中小企業の組織力を強化する方法|責任と役割が会社の組織力を高める

中小企業の組織力を強化する方法

 

中小企業の組織力は、責任と役割を明確にすると飛躍的に強化される。

 

なぜなら、組織を形成する各自の進むべき方向とやるべき事が明確になり、組織の力が一点に集中するからだ。

 

この記事では、責任と役割を明確にして組織力を強化する方法について、詳しく解説する。

 

 

組織力を強化する階層分け

 

社員の責任と役割を明確にすると、やるべき事が明確になり、組織の力が一点に集中する。

 

当然ながら、組織の力は分散させるよりも一点に集中させた方が効果的だ。人的余裕のない中小企業であればなおさらのこと。

 

中小企業において、責任と役割りを組織に示すのは経営者の仕事になる。

 

そして、責任と役割りを効率的に組織に浸透させるには、組織の階層を区分けする必要がある。

 

中小企業の組織力を強化するうえで、最も効果的な組織の階層分けは「経営者・経営幹部・一般社員」の3つの区分けになる。

 

この3つの階層に対して責任と役割を示すことが出来れば、会社の組織力は自ずと強化される。

 

 

組織力を強化する責任と役割り

 

経営者、経営幹部、一般社員、この各階層の責任と役割は、どこに向かって仕事をするかによって、その内容が大きく変わる。

 

例えば、下図は、組織の階層ごとの見据えるべき目線を表したものだ。

 

 

中小企業の場合、社員は1ヵ月先、幹部は1年先、経営者は3~10年先を見据えて仕事をすると、組織のマンパワーが最大化されて、安定成長の基盤が整いやすくなる。

 

組織の階層ごとの、やるべき仕事、責任、役割りなど等の機能も夫々あり、組織の階層ごとの各機能をまとめると下表の通りになる。

 

階層

経営者

経営幹部

一般社員

目線

3~10年先

1年先

1ヵ月先

計画

中長期計画

年次計画

月次計画

目的

成長発展

利益追求

収益追求

責任

理念と方針提示

目標達成(年)

目標達成(月)

役割

将来像提示

設計デザイン

展開活動

実行

戦略

戦術

戦闘

手段

新規市場・事業

既存市場・事業

日々の仕事

方法

改革・開拓

改善・改良

工夫・努力

指標

B/S、P/L、C/S

P/L、C/S

P/L

 

経営者の責任と役割

中小企業の経営者は、3~10年先を見据えて会社の将来像を意識した上で経営理念と方針を提示し、全社員と共有しなければならない。そのうえで新規市場、新規事業の構想をベースに将来の成長発展を考え、3~5ヵ年の中長期計画を作成し、目標達成に向かって改革と開拓を押し進めるのが経営者の役割だ。経営戦略は将来像を実現するための羅針盤になるので、戦略作りは、最も重要な経営者の仕事といえる。

 

経営幹部の責任と役割

経営幹部は、1年先を見据えて目標達成のための戦術をデザインし、善良な管理者として経営者に仕え、一方で社員を監督しなければならない。既存市場と既存事業をベースに年度計画を作成し、利益拡大のための改善と改良を推進するのが経営幹部の役割だ。経営戦術は、戦略と戦闘に密接に関わっている。また、目標達成を左右する重要な要素も含んでいる。従って、戦術づくりには、経営者と一般社員、両方の参画が不可欠になる。

 

一般社員の責任と役割

一般社員は、1ヵ月先を見据えて日々の仕事を展開する戦闘員になる。目標達成のためのポイントは工夫と努力になる。具体的には、1カ月先の顧客の幸せを考えた行動を実践することが一般社員の責任と役割になる。

 

【関連記事】経営者目線で考える社員・幹部・社長の本来の目線

 

 

責任と役割が組織力を強化する!!

 

組織の階層ごとの役割と責任が明確になると、会社の目指すべき将来像に向かって、組織が一丸となって動き出す。

 

そうした組織の働きが、今の業績、1年後の業績、10年後の業績という、3つの時間軸の業績を同時進行で形成し、会社の成長を加速する。

 

組織力は、中小企業の成長を支える原動力になり、特に、経営者の視点は重要で、経営者が1ヵ月先を見据えるか、10年先を見据えるかによって、会社の成長スピードは大きく変わる。

 

例えば、業績が悪化する中小企業の経営者は、一般社員と同じ目線で仕事をしているケースが多い。

 

日々の仕事をこなすことは大切なことだが、会社のトップである経営者だけは、数年先を見据えて、常にあるべき将来像を持って行動しないと、会社が大きく成長することはない。

 

場合によっては、その日暮らしの、行き当たりバッタリの会社経営に陥ることもあり得る。

 

 

組織力が強化されると業績が伸びる!!

 

組織的に然るべき計画を推進すると、自然と、人材が人財に成長する。

 

一人ひとりの人財が成長すると、会社全体の組織力が一段と強化される。そして、組織力が強化されると、自然と会社の業績も伸びる。

 

下の図は、組織の成長と会社の成長を図解したものだ。

 

 

ヒトは十人十色で、ヒトの集合体である組織も十人十色なので、ヒトも組織も経営者の誘導次第で、100の力が10にもなれば200にもなる。

 

資本力のない中小企業は、ヒトの能力を最大限に活用することが会社成長の秘訣になり、そのためには、組織力の強化が絶対条件になる。

 

伊藤のワンポイント
 

組織の階層ごとに責任と役割を明確にすると、自ずと組織力が強化されます。特に経営者の責任と役割は重要で、ここが曖昧だと、組織全体が弱体化します。ビジョンなき経営、継続力なき経営、目標なき経営などは、組織弱体化の最たる弊害です。組織力は業績と比例関係にあるので、組織力強化は経営の基本ともいえます。