社長が仕事をしない会社は倒産する。
例えば、社長の仕事のなかでも特に重要な経営管理を放棄すると、会社はいとも簡単に倒産の危機に瀕する。
この記事では、社長が仕事をしない会社の倒産リスクについて、詳しく解説する。
社長が経営管理を放棄している状態を端的に表すと「会社のなかに経営を行っている人間がいない」ということだ。
そんな会社があるのか?
と思う方もいるかも知れないが、実際にそういう会社は存在する。
例えば、
☑業績は誰が把握してますか?
☑経営改善の手を打ってますか?
☑会社の問題点を把握していますか?
わたしが経営危機に瀕した中小企業の調査に入り、その会社の社長に上記質問をすると、殆どの社長は明確な答えを持っていなかった。
業績が把握できなければ、会社の問題点を把握することはできない。会社の問題点が把握できなければ、適切な経営改善の手を打つことはできない。
つまり、経営を行っている人間が会社にいない、経営管理を放棄している状態である。
信じられないかも知れないが、年商50億超の会社であっても社長の仕事をしないで、経営管理を放棄しているケースがあった。
中小企業においては、経営者の能力がそのまま会社の業績に比例する。
社長自身が経営管理を放棄してしまったら、会社はどうなるだろうか?
当然ながら、会社が良くなるわけはなく、むしろ、失敗しか道がないといっても過言ではない。
社長の仕事をしない経営者の特徴として挙げられる典型例は「社員と一緒に現場の仕事をしている」ということだ。
中小企業の多くは人手不足に陥っているので致し方ない部分もあるが、四六時中、社員と共に過ごしていたら肝心の会社経営は誰が行うのか?
経営者は、この点を強く意識し、実践しなければならない。
また、中小企業で働く社員は目の前の仕事に精一杯なので、会社の将来まで頭が回らない。
会社の将来の経営課題を発掘する人間は、会社の中に社長をおいて他には存在しないのだ。
安定経営を目指す経営者であれば、社長の仕事として毎日最低1時間以上は、会社の経営課題を真剣に考える時間を確保しなければならない。
考えれば、考えるほど、良いアイデアは生まれるものだ。
因みに、優れたアイデアは、社長の業績理解が深まるほど生まれてくる。そして、社員に投げかけるアイデアが多いほど、アイデアを具現化する社員の能力が磨かれる。
結果として、社長と社員の間に一体感も生まれ、業績と共に組織力も向上する。
▶社長の仕事をしないで、日々社員たちと現場の仕事をしている経営者
▶社長の仕事として、毎日1時間以上を経営について考えている経営者
両者の差は、一日が十日、十日が百日、百日が一生というように、時が経過するほど、会社の業績に表れる。
社長の仕事をしない経営者の特徴として「会社の問題点(経営課題)を放置する」という行動もある。
社長が放置している問題を、社員が問題視することは稀だ。また、問題を放置するような社長に対して、社員が問題提起することも稀だ。
結果として、様々な会社の経営問題が山積し、倒産リスクが高まるばかりとなる。
これも、社長の仕事をしない弊害例だが、経営課題を解決するのは社長の仕事という自覚を持ち、会社の問題点から目をそらさず、真っ向から向き合う覚悟が必要だ。
また、中小企業の経営者は、社長の仕事として、1年365日、いつなんどきも会社の経営について考える癖をつけなければならない。
それほど、会社を経営するということは責任があり、大変なことなのだ。
社長の仕事の質を上げるには、社長自身の経営力を高める必要があるが、そのためには第一に会社の数字を深く理解する必要がある。
なぜなら、会社の数字を無視した会社経営は何れ破綻するからだ。
例えば、業績悪化の兆しが掴めない、場当たり的な経営采配が常態化する、的外れな経営改善を推進する、など等、会社の倒産リスクは挙げたらキリがない。
これでは、たとえ経営が悪化しても適切な経営改善はできず、月日が経過するのを待つのみとなってしまう。
会社の数字を理解することは経営管理の要である。これも社長の大切な仕事として決して放棄してはならない。
経営とは、企業の永続性を確立する事であり、その実現こそが社長の本来の仕事です。経営課題を丹念に解消していくことでしか企業の永続性を確立することはできませんが、経営課題は周囲の環境変化と共に変化します。つまり、社長の仕事は、優れた経営力に加えて、胆力と根気もいる、終わりのない仕事なのです。