売上拡大と利益拡大の方法・戦術・戦略|売上と利益は企業繁栄の両輪

売上拡大と利益拡大の方法・戦術・戦略

 

売上拡大と利益拡大は企業の生命線になる。

 

売上が無ければ利益が生まれず、利益が無ければ会社経営が破綻するからだ。まさに売上と利益は企業繁栄の両輪である。

 

この記事では、売上拡大と利益拡大の方法・戦術・戦略、並びに、売上拡大と利益拡大が加速する市場について、詳しく解説する。

 

 

売上拡大と利益拡大の重要性

 

会社経営は売上を作ることから始まり、利益を残すことで存続が可能になる。

 

従って、売上拡大と利益拡大は企業の生命線になり、この活動がうまく行かないと、途端に会社経営の破たんリスクが高まり、存続が危うくなる。

 

また、売上拡大と利益拡大は安定経営の両輪を成していて、一方が欠けると、安定経営の破たんリスクが著しく高まる。

 

特に多いのは、売上拡大の一方で利益が減少する現象で、一度このスパイラルにはまると、利益が減少するほど、手持ちの現金も減少するため、売上拡大のための成長投資が鈍化する。

 

当然、この状況が長く続くと、売上・利益共に、拡大のきっかけがつかめないまま衰退することもある。

 

売上拡大と利益拡大の重要性は極めて高く、会社経営の主要活動として定着させることが欠かせない。経営資源にゆとりのない中小企業にとってハードルが高い取り組みではあるが、以下に解説する戦略等を実践すれば、確実にそのハードルは下がる。

 

 

売上拡大の方法・戦術・戦略

 

売上拡大の方法・戦術・戦略は、売上を構成する「単価×数量×回数」を上げる方法、並びに、営業力強化と事業領域拡大などが挙げられる。それぞれ、売上拡大手法について詳しく解説する。

 

売上拡大「販売単価を上げる」

販売単価を上げて売上を拡大する方法は、商品の付加価値を上げる、需要を増やす、付随サービスを提供する、アップセル(単価の高い商品への誘導)、クロスセル(オススメや関連商品への誘導)、パッケージ化(セット販売や数量割引への誘導)などが有効な方法になる。

 

売上拡大「販売数量を上げる」

販売数量を上げて売上を拡大する方法は、新規顧客の開拓、潜在顧客の発掘、リピーターの獲得、相対価値と絶対価値の訴求などが有効な方法になる。特に、既存顧客に誠心誠意尽くす姿勢と、商品価値を高める情報発信は売上拡大の絶対条件になる。

 

売上拡大「販売回数を上げる」

販売回数を上げて売上を拡大する方法は、上位2割の顧客や成長分野の顧客に営業を集中させる、限定商品を投入する、或いは、ストックビジネス(消耗品、レンタル、定期購入、定期保守、会員制、手数料等)を展開する等が有効な方法になる。

 

売上拡大「営業力を強化する」

営業力を強化して売上を拡大する方法は、集客の最適化、情報共有、業務効率化、アクセス環境の改善、顧客分析などが有効な方法になる。また、顧客の収益や競争優位性に貢献する提案に集中する方法も有効である。

 

売上拡大「事業領域を拡大する」

事業領域を拡大して売上を拡大する方法は、前後業務や前後工程を取り込む方法や原料や材料の内製化が有効な方法になる。なお、事業領域を拡大して売上を拡大する際の重要なポイントは専門性になる。専門性がない分野での事業領域の拡大は、衰退リスクを高めるので注意が必要だ。

 

 

利益拡大の方法・戦術・戦略

 

利益拡大の方法・戦術・戦略は、生産性改善、高収益商品、付加価値研鑽などが挙げられる。それぞれの利益拡大手法について詳しく解説する。

 

利益拡大「生産性改善」

生産性を改善して利益を拡大する方法は、業務効率化(自動化・簡素化・合理化等)、仕入改善(集約・共同購入・計画購入等)、ノンコア業務の外注化、コストダウン、ボトルネック解消、事業や組織の最適化、最新技術やノウハウの取込み等が有効な方法になる。

 

