中小企業が安定経営を実現するためには次の二つのポイントを抑える必要がある。
ひとつは「安定的に利益を出すこと」、もう一つは「継続的に成長投資を行うこと」である。
この記事では、会社の安定経営を実現する方法について、詳しく解説する
成長投資なくして、中小企業の安定経営はあり得ない。
そして、成長投資の原資になり得る利益拡大も欠かせない。
つまり「安定的に利益を出すこと」と「継続的に投資を行うこと」が安定経営の必須条件になる。
当然ながら、どちらか一方の意識が遠のくと、成長投資が鈍化する、或いは、過剰投資に陥るなどして安定経営が破綻する。
また、安定経営を確立するには、様々な投資分野に対してバランスと計画性を保つことが大切になる。
例えば、
☑設備増設や改修、補修等の設備への投資
☑新商品の開発、研究開発等の開発への投資
☑人材育成や人材スカウト、報酬増額等の人材への投資
☑新規顧客獲得や新規市場開拓のための広告宣伝への投資
など等、何れの分野にもバランスと計画性を持って投資することが、安定経営の秘訣になる。
安定経営を支える成長投資の原資は会社の利益になるので、第一に、一定の営業利益水準を確保することが欠かせない。
安定経営の実現に必要な営業利益の標準水準は「売上総利益高営業利益率10%(※1)」で、計算式は下記の通りになる。
売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100
売上総利益高営業利益率が10%を下回っている場合は、成長投資の原資が乏しい状態なので、まずは10%を目指す経営努力が第一ステップになる。
売上総利益高営業利益の水準が10%に達すると安定経営の基盤が整うので、業績が傾くリスクが低くなる。
従って、この水準を超えた段階で、一定のルールに則り、成長投資を始めるのが安定経営を実現する秘訣になる。
※1:売上総利益高営業利益率10%であっても営業利益金額が少ないと安定経営の確保が困難な場合がある。従って、売上と営業利益金額を常に拡大するという目標も決して忘れてはいけない
安定経営を実現する成長投資は、一定の利益水準を超過した金額を成長投資に還元する方法が最も賢い方法になる。
成長投資のスタートラインは売上総利益高営業利益率10%だが、利益水準の優良ラインは売上総利益高営業利益率20%なので、優良ラインを目指しながら投資額をコントロールする方法が最も安全な投資サイクルになる。
成長投資のサイクルがうまく機能すれば、成長投資→利益増加という好循環が生まれて、安定経営をキープしながら会社の規模を大きくすることができる。
万が一、成長投資に失敗したとしても、標準以上の利益水準がキープできるので、標準水準以上の余剰利益を成長投資に還元する方法はリスク面からみても優れた方法といえる。
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安定経営を実現する投資サイクルの事例を紹介する。
下表は、標準水準以上の余剰利益を成長投資に還元するイメージグラフだ。
1年目は売上総利益高営業利益率12%のうち2%を成長投資に回している。成長投資の拡大と共に営業利益が拡大しているのが分かると思う。
最終的に、優良水準である売上総利益高営業利益率20%を維持しながら、成長投資を継続することができれば会社の安定成長は一段と盤石になる。
利益が投資を生み出し、投資が成長を生み出し、成長が更に大きな利益を生み出す。
これが安定経営を実現する理想の成長サイクルになる。
中小企業の安定経営を実現する必須条件は利益拡大と成長投資になり、この2つを外さない限り、会社の安定経営が大きく破綻することはない。
しかし、資本力の乏しい中小企業の場合、標準の利益水準を確保する手前の段階で経営に躓くケースがある。
このような状況下から安定経営を実現するには、次の3つのポイントが大切になる。
☑利益を意識すること(数字の拡大)
☑社員を大切にすること(組織力強化)
☑経営課題を見逃さないこと(弛まぬ経営改善)
この3つのポイントを意識した会社経営を実践すると、利益拡大の道筋が明快になり、自ずと安定経営の基盤が整ってくる。
逆にいえば、この3つのポイントを意識しない限り、利益拡大はおろか、安定経営の道筋が見えてこない、ということだ。
経営者の仕事は、企業の永続性を確立する事、つまり、安定経営の確立です。安定経営の必須条件は「利益拡大」と「成長投資」ですが、この他にも、社員満足度の追求、経営課題の解消、顧客創造など等、やるべき事が沢山あります。どこかに苦手分野や不安要素があると、そこが弱点となって安定経営が破たんします。