成長企業とは、持続的成長を遂げている企業のことである。
企業は成長が止まった瞬間から衰退が始まるので、如何にして持続的成長を支える経営基盤を定着させるかが企業の生命線になる。
この記事では、成長企業の測定指標、並びに、成長企業の特徴や作り方に至るまで、詳しく解説する。
成長企業とは、持続的成長を遂げている企業のことである。
企業の存続を左右する市場、顧客、ライバルなど等は絶えず成長しているので、企業の成長が鈍化すると、たちまち衰退リスクが高まる。
具体的には、市場からはじかれる、顧客から選ばれない、ライバルに置いていかれる等といった衰退リスクが噴出し、企業成長が鈍化した瞬間に、企業の衰退が始まる。
また、資金調達の手段に限りのある中小企業は、大企業に比べて成長投資の規模とスピードが劣るため、成長基盤がぜい弱だと、ほんの些細な経営環境の悪化で衰退に転じることがある。
つまり、如何にして持続的成長を支える経営基盤を定着させるかが、企業の生命線になる。
成長企業を測定する指標は、売上や利益の成長率が分かりやすく、それぞれの計算式は下記の通りになる。
売上成長率=〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100
利益成長率=〔(当期利益高-前期利益高)÷前期売上高〕×100
売上成長率と利益成長率が共にプラスをキープしていることが成長企業の第一条件になる。
もし、売上成長率がマイナスであれば、その企業の市場規模と販売力が低下していることが分かる。
利益成長率がマイナスであれば、その企業の付加価値とコスト競争力が低下していることが分かる。(利益率自体がマイナスの場合は完全に成長がストップしていることになる)
売上と利益、双方のプラス成長が成長企業の条件になるが、中小企業においては例外もある。
例えば、売上等の成長率が著しく低い水準にあったとしても、創業から長い期間にわたり健全経営を持続している老舗企業などは例外の典型になる。
じつは、厳しい経営環境下に置かれている中小企業の場合、売上を構成する顧客が絶えず2割ほどが離脱しているというデータがある。
このような環境下においても、離脱顧客を穴埋めするための事業活動や成長投資をしっかり行っている企業は、前年並みの売上と利益であっても、企業の強みや独自性が一段と磨かれるため、長期的に健全経営がキープできているケースが多い。
売上や利益が横ばい、或いは、微増の老舗企業などはそうした成長企業の典型例で、中小企業においては、売上等の成長率が横ばいであっても、持続的成長を遂げている成長企業といえる余地があるのだ。
成長企業の最たる特徴は、売上と利益が共にプラスの成長率をキープしていることが絶対条件として挙げられるが、目に見える数字だけでは成長企業の特徴を正確に捉えることはできない。
なぜなら、目に見えない経営方針や経営戦略といった要素が事業活動を推進し、結果として、売上や利益を形成するからだ。
例えば、経営方針や経営戦略が曖昧な為に行き当たりバッタリの会社経営に陥っている企業が成長しないであろうことは容易に想像ができるだろう。
下記のチェックリストは、わたしの経験から成長企業の実現に不可欠な主な項目を挙げている。該当項目が多いほど、成長企業の実現度が高いといえるので、是非、自己診断してみてほしい。
☑経営計画を持っている
☑社員教育を行っている
☑新しい顧客を常に創造している
☑会社の本業が明快で、競合と差別化されている
☑会社の強みを自覚し、その強みを活かしきっている
☑会社の強みを磨くために、新技術やノウハウを積極的に導入している
☑利益の一部を毎期成長投資に充てている
☑経営者に私欲がなく、向上欲が旺盛である
☑経営者が常に次世代の経営を見据えて動いている
☑顧客満足度だけでなく、社員満足度も追求している
成長企業を作る法則は、前章「成長企業の特徴とは」で解説した成長企業のチェックリストのすべて項目を高い精度で実現することに尽きる。
なかでも、経営計画、成長投資、社員教育、会社の強みの研鑽、次世代経営の意識、社員満足度の追求などは、成長企業を作る上で欠かせない要素といって過言ではない。
成長が鈍化している中小企業や衰退している中小企業は、何れかの取り組みが弱い、或いは、取り組み方を誤っている可能性が高い。
例えば、わたしの経験上、中小企業において正しい経営計画を持っている会社は10社に2~3社程度しかない。
それ以外の中小企業は、計画があっても内容が妥当でない、そもそも計画がない会社も珍しくない。
計画の有り無しで、その後の収入に10倍もの差が開いたという研究データもあるほど、成長企業のロードマップになり得る経営計画ほど重要なものはない。
成長企業を作るために何をすべきか、足元を見つめ直して、確実に成長の階段を歩んでほしい。