手形取引は会社の倒産リスクを高める。
なかでも支払手形は、一定条件下で2回不渡りを出すと、追加の資金調達が殆どできなくなるので、倒産リスクが極めて高い。
この記事では、倒産リスクを高める手形取引について、詳しく解説する。
手形取引とは、手形の振出人、手形の受取人、手形を決済する銀行の3者間で取引される約束手形が一般的で、約束手形には、受取手形と支払手形がある。
受取手形とは期日が到来したら相手方から代金を受け取ることができる手形のことである。
支払手形とは期日が到来したら相手方に代金を支払わなければならない手形のことである。
どちらも現金化までの期間が長いので、一定のリスクを抱えている。
例えば、受取手形は販売代金の現金化に時間がかかるので、資金繰り悪化のリスクがある。
支払手形は、支払いを先延ばしできるので資金調達の性格を帯びているが、不渡りのリスクがある。
手形の不渡りとは、手形の支払期日が過ぎても決済できない状態をいい、不渡りの原因によって三種類に分かれる。
手続きミスや期日ミスが原因の「0号不渡り」、当座預金不足による「1号不渡り」、契約不履行や詐欺等が原因で支払いを停止した場合の「2号不渡り」の三種類である。
この中で、会社倒産のリスクが最も高い不渡りは1号不渡りになる。
なぜなら、1回でも不渡りを出すとすべての金融機関に不渡りの事実が行き届き、会社の信用が失墜し、追加の資金調達が困難になるからだ。
万が一、1回目の不渡りから6カ月以内に2回目の不渡りを出すと、取引停止報告への掲載と共に、すべての金融機関にその旨が通知され、当座預金等の融資取引が出来なくなる。
当然ながら、追加の資金調達が出来なければ、倒産リスクは飛躍的に高まり、事実、手形の不渡りを2回出すと殆どの会社は倒産する。
支払手形は、現金化を遅らせる効果があるので、資金調達手段として活用されることも珍しくないが、支払手形には不渡りという危険なリスクがある。
従って、資金調達手段として手形取引を活用するより、借金で資金調達を図った方が、はるかに低リスクだ。
手形は金利がかからないので低コストとも云われるが、手形発行時に印紙税がかかるので、手形と借金の必要コストの差は殆どない。
会社は借金では倒産しないが、支払手形は大きな倒産リスクを抱えている。
倒産リスクは排除するに越したことはなく、わたし自身も経営サポート企業に対しては、支払手形がある場合は、真っ先にゼロにするように徹底指導している。
また、支払手形には、経営者の金銭感覚を麻痺させる、という危険なリスクもある。
例えば、支払期限が数カ月先の支払手形を何枚も切っていると、いくらでもお金を生み出すことができると錯覚し、資金繰りを誤るリスクが高まる。
当然ながら、行き過ぎた手形の発行は、資金繰りの悪化リスクを高め、場合によっては手形の不渡りを誘発し、会社を倒産させかねない。
信用決済の大部分を手形取引に頼っている中小企業は、手形取引を縮小し、しっかりリスクヘッジすることをおススメする。
手形取引(支払手形)の倒産リスクは極めて高いです。特に、資金繰りが悪化するほど倒産リスクが高くなります。手形取引よりも信用取引、信用取引よりも現金取引が安定経営の正攻法です。受取手形は良いとしても、支払手形はゼロがベストです。残高がある場合は、早急にリスクヘッジすることをお薦めします。