中小企業の事業再生手法|事業再生の成功条件と秘訣

中小企業の事業再生|基本と成功の秘訣

 

事業再生ほど経営者の経営手腕が試される機会はない。

 

なぜなら、経営者の必須スキルとマインドなくして事業再生の成功はないからだ。当然ながら、事業再生に必要な経営スキルやマインドが少しでも劣っていると、事業再生の成功率は低下する。

 

この記事では、中小企業の事業再生手法と成功の秘訣について、詳しく解説する。

 

 

中小企業の事業再生手法|成功の条件

 

中小企業の事業再生の成功条件は二つある。

 

ひとつは「一年分の運転資金」、もうひとつは「会社の強み」である。

 

事業再生は着手から完結するまでに最低一年はかかる。せっかく事業再生に取り組んでも、途中で運転資金が底をついてしまったら元も子もない。

 

事業再生を成功させるためには、一年分の運転資金を確保する必要があるのだ。

 

また、事業再生を成功させて安定成長の軌道に乗せるには、会社の強みが必要になる。せっかく事業再生に成功しても、会社の強みがなければ、事業が先細り、危機的状況に逆戻りするからだ。

 

 

中小企業の事業再生手法|成功の秘訣

中小企業の事業再生を成功させる秘訣は3つある。

 

ひとつは「事業再生に着手するタイミング」、二つ目は「事業再生計画の作成」、三つ目は「事業再生計画の実行」である。

 

この3つの要素のどれが欠けても中小企業の事業再生は成功しない。事業再生の具体的手法について、順を追って詳しく解説する。

 

事業再生成功の秘訣「タイミング」

 

中小企業の事業再生は、タイミングを誤ると失敗リスクが格段に高まる。

 

例えば、一年分の運転資金の確保(見通し)が困難な状況下では、事業再生は失敗する。

 

事業再生に着手するタイミングは一年分の運転資金が残されている時点がデットラインになるが、多くの中小企業は運転資金が枯渇気味になって漸く事業再生を検討する。

 

資本欠損から債務超過に陥った段階で、慌てて事業再生に着手しても手遅れで、中小企業の事業再生は、最低でも資本欠損に陥った段階で着手しなければならない。(理想は単月赤字になった瞬間がベストタイミング)

 

中小企業は大企業とは違って、事業再生に必要な資金を簡単に調達することができない。債務超過に陥った状態で、事業再生に必要な資金を調達できなければ、そのまま倒産ということもあり得る。

 

従って、中小企業の事業再生は「赤字経営に転落した瞬間」、或いは「資本欠損に陥った瞬間」の何れかで実行しなければならない。

 

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事業再生成功の秘訣「計画作成」

 

事業再生計画は、事業再生成功のカギを握っている。

 

なぜなら、経営改善、或いは、解決すべき課題を明快にする事業再生計画(経営改善計画書)なくして、事業の再生はできないからだ。

 

当たり前だが、事業再生計画がいい加減、或いは、計画がなければ、事業再生は成功しない。

 

事業再生計画は、緻密な事業分析(経営診断)を経た上で、整合性と実現性に富んだ内容でなければならないので、事業再生計画を経営者ひとりの力で作成するのは困難だ。

 

従って、事業再生計画の作成は、第三者や専門家の協力を仰ぎながら作成するのが望ましい。また、事業再生計画の完成が遅れるほど、事業再生の成功確率が低下するので、事業再生計画作りはスピードも重要になる。

 

事業再生成功の秘訣「計画実行」

 

事業再生計画が仕上がったら、後は実行するのみとなる。

 

事業再生は過去との決別を意味する。つまり、従前の経営を全て否定するところから、新たな一歩を踏み出すことになる。

 

経営者としては耐え難い状況ともいえるが、事業再生計画の実行に甘さが出ると、事業再生はいとも簡単に失敗に終わる。

 

経営者がプライドを捨てて生まれ変われるか否かが事業再生成功の肝になり、事業再生が成功すれば、経営者としての経営手腕はひと回りもふた回りも成長する。

 

そして、事業再生を通じてプロ経営者に生まれ変わると、よほどのことがない限り、再び会社が傾くことはない。

 

伊藤のワンポイント
 

事業再生は経営者の必須スキルとマインドを試される難易度の高い仕事です。素晴らしい経営成果を出している経営者ほど、事業再生(経営危機脱却)を成功させた経験を持っています。事業再生は赤字経営に転落した時が最初のチャンスになります。そのチャンスを掴むか否かが、経営者の成功を左右します。