利益重視の経営戦略は会社の収益力を上げる効果がある。
利益重視の経営戦略とは、利益拡大を最優先することだが、中小企業が利益を拡大するには、迷わず利益重視の戦略を展開することが大切になる。
この記事では、利益重視の経営戦略で会社の収益力を上げる方法について、詳しく解説する。
利益重視の経営戦略とは、利益拡大を最優先する経営戦略のことである。
中小企業が利益を拡大するには、迷わず利益重視の戦略を展開しなければならない。
例えば、売上100円で利益が10円の商品と、売上50円で利益が20円の商品があれば、売上は半減するが、利益が2倍になる後者の商品を選択すべきだ。
会社の生存を保障するのは売上ではなく利益であり、新しい売上を作るための投資や事業価値を高めるための投資の源泉も、売上ではなく利益になる。
つまり、利益重視の戦略展開なくして、利益の拡大も会社の成長もあり得ないのだ。
会社の利益を拡大するには、売上の多寡よりも利益の多寡を優先することが大切だ。
当然ながら、利益が減少すると成長投資が停滞し、会社の成長が鈍化する。場合によっては、赤字経営に陥る事もあり得る。
赤字経営を未然に防ぐためには、利益重視の戦略を展開し、大きな利益を生み出す収益基盤を構築する必要がある。
その為には、経営者が利益重視の戦略を強く意識する必要があり、その意識が要所で働くようになると、利益の取りこぼしが少なくなり、成長投資の原資が溜まりやすくなる。
つまり、利益重視の戦略が会社の収益力を高め、成長投資を加速させるのだ。
利益重視の戦略展開に活用できる経営指標を紹介する。
それは、会社の獲得利益の大きさを示す「企業の果実」である。
企業の果実は、事業活動の成果である獲得利益の大きさを表わす経営指標で、利益重視の戦略を展開する上で、欠かせない指標になる。
企業の果実は「売上×利益率」の掛け合わせで測定することができるが、獲得利益の収縮が分かるので、利益重視の戦略展開の効果測定が容易になる。
例えば、下図のように、縦軸に売上、横軸に利益率を当てはめると、会社の獲得利益の大きさを視覚的且つ明確に把握できる。
縦軸の「売上」は市場規模の大きさ、横軸の「営業利益率」は収益性の高さを表し、二つを掛け合わせた「企業の果実」は獲得利益の大きさと会社の競争力を如実に表す。
企業の果実は、売上一辺倒に歯止めをかける効果があるので、利益重視の経営戦略の展開に欠かせない指標といっても過言ではない。
中小企業においては、売上重視よりも、利益重視の経営戦略を展開した方が、短期間で安定経営を実現できる。
なぜなら、売上増加は一朝一夕では達成できないが、利益率の改善は、様々な工夫と創意で比較的短期間で実現することができるからだ。
また、売上増加は一時的な増収に終わり、効果が長続きしないことが多いが、利益改善は長期間に亘って増収効果が持続することが多い。
なお、利益改善の方法は、商品の付加価値向上が最も効果的だ。
経営改善を通じて独自技術や独自の経営ノウハウが蓄積されると、商品付加価値が上がり、会社の競争力が高まるので、自ずと利益が改善される。
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利益重視の戦略展開から外れて、売上重視の戦略展開に傾くと会社の衰退リスクが高まる。
例えば、売上至上主義の経営者によくみられる売上重視の思考例を紹介する。
「今月は先月よりも売上が多かった」
「ゆえに会社の経営状況が良好である...」
このような思考では、売上の増減に一喜一憂するばかりで、肝心の利益の増減まで意識が届かない。
売上が増加している一方で、利益が減少し、赤字額が拡大することは、よくあることだ。
なお、利益を重視する場合は、利益金額だけでなく利益率も注視する必要がある。利益率の低下には、さまざまな危険信号(マイナス要因)が含まれているからだ。
例えば、価格競争に巻き込まれている、既存顧客が競合他社に流出している、経費や原価が増加している等の会社の収益を圧迫する等の経営課題は典型例になる。
赤字要因を解消する為にも、全ての取引の利益に目を光らせることが、利益重視の基本戦略になる。
会社は現金がなくなると倒産するので、現金の元になる利益の拡大は会社経営の必須条件です。その為には、ムダムラに目を光らせながら利益重視の戦略を展開し、なお且つ、利益の元になる顧客の創造をしっかり実践することです。利益拡大が鈍化している企業ほど顧客創造が疎かになっていますので、注意して下さい。