オリンピックの特需ビジネスは危険が多い。
なぜなら、おおもとのオリンピック特需がなくなると、一気にビジネスの規模が萎むからだ。
この記事では、オリンピックの特需ビジネスの危険性、並びに、オリンピック特需が長続きしない理由について、詳しく解説する。
オリンピックの特需ビジネスは失敗リスクが高く、極めて危険である。
オリンピックのような大きな特需に便乗して立ち上げるビジネスを便乗型ビジネスというが、例えば、オリンピック関連施設の近くに飲食店や駐車場、或いは、ホテルを開業するといったビジネスは便乗型ビジネスの典型例といえる。
オリンピック特需に便乗したビジネス最大のデメリットは、オリンピック特需が終わった瞬間に、便乗して立ち上げたビジネスが破綻する点である。
特に、オリンピックは、終わった瞬間に国民の熱気と期待が著しく低下するので、オリンピック関連品や施設の需要、或いは、オリンピック開催地区の集客力が一気に落ち込み、大概の便乗ビジネスは破たんしてしまう。
このような状況は、オリンピックが開催された場所が廃墟化した実例を見れば、容易に想像できると思う。
オリンピック特需に便乗したビジネスがすべて失敗に終わるかというとそうでもなく、ポイントさえ抑えれば、オリンピック特需を利用したビジネスの成功モデルを構築することができる。
例えば、オリンピック開催に合わせて、会社が保有している経営資源をオリンピック特需に投下する方法などは、成功モデルの典型例といえる。
具体的な例を挙げると、仕出し弁当屋がオリンピック会場近くに飲食販売ブースを構える、或いは、スポーツ販売店がオリンピック関連商品のネットショップを立ち上げる、といったビジネスモデルだ。
ここで重要なのは、期限を区切ることと、決して、追加の資本を投下しないことである。例えば、設備の増設や社員の新規採用は厳禁である。
オリンピック特需に対応するビジネスは既存の経営資源で対応し、不足部分は、すべて変動費(協業、外注、賃貸、リース、アルバイト等)で対応することが成功の秘訣になる。
当然ながら、固定費(設備増設、新規採用等)になり得る資本を追加投下すると、オリンピック特需が終わった瞬間に、その固定費が本業の収益を圧迫し、本業ビジネスの衰退を招くリスクを生み出してしまう。
オリンピック特需を利用したビジネスモデルは、期間限定と変動費型をベースに構築することが成功の秘訣になるのだ。
オリンピック特需のピークは、オリンピック開催の一年前と云われている。
なぜなら、オリンピック開催の一年前までくると、オリンピックが終わった後のイメージが浮かび、市場が冷静になり、特需の盛り上がりが萎むからだ。
なかでも、マンションや貴金属加工品などの高額商品は、その影響を受けやすいので、オリンピック特需のピークまでに在庫を圧縮する意識を持つことが大切だ。
当然ながら、特需のピークを誤ると、いとも簡単に在庫過多に陥って、経営が危機的状況に陥ることもあり得る。
つまり、オリンピック特需に便乗するビジネスは、オリンピック開催の一年前をピーク需要に設定し、事業計画や損益計画、或いは、供給計画を立てることが失敗リスクを抑える秘訣になるのだ。
(この記事は2018年10月に執筆掲載しました)