ボトルネックとは瓶の首にあたる部分で、流れをせき止めている部分、つまり、流れの障害になっている部分を表す。
経営課題、会社の弱み、顧客の不満など等、会社の成長を阻害する要因は全てボトルネックといえる。
この記事では、ボトルネックの探し方と解消方法について、詳しく解説する。
会社経営におけるボトルネックとは、会社の成長を阻害する全ての要因が対象になるが「ボトルネックなどひとつもない」という会社はあり得ない。
どんな会社にも、どんな経営状態であっても、成長を阻害するボトルネックが潜んでいる。
例えば、どんなに綺麗に掃き清めたとしても時間の経過と共に塵が積もるが、会社のボトルネックとは、どこからともなく溜まってゆく塵のようなものである。
ボトルネックはそれほど身近にありながら、会社の成長を阻害する厄介者でもある。
当然ながら、ボトルネックを解消せずに放置したままでは、会社の成長は鈍化、或いは、衰退する一方になる。
会社経営に潜んでいるボトルネックを如何に探し出し、そのボトルネックを如何に解消できるかが会社の成長を決定づけるといっても過言ではない。
会社経営の本質は、黒字経営の持続と利益の最大化にある。
つまり、会社経営において最大のボトルネックは、赤字経営(ギリギリの黒字経営も同様)になる。
赤字経営は成長投資の原資となる利益を生み出さない。
会社の成長に欠かせない投資なくして会社の発展はないので、赤字経営とは、会社の成長を阻害するだけでなく、明るい未来の可能性を全て消し去るほどの、大きなボトルネックといっても過言ではない。
この最大のボトルネックがある限り、成長発展の道筋は見えてこない。
赤字経営というボトルネックを解消する方法は様々なアプローチがあるが、最も手っ取り早い解消方法は「利益の最大化」だ。
利益の最大化は「売上最大化×経費最小化」という公式で実現することができる。赤字経営というボトルネックを解消する実践的方法について、順を追って詳しく解説する。
経費の最小化は赤字経営というボトルネックを解消する有効な手段になる。
なぜなら、経費削減は、即、利益の増加に繋がるからだ。赤字経営とは、売上を超える経費が消費されている極めて歪な経営状態のことなので、経費削減は赤字脱却に欠かせない取り組みでもある。
ボトルネック解消のための経費削減は以下の要領で進める。
売上総利益高経費率を求める。計算式は〔(経費÷売上総利益)×100〕で求める。
適正水準90%を超過しているパーセンテージを算出する。(例:売上総利益高経費率が102%であれば、90%-102%=▲12%)
コスト削減の目標金額を算出する。計算式は〔売上総利益×超過パーセンテージ〕で求める。(例:売上総利益が1億円で超過パーセンテージが▲12%であれば、1億円×▲12%=コスト削減目標金額1.2千万円)
経費(科目毎)の合計を降順(大きな値⇒小さな値へ)に並び替えて、上位5つを選別する。ボトルネックは大きな経費のなかに潜んでいる。大概の会社は1位が人件費になるが、2位以降は業種業態によって変わる。
合計金額の大きな経費を削減する方法を考案し、経費削減を実行する。大きな経費は改善余地が最もある経費であり、少しの改善で大きな効果(ボトルネックの解消)を生み出す経費でもある。
どう考えても経費削減の余地が見つからない場合は、売上総利益の絶対量が不足している、ということなので、売上総利益率(粗利率)の改善に取り組み、ボトルネックを解消する。
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売上の最大化も、赤字経営というボトルネックを解消する有効な手段になる。
売上を最大化するために最初に行うことは「売上のABC分析」である。売上貢献度が明快になると、売上最大化のための経営資源の投資効率を高めることができるからだ。
ボトルネック解消のための売上ABC分析は以下の要領で進める。
取引先別の売上一覧表を作成し、降順(大きな値⇒小さな値へ)に並び替える。
総売上高に対する取引先別の構成比率を算出する。
降順に沿って構成比率の累計合計を算出し、以下の評価基準を元に上位順にABC評価を行う。
A評価 |
累計構成比率50%未満の取引先 |
---|---|
B評価 |
累計構成比率50%~80%未満の取引先 |
C評価 |
累計構成比率80%以降の取引先 |
A評価とB評価の取引先が全体の20%であれば標準だが、20%を下回っている場合は、貢献度の高い取引先が少ないと判断できる。言い換えると、売上に貢献していない取引先(ボトルネック)が多すぎるということだ。
売上に貢献していないC評価の取引先に対して、会社の労力(生産性)を振り向けず、すべての労力をA評価とB評価に振り向ければ、自ずとC評価が自然消滅し、A評価とB評価の売上金額が増え、ボトルネックが解消される。
会社の中にボトルネックが一つでも存在すると、そのボトルネック以上のパフォーマンスを発揮することはできません。また、顧客側の評価も、ボトルネック以上に大きくなりません。ですから、絶えず、ボトルネックを発掘し解消し続けることでしか、企業のパフォーマンスや顧客満足度を高めることはできないのです。