社員に利益を意識して働いてもらう方法|簡単に利益意識を高める秘策

社員に利益を意識して働いてもらう方法|簡単に利益意識を高める秘策

 

社員に利益を意識して働いてもらう方法は簡単だ。

 

社員に会社の数字を開示すること、ただそれだけである。

 

この記事では、会社の数字を開示し、社員に利益を意識して働いてもらう方法について詳しく解説する。

 

 

数値目標が利益意識を変える

 

数値目標が課せられると、自ずと利益意識が芽生える。

 

例えば、「数字のある目標」と「数字のない目標」を比べた場合、目標として有効に機能するのは、数字のある目標だ。

 

大企業では新人社員からベテラン社員に至るまであらゆる数値目標が与えられているのが普通だが、多くの中小企業では数値目標が十分に活用されていない。

 

利益意識の欠落、赤字取引の放置、ムダとロスの放置、行き当たりバッタリの言動、向上心の欠落、生産性の低下、同じミスの頻発など等は、数値目標が活用されていない中小企業によくみられる症状だ。

 

社員に利益を意識してもらうためには、会社の数字を開示し、数値目標を活用することが欠かせない。

 

社員に数字を開示すれば、社員に対して具体的数値目標を与えることができる。数値目標を課せられた社員は、必然的に利益を意識し始める。

 

 

利益意識は数字の開示が決め手

 

社員に対して会社の数字を開示することで得られるメリットは様々あるが、一番の効果は、数値目標をもって効果的且つ効率的に利益改善を推進できることだ。

 

例えば、社員に対して会社の数字を開示していれば「会社の経費を10%削減して利益を10%上げてほしい」というような具体的な利益改善目標を与えることができる。

 

社員とすれば、具体的な利益目標が与えられているので、利益(会社の数字)を意識せざる得ない。

 

また、社員自身の利益改善行動を数字で検証できるので、手ごたえを感じながら利益改善を進めることができる。

 

晴れて10%の利益改善が達成されれば、社員の能力評価の根拠材料として採用することもでき、合理的な社員評価の尺度も生まれる。

 

このように、社員に対して会社の数字を開示し数値目標を与えるだけで、社員の利益意識が高まり、社員の会社全体に対する利益貢献度が高まる。

 

じつは、中小企業においては、事業部長や課長といった責任ある役職者であっても、利益を意識して働いている社員は、それほど多くない。

 

まして一般社員となったら、皆無といってもいいかも知れない。それだけ多くの中小企業で、会社の数字や数値目標が活用されていないということだ。

 

 

社員の利益意識は目標設定が肝になる

 

社員の利益意識は、目標設定が肝になる。

 

例えば、「売上5%増加」という目標を社員に与えると、利益度返しの方法で売上増加を図る可能性がある。

 

☑営業社員を増員して売上増加を図る

 

☑広告宣伝費を増額して売上増加を図る

 

など等、利益度返しの方法で売上を5%増加させたとしても、過分な経費がかかり利益が減少すれば、経営状況がそれだけ悪化する。

 

杜撰な利益管理が原因で、売上が増える一方で利益が減少することは良くあることだ。

 

従って、この場合は「売上と利益を共に5%増加」という目標を社員に与えることが、利益意識を定着させる正しい目標設定になる。

 

社員の利益意識を高めるには、利益目標が欠かせず、利益目標さえ定着すれば、利益拡大の効果は一段と大きくなる。

 

 

会社の数字は誰に開示すべきか?

 

中小企業の場合は、会社の数字を全ての社員に開示せず、社員の階層に応じて開示する方法がお薦めだ。

 

 

例えば、上の図のような、2つの事業部と4つの事業所で構成されている会社であれば、夫々の部門長に下表のような業績開示を行えば、利益改善を効率的に推進することが可能になる。

 

営業部門長

全社の業績 + 営業部門の業績

製造部門長

全社の業績 + 製造部門の業績

A店舗 店長

全社の業績 + A店舗の業績

B店舗 店長

全社の業績 + B店舗の業績

A工場 工場長

全社の業績 + A工場の業績

B工場 工場長

全社の業績 + B工場の業績

 

ちなみに、会社全体の業績開示は必須になる。

 

自分の部門が、どの程度、会社に貢献しているか、或いは、足を引っ張っているのかが理解できるからだ。

 

全体と部門別、双方の業績が開示されると、足を引っ張っている部門長は真剣に利益改善の対策を考えるし、貢献度の高い部門長は更に利益を拡大する方策を考えることができる。

 

また、部門別の業績が開示されていれば、各部門長は数字を頼りに経営課題を抽出して部下に明確な利益目標を示し、部門内の利益改善を効率的に進めることができる。

 

 

高い利益意識が会社の成長を加速させる

 

数字を頼りにした利益改善を進めると、利益拡大、ムダムラの排除、生産性の改善、など等、社員の利益意識がどんどん高まる。

 

また、社員全員が数字に強い組織になると、自分の行動が業績に直結していることを強く意識するようになるので、利益意識と共にコスト意識も自ずと強くなる。

 

コストダウンは利益増加と対の関係性にあるので、利益拡大の効果は絶大だ。

 

社員の利益意識を高めたければ、会社の数字を開示することだ。逆に言えば、社員に会社の数字を開示しなければ、社員の利益意識が高まることはないのだ。

 

伊藤のワンポイント
 

社員の利益意識はとても大切です。利益意識が欠落すると業績が悪化するだけでなく、不思議と組織の慢心や驕りも大きくなり、必ず会社が衰退するからです。また、大前提として経営者が利益意識を強く持つことも不可欠です。利益意識が弱い経営者の元で、社員の利益意識が強くなることはないからです。