モラルの低い会社は倒産する。
特に、企業のトップに立つ経営者のモラルは、成功と失敗を分かつ重要な要素になる。
この記事では、モラルの低い会社の倒産リスクについて、詳しく解説する。
世界のモノづくりを牽引してきた日本を代表する製造業のモラルが崩壊しつつある。
タカタのリコール隠し(2014年)、旭化成建材のマンション強度偽装(2015年)、東洋ゴム工業の検査データ改ざん(2015年、2017年)、三菱自動車の燃費不正(2016年)、日産自動車の無資格検査(2017年)、神戸製鋼所の品質不正(2017年)、三菱マテリアル系列の検査データ改ざん(2017年)など等、
昨今のモラルの低下から端を発した大企業の不祥事(品質不正)の数々には呆れるばかりだ。
最早、高品質の代名詞「メイド・イン・ジャパン」は、低品質、或いは、危険品質の代名詞に落ちぶれたといっても過言ではない。
これだけの不祥事を起こしたわりに経営が破たんした会社はタカタ1社だけだ。
一時は商品の出荷停止や工場の操業停止に追い込まれたにも関わらず、さすがは、大企業である。
資本力と資金調達力は中小企業の比にならない。
とはいっても、品質は信頼の証である。
このようなモラルの低下から品質不正に手を染める会社経営をいつまでも続けていては、いくら大企業といえども、早晩、会社の経営は行き詰るだろう。
当初は万全の品質レベルを確保していたはずの大企業が、なぜモラルの低下と共に品質不正に手を染めるに至ったのか。
この根本原因は、行き過ぎた「利益の追求」にあるのではないかと推測する。
利益追求のカラクリはケースバイケースということもあり、ここでは触れないが、例えば、納品を繰り返すたびに少しずつ品質(コスト)を落としていき、浮いた分のコストを利益として確保するやり方は、一昔前の諸外国の製造業ではよくあるケースだった。
一定の業界基準や社内基準、顧客が要求する基準を下回ったとしても、検査データや品質データを改ざんしてしまえば、実害が出ない限り、一生、顧客にバレることはない。
まさに、モラルのかけらもない、顧客不在の論理がなせる業だ。
この手の品質不正に一度手を染めてしまうと、不正が明るみになるまで、後戻りすることはできない。
万が一、不正が明るみになった場合は「信頼が失墜」し、会社の経営に大打撃を受けることになる。
しかも、モラル違反ありきのコスト構造に陥っているので、正常な品質に戻すことが困難になる。
中小企業の場合は、即刻、経営が破たんするだろう。
会社の信頼は、中小企業の安定経営を支える大きな要素である。
経営者は、信頼を損なうような品質不正(モラル違反)には、決して手を出してはならないのだ。
モラルなき会社経営に、明るい未来はないといっても過言ではない。
モラルが信頼を生み出し、信頼が次の仕事を生み出す。つまり、中小企業の成功は、モラルある上品な会社経営のうえに成り立つのだ。
また、経営者の上品な佇まいも、モラルありきである。
いつなんどきも、どこの誰から見られても表裏なく自然体でいられる佇まいはモラルなくして身につくものではない。
一流と二流の経営者の違いは、モラルがあるか、ないかである。
中小企業が生き残るには、モラルある会社経営を実践することが欠かせないのだ。
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最後に、日本が誇れるモノづくりに精魂をかけているモラルある経営者の言葉(参考文献:平松洋子先生著書”日本のすごい味”)を以下に紹介する。
下田市「まるとうわさび農家」四代目 飯田さん:『お客さんのことを思うと、適当なことはできない』
大阪府「大寅」四代目 小谷さん:『自分がうまいなと思わん商品は、お客様にお出しするのはご無礼だから一切しません』
京都府「竹中罐詰」三代目 竹中さん:『わるいもんからええもんはできない。ええもんからしか、ええもんはできない』
奈良県「森奈良漬店」四代目 森さん:『ほんとうにいいものはお客様が口伝えに広めてくださる』
岐阜県「信玄堂」三代目 武田さん『うそをつくな、よい原料を使いなさい』
沖縄県「カナ」店主 我謝孟さん『自分の大切なひとに食べさせる気持ちでつくっています。手が抜けないのはわたしの性分。でも、お客さんのためだけではないと思います。やはり自尊心がくわわっているのかもしれない。けったいなもの出したら、自分たちが済まん』
(この記事は2017年11月に執筆掲載しました)
経営者にとってモラルほど大事なものはありません。モラルなき会社経営は、必ず、足元をすくわれるからです。モラルある上品な会社経営をしていれば、自然と企業の永続性が確立されます。経営者は孤独で、一人で困難に立ち向かう局面もありますが、そういう時ほどモラルを大切にしてください。