経営診断の基本スキル|対比と事実認識|中小企業の経営診断手法

中小企業の経営診断手法|対比と事実認識|経営診断の基本スキルを理解する

 

中小企業の経営者にとって経営診断スキルほど重要なものはない。

 

なぜなら、自己経営診断スキルが身についていれば、経営課題を明確に捉え、会社を成長させる経営改善を一段と加速させることができるからだ。

 

この記事では、中小企業経営者が身につけるべき経営診断の基本スキル(対比と事実認識)について、詳しく解説する。

 

 

経営診断の基本スキル

 

確かな経営診断スキルなしに、まともな経営改善など出来るものではない。

 

経営改善なくして会社の成長はあり得ないので、経営診断スキルは経営者の必須スキルといっても過言ではない。

 

しかし、経営診断をしようにもどこから手を付けて良いのか分らない、といった中小企業経営者もいると思う。

 

そこで、経営診断を始めるうえで抑えるべき、経営診断の基本スキルともいえる「事実認識」と「対比」について分かりやすく解説する。

 

会社の経営診断を進めるうえで、まず初めに、現状の状況を知る必要がある。いわゆる「事実認識」である。

 

そして、現状が適正か否かを判断するには比較を行う必要がある。いわゆる「対比」である。

 

例えば、会社の財務状況が正常か否かを経営診断する場合、まず最初に、財務数値の実績を事実認識し、次に、実績値と適正値を対比させることで、はじめて正しい経営診断結果が得られる。

 

経営診断は、この二つの基本スキルを習得しなければ正しく運用することができず、正しい事実認識と対比が、経営診断の精度を高めるポイントになる。

 

 

経営診断の精度を高める方法

 

経営診断の精度は、事実認識と対比の精度が高まるほど、緻密になる。

 

そのために抑えるべき点は、事実認識と対比の「対象データを正しく捉える」ことだ。

 

例えば、事実認識と対比の対象データが正しければ、経営診断の結果精度が高くなるが、事実認識と対比の対象データが誤っていれば、経営診断の結果精度は著しく低下する。

 

当然ながら、経営診断の結果が誤っていれば、結果をもとに推し進める経営改善行動も、全てが誤った方向に誘導され、場合によっては、衰退まっしぐら、ということも起こりかねない。

 

経営診断は、会社の経営改善活動を正しい方向へ誘導するために行うものであり、その経営診断の精度を高めるには、根拠ある正しい対象データをもとに事実認識と対比を行うことが欠かせないのだ。

 

 

経営診断の基本「事実認識の対象データ」

 

経営診断の事実認識の対象データは、年単位であれば確定決算書、月単位であれば月次決算書(月次試算表)が代表例になる。

 

決算書には、会社の業績が全て集約されている。従って、事実認識の対象として最も信頼できる経営データといっても過言ではない。

 

例えば、いち社員が今月の売上は〇〇円でしたと口頭で自己申告した数値(売上高)と、月次決算書に記載されている売上高の二つを比較した場合、信頼すべきデータは後者になる。

 

つまり、事実認識の対象データは、信ぴょう性の高い経営データを用いることが基本になる。

 

 

経営診断の基本「対比の対象データ」

 

経営診断時の対比の対象データは、月単位であれば前月実績、もしくは前年同月実績、年単位であれば前年実績を採用する。

 

対比とは別のアプローチで比較する類比という比較方法がある。類比とは、同類、若しくは、似ている対象と比較する方法で、例えば、同じ業界、同じ規模の会社等々の平均や実績が類比の対象データになる。

 

対比は自分を知るための比較、類比は他人を知るための比較ともいえるが、会社の成長は「他人に合わせた経営改善」よりも「自分を知り、自分を正す経営改善」に徹した方が成長スピードが加速する。

 

従って、経営診断を行う際の比較は、類比よりも対比が基本になる。

 

 

正しい経営診断が正しい経営改善を支える

 

正しい事実認識と対比を経て導き出された経営診断結果は、正しい経営改善を推進する原動力になる。

 

従って、経営診断をベースに経営改善計画を作成・運用すると、会社の成長スピードが一段と加速する。

 

ココで注意すべき点は、実行・実践を忘れない事である。

 

ありがちなパターンだが、経営診断に満足して、その後の経営改善がおざなりになる経営者がいる。これでは、経営診断に費やした時間と労力が全てムダになる。

 

経営改善の必要性を認識しつつも、行動が伴わなければ業績は少しも改善されない。改善されないだけならまだしも、課題を放置することで衰退リスクが飛躍的に高まることもあり得る。

 

経営診断は、会社の理想の将来像を提示する一つの手段に過ぎないので、経営診断を行っても、業績が改善するわけではない。

 

経営診断は、経営改善活動が伴い、はじめて効果が出る。そして、経営診断も、経営改善も、経営者が先頭に立って推進すべき重要な仕事である。