運転資金の把握は経営の基本である|会社の成功は運転資金で決まる

運転資金の把握は経営の基本である|会社の成功は運転資金で決まる

 

運転資金とは、会社経営(事業運営)に必要な経費のことである。

 

仕入から人件費、水道光熱費や家賃に至るまで、事業活動を行ううえで必要な、ありとあらゆる必要経費が運転資金の対象になる。

 

この記事では、運転資金の基本概要、並びに、運転資金の考え方と計算方法について、詳しく解説する。

 

 

運転資金の把握は経営の基本

 

運転資金とは、会社経営(事業運営)に必要な経費のことだが、運転資金の把握は経営の基本になる。

 

毎月の運転資金が把握できていれば、絶対必要な売上、或いは、絶対必要な売上総利益(粗利)の金額が分かる。

 

また、運転資金に見合う収入があれば黒字経営、運転資金に見合う収入がなければ赤字経営というように、大まかな収支勘定の基準としても活用できる。

 

例えば、運転資金が100円かかるから100円以上の売上を作るといった確固たる基準が常に経営者の頭の中にあれば、売上の水準に合わせた経費のコントロールが自然とシビアになるので、経営の失敗リスクは格段に低くなる。

 

運転資金の把握は、会社経営全般に関わる。

 

日頃の会社経営(全体経費)のみならず、新規事業の立ち上げ、事業買収や吸収、事業再建、など等、様々な経営局面で把握すべき重要要素になる。

 

当然ながら、運転資金を無視した会社経営は成り立つことはなく、遅かれ早かれ、何れ経営に失敗する。

 

運転資金の把握が経営の基本と云われる所以はココにある。

 

 

運転資金の考え方と計算の基本

 

業績悪化が進行している中小企業の場合、経営者が運転資金を把握していないことが度々ある。

 

日頃から運転資金を把握していないと経費の管理が杜撰になるので、利益水準が悪化、或いは、赤字経営に転落するマイナスリスクが高まる。

 

つまり、運転資金の把握は、失敗しない会社経営の実現に不可欠なのだ。

 

運転資金を把握(計算)する方法は難しくない。

 

必要最低限の経費だけで3ヵ月間程度、会社を運営するだけで運転資金を把握(計算)することができる。

 

これは家計の管理と全く同じ考えで、例えば、引っ越しなどで新しい環境に移った場合、最初の3ヵ月間は、無駄遣いせず、家賃や光熱費など必要最低限の費用で暮らしてみると、1ヵ月間に必要な最低運転資金が明らかになる。

 

そして、必要な最低運転資金が分かった後に、過分な資金がどの程度あり、貯蓄に回せる資金がどの程度あり、外食や娯楽に回せる資金がどの程度あり、という諸々の仕訳をすると、収入に見合った、余裕のある暮らしの資金繰りが見えてくる。

 

運転資金の把握が円滑な家計管理の出発点になる訳だが、会社経営も同じで、運転資金の把握が、円滑な会社経営の出発点になる。

 

【関連記事】「運転資金の計算式と適正水準」はこちら

 

 

赤字経営脱却のカギは運転資金にある!!

 

会社経営の大原則は、収入の最大化と費用(支出)の最小化を同時に推進するところにある。

 

当然ながら、運転資金は少ないほど、収入に対応する利益(リターン)が大きくなる。(これは家計も会社経営も同じだ)

 

会社経営において、運転資金は工夫次第でいかようにも減らすことができる。

 

☑不要不急の経費を一切使わない

 

☑ファブレス経営を取り入れて、特定の業務領域に特化する

 

☑社員の経費管理を全て立替制(事後精算・審査の厳格化)にする

 

☑選択と集中という考え方のもと、会社の強み以外の部分をすべて外注化する

 

☑フレキシブルな働き方を定着させて事務所を縮小する、或いは、事務所を持たない

 

など等、考えれば考えるほど運転資金の削減余地は広がる。

 

また、赤字経営を黒字経営に転換させるためには、運転資金の削減が欠かせない。

 

まずは収入以下の費用に合わせることが、早期黒字転換の秘訣になり、収入と費用が見合ってトントンの収支になると、徐々にではあるが、わずかながら利益が出る体質に変わっていく。

 

そして、1円でも10円でも会社に利益が残る経営状態になると、利益の再投資を検討する余地が生まれ、収入拡大の施策を行動に移すことができるようになる。

 

再投資⇒利益増加のサイクルが回り始めると、経営健全化は時間の問題となり、後は、収入に見合った運転資金のコントロールができている限り、赤字経営に逆戻りすることはない。

 

赤字経営とは、収入が運転資金よりも少ない状態を表す。

 

儲けのない会社経営は、言ってみればビジネスが破綻している状態なので、どこかでボタンの掛け違いが起こり、誤った経営を引きずったまま現在に至っているということだ。

 

経営の誤りを正すことなく、運転資金を銀行借入で賄ったところで結果は見えている。収入以下の運転資金に合わせる作業は、経営の誤りを正す作用があるので、決して軽く見てはならない。

 

伊藤のワンポイント
 

運転資金の把握は会社経営の基本です。運転資金が不明瞭では、絶対的な売上(粗利)目標が立たず、コスト管理がいい加減になるからです。運転資金の把握が、正しい会社経営の出発点になります。また、運転資金が把握できていると、成長投資や人員の増減コントロールも円滑に進みます。