社長の仕事は決断することと言われる通り、社長は日々決断に追われている。
社長が決断に迷い、決断を下すことができなくなると、途端に事業活動の動きが停滞するので、決断の迷いは企業の盛衰を決める重要なファクターと言って過言ではない。
この記事では、決断に迷った時に役立つ対処法・考え方・マインドについて、詳しく解説する。
決断に迷いがあったとしても、決断は早いほど良い。
決断の迷いから最終決断が遅れると、すべての進行がストップし、事業活動が停滞するからだ。
私自身も瞬時に決断するよう心掛けているが、決断はやる・やらない、の二択だけではない。決断の保留も立派な決断だ。
すべての決断は、大体、この三択で決められる。
決断することに不安を抱えることもあると思うが、やってみて失敗と分かれば元に戻せば良いだけだ。
一旦やらないと決めたことでも、やる気になったらやれば良く、決断を保留した時は、決断の迷いを無くすための情報を収集したり、周囲の助言に耳を傾けたりすれば良い。
大切なことは、決断に迷ったとしても、やる・やらない・保留の三択を瞬時に下すスキルを磨くことだ。
未来を予測できても、未来を当てることは誰にもできない。また、どんなに成功した経営者であっても決断の大半は失敗に終わると語っている。
決断に失敗はつきもので、百発百中で決断が成功することはあり得ない。そう考えれば、失敗を気にし過ぎて決断に迷うことがいかに些細なことか分かるだろう。
とにかく決断は早いほど良い。決断に迷うのであれば、やる・やらない・保留の三択を決めた後に悩めばよい。決断後の情報収集や検証作業で、大概の決断の失敗はリカバリーできるのだから。
決断に迷った際の専門家の活用法について、解説する。
決断の迷いを払しょくする解決法は二つしかない。自分で専門性を高めて迷いを無くす方法と、専門家を活用して迷いを無くす方法だ。
また、決断の誤りを正す方法も二つしかない。自分で誤りに気が付くか、専門家に誤りを正してもらうかだ。
独学で自分の専門性を高めることは素晴らしいことだが、そもそも経営者に時間的余裕はない。
誤りを正すにしても、社長に対して誤りを指摘する人間は稀なので、大概は失敗して初めて気がつくパターンが多い。
決断の精度と効率を考えると、最初から専門家を活用した方が断然有利だ。特に、大きな決断ほど専門家を活用した方が良い。失敗の代償が大きいからだ。
なお、専門家の得意分野は多岐にわたるが(弁護士は民事と刑事、税理士は法人と個人、経営コンサルは私のような社長業全般と部分コンサル等)、若い内から身銭を切って活用するほど、人選のセンスが磨かれてミスマッチが無くなる。
士業やコンサルを上手に活用できるようになると、決断で迷うことが無くなるだけでなく、事業活動の精度が上がり、会社経営の成果が一段と大きくなる。とにかく決断に迷った時は、専門家への相談を躊躇しないことだ。
他人の視点を取り入れて、決断の迷いを払しょくする方法も有効だ。
決断の迷いは、臆病な思考から端を発することが多い。失敗したくない、今の環境を壊したくない、今あるものを守りたい、余計な苦労をしたくない等の思考は典型だ。
自分を守るために決断を先送りして、安定にしがみつくことは時には必要だが、不安定さを排除し続けても、人生は面白くはならないし、ビジネスの発展もそこで止まってしまう。
こういう時に他人の視点を入れると、決断の迷いが小さくなる。
例えば、「やってみたいけど、今は止めておくか。」という発想も、他人事であれば「やりたいなら、今すぐやりなよ。」という発想に変わるものだ。
他人の視点が入ると、不安定さへの恐れが消え、何をすれば後悔しないのかがよく分かる。
決断に迷った時ほど、他人の視点で決断することをお薦めする。きっと、後悔のない決断が増えて、自分の決断に自信を持てるようになるはずだ。
(この記事は2025年1月に執筆掲載しました)
ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」