経営理念は企業成長の必須ツールと云われる。
果たして、会社の経営理念はなぜ必要なのか?
この記事では、経営理念の必要性から経営理念の作り方に至るまで、詳しく解説する。
会社の経営理念は必要か否か?
結論を言えば、経営理念は必要だ。
例えば、
☑経営理念は、会社の進むべき方向性を照らす
☑経営理念は、組織をひとつの方向にまとめる
☑経営理念は、会社の成長スピードを加速する
など等、経営理念の必要性(メリット)を挙げたらキリがない。
会社の経営理念の中には、会社の使命、存在意義、経営姿勢、将来像、顧客像、提供価値等々、会社の将来の姿を形作る要素が全て入っている。
会社の将来の姿を形作るという点において、経営理念は、会社の成長発展を支える無形資産といっても過言ではない。
事実、どんなに小さな零細企業から出発した会社であっても、創業時に経営理念を掲げた会社が大企業に成長したという事例は数多にある。
残念ながら、中小企業において経営理念が活用されている会社は多くない。
なかには、経営理念の必要性を軽く見ている経営者もいる。
例えば、経営理念のない中小企業の経営者に次のような質問を投げかけると、殆どの方が答えに窮する。
▶あなたの会社の得意顧客は誰ですか?
▶あなたの会社の得意市場はどこですか?
▶あなたの会社は将来どこに向かって進んでいますか?
経営理念が曖昧では、自分の会社の得意顧客や得意市場、或いは、会社が目指しべき将来像が不明瞭になる。
これでは、企業の永続性を高める「衰退を予見し先手を打つ会社経営の実践」は不可能になり、せいぜい、行き当たりバッタリの会社経営に陥るのがオチである。
経営理念の必要性を軽く見ると、会社の衰退リスクが高まるので注意してほしい。
経営理念は会社の内面を照らす優れたツールでもある。
例えば、漫画家が物語の登場人物を描く場合、最初に決定する要素は、登場人物の内面であることが多いらしい。
登場人物の内面が定まると、自然と内面に沿った漫画のキャラクターが描かれ、イメージする物語の輪郭が徐々に定まっていくとのこと。
仮に、登場人物の内面が決まらないと、キャラクターの設定が曖昧になり、物語の輪郭は一向に定まらないそうだ。
会社経営も一緒で、経営理念を掲げることで内面が定まれば、経営姿勢や組織の方向性が定まり、自ずと目指すべき会社の将来像に近づくための会社経営が定着する。
名無しの権兵衛ではないが、経営理念がなければ会社の将来性が危うくなるといっても過言ではなく、会社経営において経営理念は必要不可欠な要素なのだ。
企業価値が同等の2つの会社があった場合、信頼されるのは経営理念を持っている会社である。
なぜなら、会社同士が一緒に仕事をするということは、お互いの将来像に影響を及ぼし合う関係性が生まれるということだからだ。
経営理念がなく将来像が見えない会社と、経営理念があり将来像が見える会社を比べた場合、将来の安心感に雲泥の差が生じる。
客観的に判断しても、経営理念がない会社よりも、経営理念がある会社と取引をしたいと考える経営者の方が多いだろう。
このように、経営理念は、会社の将来像を形作るだけでなく、顧客との取引を左右する重要な判断材料になることもある。
【関連記事】会社の経営理念とは何か?
経営理念を作成するうえで、最低限必要な要素がある。
それは「会社の使命・存在意義・経営姿勢・将来像・顧客像・提供価値」の6つの要素である。
経営理念は、それぞれの項目に対して、より具体的に明文化することが大切で、経営理念が抽象的になるほど効果が低下する。
例えば、
▶「豊かな生活文化を創出する」
▶「便利で機能的な調理器具を提供し、料理を楽しむ文化を創出する」
という二つの経営理念を比較した場合、後者の方が会社の姿勢と提供価値、顧客像がはっきりイメージできると思う。
また、より具体的な経営理念の方が、経営方針、営業方針、開発方針が明確に定まり、組織の力を一つの方向に集中させることができる。
組織の力が一点に集中されると、自ずと将来像の実現スピードが加速される。つまり、経営理念は、会社経営の成長発展に欠かせない重要な経営資源でもあるのだ。
経営理念は企業の事業活動を明快にする効果があります。ですから、経営理念はなるべく具体的に仕上げることが大切です。さらに、社員との共有度を高めると、理念具現化のスピードが加速します。また目指すべき将来像が明確になるので、企業の永続性を高める「衰退を予見し先手を打つ会社経営」の実践度も高まります。