本によって証明するもので、後々のトラブル防止、契約後のクーリングオフ等には有効な手段である。行政書士は依頼者の意思に基づき、文書作成の代理人として法的効力が生じる書面をとりまとめて、内容証明郵便として作成する。
公正証書とは、公証人が権利義務に関する事実につき作成した証書である。公正証書は、強い証明力があり、また、一定の要件を備えた公正証書は、執行力を持つので将来の紛争予防に大きな効果がある。行政書士は、契約書等を公正証書にする手続や会社定款の認証を受ける手続等を代理人として行う。
行政書士は、バス・タクシー・トラック等の運送業、一定規模以上の建設業等の許可申請書、並びに産業廃棄物や一般廃棄物の収集・運搬及び処理業、自動車解体業等の申請手続等を依頼に基づき幅広く手がけている。
また、飲食店や遊技店を開店するには、営業開始前に保健所・警察署に必要書類を提出し、その施設が基準を満たしているかどうか確認を受ける必要がある。行政書士は、店舗の形態によって必要書類を作成し、許可申請手続や届出等を行う。