稀代の芸術家、岡本太郎は「芸術は爆発だ」と言った。
ぼくにとって芸術は人生そのもの。人間として最も強烈に生きる者、無条件に生命をつき出し爆発させる生き方こそが芸術なのだ、と。
芸術のみならず、社長業の本質をも表す、素晴らしい言葉だ。
爆発=完全燃焼は、自分だけでなく、周囲の人々に対しても感動を与える何かを生み出すからだ。
人間の成長も、イノベーションも、企業の付加価値拡大も、すべては完全燃焼の後に訪れる。
中途半端な不完全燃焼ではなく、すべてをやるきる完全燃焼にのみ、新たな成功や感動が宿るのだ。
会社経営に完全燃焼をもたらすのは才能ではない。決断である。
例えば、知識が豊富、仕事が早い、ビジネスセンスが良いなどの才能を持っていたとしても、その才能を活かす決断をしない限り、成功も感動も生まれない。
どんなに優れた才能を持っていたとしても、その才能を活かす決断をしない限り、完全燃焼は訪れない。
学業優秀でも社会で大成しない例、あるいは、学業がいま一つでも社会で大成する例が数多にあるように、才能の有無ではなく、自分の人生の中で、どれだけ完全燃焼を誘引する決断をしたかによって、その人の活躍の場や人生の豊かさが決まるのだ。
あなたが使わなかった才能、
あなたが見過ごしてきた可能性、
あなたが行動に移さなかったアイデア、
あなたが活用しなかった人財、知見、ご縁などは、どれほどあるだろうか。それらすべては、死ぬときに無駄になる。
だからこそ、生きている今この瞬間に、あなたが持っているすべてのものを注ぎ込むことが大切だ。
才能も可能性もアイデアも持っていないのであれば、それらを持っている人間を見つける決断をすれば良いだろう。
ひとりで突き進む決断、誰かの助けを得る決断、新しい才能を見つける決断など、決断の余地は無限に広がる。
とにかく、お客様、スタッフ、取引先等の期待に応えるためにも、多くの決断を積み重ねることだ。それが会社を預かる社長の責務だと、私は思う。
決断は、完全燃焼を後押しする。
他人ではなく、本当の自分になる、近道でもある。
そして、あなたを必要とする人々との出会いもたくさん引き寄せる。
アメリカの詩人、メアリー・オリバーは、「人が最も恐れることは、自分が何か特別で、手応えのあることを成し得ないまま生涯を終えるのではないかということ。」と言った。
まさにその通りで、つまるところ、社長の使命は、経営の専門家になることなんかではない。
あなた自身の生来持っている資質を思う存分発揮し、あなたらしい商品、サービス、アイデアを世界に表現することだ。
わたしのコンサルもこの一点にフォーカスしている。資質という導火線に火をつける決断が増えれば、完全燃焼と共に、あなただけの成長、成功、成果が必ず得られるからだ。
ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」