原価計算をしない会社は倒産リスクが高い|原価を知らない会社の末路

原価計算をしない会社は倒産リスクが高い

 

原価計算をしない会社は倒産リスクが高い。

 

事実、倒産の危機に瀕した中小企業の調査に入ると、会社の損失原因になっている赤字取引や赤字商品が必ず出てくる。

 

この記事では、原価計算をしない会社の倒産リスクについて、詳しく解説する。

 

 

原価計算をしない弊害とリスク

 

原価計算をしない典型的な弊害は、赤字商品や赤字取引が生じ易くなることだ。

 

当然ながら、原価計算がいい加減な赤字商品を放置するほど損失が膨らむので、会社の倒産リスクは高まる一方になる。

 

そもそも原価計算とは、商品のコストを明確にして、会社の儲けの実態を明らかにするために行う計算手続きのことである。

 

会社の儲け、いわゆる利益は、その商品に費やしたコスト以上の価格で販売することによって初めて生まれる。

 

逆に、その商品に費やしたコスト以下の価格で販売すると、利益は生まれず、赤字商品等を生み出す結果を招く。

 

この赤字商品等が原因で会社全体が赤字経営に転落すると、再建が手遅れになり、倒産の危機に瀕することもあり得る。

 

つまり、原価計算をしないと、コストと利益の実態が見えなくなり、倒産しか道がないという事態に陥ることも十分にあり得るのだ。

 

 

原価計算の肝になる製造原価計算

 

原価計算を正しく行うには、製造原価の正確な計算が不可欠だ。

 

製造原価とは商品の製造コストのことで、下の図は、製造原価の構成を図解したものである。

 

 

製造原価は大きく分けて「材料費・労務費・製造経費」の3つの原価要素で構成される。

 

製品を製造するうえで費やされる直接的なコストは直接費用へ分類され、間接的なコストは間接費用へ分類される。下表は、直接費用と間接費用の分類例を示したものである。

 

直接材料費

製品製造に費やす材料

間接材料費

工場全体に費やす材料(燃料、油脂、塗料、薬品等)

直接労務費

工場製造部門の人件費

間接労務費

工場間接部門の人件費(総務、事務、技術保守等の関節部門)

直接経費

製品製造に費やす経費

間接経費

工場全体に費やす経費(減価償却費、直接測定できない水道光熱費等)

 

製造工場において、正しい製造原価が分からなければ、商品単体の原価計算が困難になるばかりか、会社全体の正しい経営状況も不明瞭になる。

 

例えば、商品単体の利益構造が分からない、営業部門と製造部門のどちらが儲かっているのか分からない、設備投資が必要か否かが判断できない、生産性の良し悪し、人員体制の良し悪しが判断できない、など等、会社経営に及ぼす弊害は挙げたらキリがない。

 

要は、製造原価計算を怠ると、まともな会社経営ができなくなってしまうのだ。

 

 

正しい製造原価計算の出発点は?

 

正しい製造原価計算の出発点は、製造に関わる全ての経費を正確に仕訳・集計するところから始まる。

 

当然ながら、製造経費の仕訳と集計を誤れば、最終的な製造原価も誤る。

 

製造原価の計算が杜撰な会社は、例外なく、製造経費の仕訳と集計がいい加減である。

 

例えば、工場労務費を販売管理費の人件費に算入したり、工場経費の水道光熱費を販売管理費に算入したりと、製造原価の仕訳と集計のルールが曖昧なケースは実に多い。

 

当然ながら、製造経費の計算管理が曖昧では、会社全体の損益は把握できても、製造部門の製造原価を正しく把握することはできない。

 

繰り返すが、正しい製造原価が分からなければ、会社経営の至るところに弊害が出る。発売してみたら「実は赤字商品だった」というケースは、原価計算をしていない赤字企業によくある話だ。

 

原価計算は会社経営の基本である。決して疎かに管理してはならない。

 

伊藤のワンポイント
 

商売は原価以上の価格で販売することで初めて成り立ちます。つまり、原価計算は商売の基本中の基本です。ライバルよりも低価格で、顧客により良い商品を提供するためには正確な原価計算が不可欠です。原価計算をおざなりにすると間違いなくライバルとの競争に敗れ、顧客からもそっぽを向かれます。