会社の成長を加速する経営目標の立て方|経営目標なくして会社の成長なし

会社の成長を加速する経営目標の立て方|経営目標なくして会社の成長なし

 

会社の成長発展に、経営目標は欠かせない。

 

なぜなら、会社の成長は目標に対して動くところから始まり、さらに、経営目標は経営者から末端社員に至るまで、ひとつの組織集団に明確な行動原理を指し示すからだ。

 

この記事では、会社の成長発展を加速させる経営目標の立て方、並びに、使える数値目標や使えない経営目標に至るまで、詳しく解説する。

 

 

経営目標なくして会社の成長なし

 

経営目標なくして会社の成長なし

 

明確な経営目標がある組織と、経営目標がない行き当たりバッタリの組織、両者の成長スピードの違いは、容易に想像がつくだろう。

 

当たり前だが、経営目標がない会社が成長することは稀であり、場合によっては、衰退しかないという結末もあり得る。

 

然るべき経営目標を立てて、目標に向かって行動をするというのが正しい成長スパイラルを生み出す確かな法則だ。

 

ただし、注意も必要だ。

 

経営目標は、立て方を誤ると会社衰退の失敗リスクが高まる場合がある。

 

従って、会社の成長に貢献する正しい経営目標の立て方を理解し、その経営目標に向かって事業活動を推進することが大切になる。

 

 

会社の成長を支える経営目標の立て方

 

会社の成長発展に欠かせない経営目標の立て方について解説する。

 

経営目標を立てる際の重要点は3つある。ひとつ目は「一本筋が通った目標を立てること」、二つ目は「変化に対応する目標を立てること」、三つ目は「安定経営を支える数値目標を立てること」である。

 

何れのポイントも、効果的な経営目標を立てる上で欠かせない要素であり、どれか一つでも不足があると、そこが原因で失敗リスクが噴出し、会社が衰退することがある。それぞれの経営目標の立て方と重要ポイントについて、更に詳しく解説する。

 

一本筋が通った経営目標を立てる

一本筋が通った経営目標とは、会社の大黒柱となり得る不変の経営理念のような目標のことだ。時代や経済環境が変わっても通用する一本筋の通った経営目標があると、地に足の着いた会社経営が実現しやすく、組織の行動原理も明快になる。更に、会社の強みやブランド価値の源泉にもなる。

 

変化に対応する経営目標を立てる

変化に対応する経営目標とは、新しい技術や時代の変化に適応するための目標のことだ。例えば、ひとつの成功体験や成功ノウハウは、周囲の環境変化で、たちまち使い物にならなくなる。持続的な成功を勝ち取るには、変化に対応する目標を適宜運用することが欠かせない。

 

安定経営を支える数値目標を立てる

安定経営を支える数値目標とは、会社の存続を保証する売上、利益、現金といった経営指標を適正にコントロールするための目標のことだ。ある年の倒産企業の半数は黒字倒産だったというデータもあることから、数値目標のない会社経営がいかに危険かお分かり頂けると思う。わたしの経験上でも、然るべき数値目標のない会社は必ず衰退している。

 

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使えない経営目標の典型例とは?

 

ご参考まで、使えない経営目標の典型を解説する。

 

例えば、次のような経営目標を立てている中小企業が夫々あったとする。

 

A社「業界平均を達成するぞ!!」

 

B社「業界トップを目指すぞ!!」

 

経営目標に業界平均を採用している中小企業は珍しくないが、業界平均は使えない経営目標の典型になる。

 

両者の経営目標の質は段違いで、目標を実現した後の結果の差は計り知れない。

 

当然ながら、「業界トップを目指すぞ!!」という経営目標の方が、中小企業の成長発展に大きく貢献する。

 

じつは、業界平均は全く使えない経営目標だ。業界平均という響きの良さと安心感はあるが、とてもレベルの低い目標になる。

 

下図は、業界平均の構造イメージである。

 

 

イメージ図は、横軸が売上高、縦軸が利益率、交差点が業界平均値になっているが、ご覧の通り、トップ集団の数値を下位集団が引っ張る形で、業界平均(交差点)が形作られている。

 

つまり、業界平均には、業績の悪い会社のデータが数多く混入しているのだ。

 

業界平均ほどレベルの低い目標はない。

 

また、業界平均に限らず、使えない目標を採用する等して経営目標の立て方を誤ると、せっかくの経営改善活動が的外れな方向に行ったり、非効率に陥ったりすることがある。

 

☑経営の不安が尽きない

 

☑経営改善の効果が実感できない

 

☑一所懸命働いているが会社が良くならない

 

など等の症状が出ている場合は、そもそも経営目標の立て方を誤っている可能性が高い。

 

 

確かな経営目標が会社の成長を加速する

 

他力本願ではなく自力本願が会社経営の本質になる。

 

つまり、他人に合わせた経営目標よりも、自分を正す経営目標に徹した方がより大きな改善効果が生まれるということだ。

 

他人の業績結果である業界平均のような指標を経営目標に立てるのではなく、自分の会社の課題や欠点を解決するための高い経営目標を立てた方が、よほど効果的かつ効率的に経営改善を進めることができる。

 

昨日よりも今日、今日より明日といった、どん欲に成長を目指す経営目標の立て方が、トップ企業になる秘訣になるのだ。

 

中小企業の成長の原則は「収入を増やし支出を減らす」ことに集約される。つまり、会社の付加価値を高めて、利益を最大化することこそが成長の大原則になる。

 

客観的な視点で経営の正否(利益最大化のボトルネック)を絶えず見つめていれば、いくらでも改善部分が出てくるものだ。

 

そうした改善部分を経営目標に立てて、経営目標(Plan)→経営改善(Do)→効果検証(Check)→行動修正(Action)の改善サイクルを回せば、自ずと会社は成長する。

 

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経営目標を立てる際にお薦めの数値目標

 

最後に、会社の経営目標を立てる際にお薦めの数値目標(経営指標)の一例を紹介する。

 

自己資本比率

自己資本比率は会社の資本力や安定経営の度合いを示す経営指標である。目標水準は50%以上だ。盤石な収益体制の確立と投資効率の向上が改善のポイントになる。【計算式:(自己資本÷総資本)×100】

 

売上総利益高経費率

売上総利益高経費率は経営のムダとムラの度合いを示す経営指標である。目標水準は80%以下だ。少ない経費で如何に大きな売上を作るかが改善のポイントになる。【計算式:(販売管理費÷売上総利益)×100】

 

売上総利益高営業利益率

売上総利益高営業利益率は企業の収益性を示す経営指標である。目標水準は20%以上だ。少ない原価と経費で如何に大きな売上を作るかが改善のポイントになる。【計算式:(営業利益÷売上総利益)×100】

 

一人一時間当たり付加価値

一人一時間当たり付加価値は1人の社員が1時間で生み出す会社の付加価値である。目標水準は「常に増加」だ。少ない人数で如何に利益の最大化を図るかが改善のポイントになる。骨太な経営体質が望ましい中小企業にとって最も使える経営目標といっても過言ではない。【計算式:(付加価値÷総労働時間)×100】

 

伊藤のワンポイント
 

経営目標の立て方はとても重要です。目標の立て方を誤ると会社が衰退するからです。組織の力を一点に集中させるには、数字一辺倒ではなく、理念的な目標もセットで考える工夫が必要です。中小企業の場合は、創業者から代が下るにつれて経営目標が曖昧になるケースが多いですので、決しておざなりにしないでください。