
儲かっている時ほど、質素倹約を意識することが大切だ。
質素倹約が薄れると、油断・慢心・傲慢などの衰退リスクを引き寄せる言動を招くからだ。
例えば、業績が良くなり、お金の巡りが良くなると、公私にわたりお金の使い方が派手になる社長がいる。
お金の使い方が派手になると、たいていの人は態度が傲慢になる。
傲慢さの弊害は枚挙にいとまがないが、
周囲への感謝が不足する、言動が荒くなる、気が大きくなる、冷静さを失う、向上心を失う、無知を放置する、余計なコストが増える、公私の区別が曖昧になる、などは典型だ。
当然、この状態が続くと、事業活動の精度が低下し、会社は少しのきっかけで衰退する。

ビジネスを長くやっていると、
売上が急激に伸びたり、利益が倍増したりすることが稀にあるが、急成長している局面ほど質素倹約を意識し、お金の使い方を変えない努力が必要だ。
お金の使い方が極端に変わらなければ、社長の人柄も大きく変わることはない。
傲慢さも影を潜めるので、お金の源泉(社員・お客様・取引先等)に対する感謝もキープできる。
社長という立場ほど、ビジネスを通じて人柄を試される職業はない。
目の前に自由に使えるお金を見せられて、どこまで自制できるか。
自分の器や実力に見合ったお金の使い方をどこまで実践できるか。
大成功を収める人や大金持ちになる人の多くは、どれだけ儲かっていても質素倹約を意識している。
それが、自制心や向上心、ひいては、持続的成長の源泉になることをよく知っているからだ。
皆さまもどうか、いかなる時も質素倹約を意識し、事業活動のパフォーマンスをさらに高め、成功の起因を引き寄せて頂ければと思う。
(この記事は2023年9月に執筆掲載しました)
ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」