わたしは中小・中堅企業専門の経営コンサルタントとして数多くの企業実態を見てきた。再建事案も多く、会社が潰れる兆候がどこにあるのか、なぜ会社が潰れるのかなど、会社の盛衰を分かつポイントを数多く知っている。
経営の専門家の立場から、会社が潰れる兆候をレベル1からレベル3に分けてチェックリストを作成している。会社の現状とチェック項目を照らし合わせて、会社が潰れる兆候がないか否か、定期的に自己診断することをお薦めする。
一つでも当てはまる項目があれば「会社が潰れる兆候がある」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、倒産リスクを解消することをお薦めする。
一つでも当てはまる項目があれば「会社が潰れるリスクが高い」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、倒産リスクを解消しなければ、会社が潰れる危機的状況に陥るだろう。
一つでも当てはまる項目があれば「数年以内に会社が潰れる」可能性が極めて高く、いわゆる末期症状である。直ちに、抜本的経営改善に取り組み、倒産リスクを解消しなければ、会社が潰れる可能性が高い。
会社が潰れる兆候が分かるチェックリストレベル1である。一つでも当てはまる項目があれば「会社が潰れる兆候がある」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、倒産リスクを解消することをお薦めする。
☑手形取引がある
☑社員教育を行っていない
☑社内清掃を十分に行っていない
☑成長投資を十分に行っていない
☑継続的な経営改善を行っていない
☑通期は黒字だが、単月で赤字の月がある
☑経営者の事業拡大の気迫やビジョンが弱い
☑黒字経営だが、経営数値が適正水準にない
☑利益目標など具体的数値目標がない。また、会社の数字を社員と共有していない
☑月次決算書を毎月作成していない。或いは、月次決算書の内容を毎月確認していない
☑売上総利益高営業利益率が10%を下回ってる〔計算式:(営業利益÷売上総利益)×100〕
☑減価償却費を毎月計上していない。棚卸資産の計算を毎月行っていない。原価計算のルールがない、或いは、原価計算をしていない。部門別の損益を計算していない。など等、損益計算の精度が低い
会社が潰れる兆候が分かるチェックリストレベル2である。一つでも当てはまる項目があれば「会社が潰れるリスクが高い」と言わざる得ない。直ちに、経営改善に取り組み、倒産リスクを解消しなければ、会社が潰れる危機的状況に陥る可能性が高い。
レベル2の段階で速やかに経営改善に着手すれば、会社が潰れる可能性は低い。逆に言えば、レベル2の段階で然るべき経営改善を行わないと、数年以内に会社が潰れる可能性がある。つまり、レベル2は会社が潰れるか否かのデッドラインとも言える。
☑赤字経営である
☑会社の雰囲気が悪い
☑問題社員の存在がある
☑資本欠損の状態にある
☑資金繰りの厳しい月がある
☑赤字商品や赤字取引がある
☑売上・利益・現金が伸び悩んでいる
☑ライバル企業の動向を把握していない
☑社長が2/3以上の株式を持っていない
☑会社のお金を社員に横領されたことがある
☑経営者の価値観に共感していない社員がいる
☑売上全体の20%以上を占める大口取引先がある
☑経営者の後継者、或いは、ナンバーツーがいない
☑本業とは全く関係のない新規事業に手を出している
☑経営者に苦手分野があり、それを補うブレーンがいない
☑顧客の声を無視している。或いは、顧客満足度を追求していない
☑社員の声を無視している。或いは、社員満足度を追求していない
☑ワンマン経営の弊害が噴出している。(パワハラ、セクハラ、モラハラ、身内優先、社員軽視、利益独占、贅沢独占、離職加速、など等)
☑社長に愛人がいる、社長が宗教を会社に持ち込んでいる、など等、社長が社員の反発を招く行動をしている。或いは、社長が社員から尊敬されていない
会社が潰れる兆候が分かるチェックリストレベル3である。一つでも当てはまる項目があれば「数カ月~数年以内に会社が潰れる」可能性が極めて高いと言わざる得ない。直ちに、抜本的経営改善に取り組み、倒産リスクを解消しなければ、会社が潰れるだろう。
☑粉飾決算が常態化している
☑条例違反や法令違反をしている
☑赤字経営で、赤字金額が膨らみ続けている
☑現金が減り続けている
☑厳しい資金繰りが常態化している
☑取引先への支払遅延が常態化している
☑社員への給与支払いの遅延が常態化している
☑人財の離職が続き、過酷な残業が常態化している
☑運転資金に窮している。金融機関からの信頼を失っている
☑社員・顧客・取引先等からの信頼を失い、離職・離脱・取引解消等が著しく表面化している
会社が潰れる兆候を察知した場合、経営者が取るべき行動は「今すべきことに全力を注ぐ」ことである。
自分で対処することができなければ専門家の手を借りてでも会社が潰れるリスクを速やかに解消しないと、時を待たずして会社が潰れることになる。
すでに述べた通り、会社が潰れる兆候を察知し、直ちに行動を起こした場合、助かる確率が高いのはレベル2までである。逆に言えば、レベル2までは、衰退から成長に転換する時間とチャンスが十分にあるという事だ。
なお、複数個の該当チェック項目があったとしても、すべてを社長ひとりでカバーする必要はない。自分の苦手分野を社員や第三者に補ってもらう方法もある。
人はどこからでも成長できるし、やり直すこともできる。一人の力はたかが知れているが、他者と繋がれば、成果は何倍にも大きくなるものだ。チェック項目を一つの成長の方向性として活用頂ければ幸いだ。
ちなみに、レベル3は、時すでに遅しで、会社を再生するには相当の痛みを伴う経営改革が必要になる。一つでもチェック項目に該当する場合は、今の状況を変えるために、今の動きを変える第一歩を踏み出してほしい。
中小企業においては、会社を大きくするも潰すも経営者次第である。経営者の責務として、日頃から会社が潰れる兆候に目を光らせ、リスクの芽を摘み取る仕事を丹念に積み重ねてほしい。