利益拡大「高収益商品」

高収益商品を活用して利益を拡大する方法は、高い生産性や収益性を兼ね備えた商品・サービスに営業を集中し、そこから上がる収益を更に成長投資に回し、高収益商品の販売実績を拡大するサイクルを定着させる取組みが有効な方法になる。

 

利益拡大「付加価値研鑽」

付加価値を研鑽して利益を拡大する方法は、感情的価値(歴史・ビジョン・ストーリー・ファン化・地域ナンバーワン・人気ナンバーワン等)を高める活動、経済的価値(顧客の収益・時間・コストへの貢献度,世界最少・最軽量・最速等)を高める活動が有効な方法になる。

 

利益拡大「事業コストの抑制」

事業コストを抑制して利益を拡大する方法は、新たな技術やテクノロジーの活用が有効だ。時代の進行とともに絶えず生まれる新たな技術やテクノロジーをタイミングよく取り込み続けると、事業コストが最適化され、一定の利益水準をキープし易くなる。

 

利益拡大「シーズ提案型営業」

売上の限界点を突破し、利益を更に拡大するには、シーズ提案型の営業活動を取り入れると良い。新しいシーズが受け入れられれば、新しい売上がそっくりそのまま増えるからだ。その分野の第一人者になれば、先行者利益も総取りできる。シーズ分野への先行投資の実践度が、会社の未来を決定付けるのだ。

 

 

売上拡大と利益拡大が加速する市場

 

売上拡大と利益拡大が加速する市場について、詳しく解説する。

 

売上拡大と利益拡大のスピードや推進力は、競争優位性と市場規模で決まる。

 

競争優位性とは端的に「強み」のことで、市場規模は「需要」のことだが、強みを持って市場を制する戦略展開が、売上と利益を拡大する正攻法になる。

 

下図は、売上拡大と利益拡大が加速する市場を示した戦略マトリックスだ。

 

 

強みが無ければ売上と利益の拡大ができないので、競争優位性が弱い市場(上図:不毛市場)には最初から参入しない方が賢明だ。

 

売上と利益を確実に拡大するには、強みが発揮できる市場(上図:育成市場と独占市場)を主戦場にするのがお薦めだ。

 

育成市場は、ニッチ市場、先行投資市場も含むが、非主流派の需要を完全に取り込む、シーズ提案型のマーケティングで潜在顧客を顕在化する等の戦略が有効だ。

 

独占市場は、本業市場、投資回収市場も含むが、主流派の需要を拡大する、市場の成長を加速するニーズ提案型のマーケティングを推進する等の戦略が有効だ。

 

何れの市場も、強い競争優位性をベースに拡大することになるので、利益率を落とすことなく、売上・利益の拡大を推進することができる。

 

事業活動の資源配分は、育成市場に2割、独占市場に8割の割合で経営資源を分配・投入すると、売上拡大と利益拡大のスパイラルを長期間キープし易くなる。

 

 

売上拡大と利益拡大の肝は競争優位性にある

 

最後に、売上拡大と利益拡大の肝になる競争優位性について、詳しく解説する。

 

売上・利益の拡大は、競争優位性が肝になるので、人財育成・商品開発・広告宣伝・設備投資・技術革新等の取り組みは決して手を緩めてはならない。

 

シャープ中興の祖と言われた佐伯旭氏は「真理は平凡のなかにある。一朝一夕にことがなるものではない。一日一日が大事なのだ」と言ったが、まったくその通りだ。

 

佐伯時代のシャープはイノベーションの連続だったが、その秘密は日々の地道な努力にあった。尺取虫のようにミリ単位で進むがごとく、あらゆる企業努力を積み重ね、たった一代で、一介の組み立て工場を一兆円超えの世界的メーカーにまで押し上げた。

 

一日一日の企業努力(技術開発・財務改善・営業販売・広告展開・人財育成等)をライバル会社よりもわずかでも多く積み重ねることが出来れば、100日後、1000日後にはとんでもなく大きな差になるものだ。しかも、時間をかけて積み上げた成果は、とても長持ちする。企業努力で競争優位性を磨き続けることが、売上拡大と利益拡大のスピードを決定づけるのだ。